ジャパンダイジェスト

南ドイツの農家の衣食住に触れる「ボイレン野外博物館」

9月の寒さから一変、10月の半ばは急に春のような陽気が続いたため、紅葉も進み、自然のあるところに行ってみたくなりました。シュトゥットガルト南東30キロくらいのところに「ボイレン野外博物館」があります。春から秋にかけて、昔の家を見物したり、広大な博物館の敷地で散歩したり、動物と触れ合ったりすることができます。天気が良い日には、本当に楽しいお出かけ先です。敷地内に20棟ほどの古い建物があり、農家だったり、市役所だったり、工芸職人の家兼工場だったり、まるで町全体が一つの博物館になっているようです。建築だけではなく、インテリアや伝統的な民具なども展示していて、18世紀~19世紀の南ドイツ人の田舎の生活スタイルを少し覗くことができます。レトロなキッチン道具や洗面器、水がめなどはすごくおしゃれ。そしてなんとほとんどの建物はシュヴェービッシュの村から移動して設置したそうです。プロジェクトの始まりは1978年に遡ります。80年代に最初の6棟がここに移設され、90年代にさらに5棟の家が新たに加わり、この40年間絶えず発展していき、今日の姿になっています。

アート作品<
入り口からすぐのところで、養蜂の巣箱のようなアート作品が見えました

それから収穫の季節というのもあり、リンゴとナシの展示会がありました。ここでは、数十種類のナシとリンゴは、品種名が分かるように展示されていました。リンゴはここにあるだけでも78種類! さすがはリンゴの産地だと思いました。

そして博物館では2001年から現代アートの展示も試みています。今年は4月から11月にかけてアートプロジェクトを進めていて、敷地のあらゆるところでいろいろなアート作品を見ることができます。時代の変化とともに変わっていった価値観や生活様式など、この舞台セットのような家々や人々の生活の跡などから、ここの地域的アイデンティティと地域住民のリアルな生活が見て取れます。この博物館は、当時の人々の生活とのダイアログが生まれることを期待し、過去、現在、そして未来を映し出す鏡であるアート作品の舞台として提供されているそうです。

キッチン
昔の農家のキッチンの一角

博物館敷地内のレストランもなかなかおすすめ。郷土料理のマウルタッシェとジャガイモサラダを注文しましたが、もう最高に美味しかったです。

また博物館から歩いて30分くらいのところには「Panorama Therme」という室内外温泉施設があります。「露天風呂」から紅葉の山々を眺め、またHohenneuffenのお城も見えるところがまたここシュヴァーベンの粋です。

ボイレン野外博物館: www.freilichtmuseum-beuren.de

Panorama Therme:www.panorama-therme.de

郭 映南
中国生まれの日本国籍。東北芸術工科大学卒業後、シュトゥットガルト造形美術大学でアート写真の知識を深める。その後、台北、北海道、海南島と、渡り鳥のように北と南の島々を転々としながら写真を撮り続ける。
www.kakueinan.wordpress.com
 
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