以前にも紹介したことのあるヴィルヘルマ動植物園ですが(716号掲載)、植物の種類も動物の種類も豊富な上、19世紀の王様の浴場施設だったということもあって、宮廷風の庭園まで付いています。そんなヴィルヘルマが2018年の年末に新たな試みを始めました。ロンドンやベルリンで、すでに話題になっているイルミネーションのクリスマスガーデンです。さっそく行ってみることにしました。
たびたび訪れ慣れ親しんでいたヴィルヘルマですが、夜に入ったのは初めて。昼間の見学とは違い、夜には散策ルートがしっかり決まっています。まずはペンギンのいる辺りから入って行き、優雅な円形回廊を通り抜け、ペリカンのすみかである長方形のにたどり着きます。アラビア宮殿風の建物はダマスクスホール(Damaszenerhalle)といって、1864年に造られました。ホール内は青の光で充満していて、外側はオレンジ系統の色でライトアップされていました。強いコントラストで建物に奥行きをもたらしてもいます。長いを隔てホールを眺めると、完璧なシンメトリーな風景が目の前に広がります。またペリカンや水鳥が高い枝の上で寝ていて、不思議なシルエットを絵に落としていました。
アーティスティックにライトアップされた回廊
さらに進むと、庭園があります。ここは春にいつも木蓮のお花見を楽しんでいる場所ですが、印象がガラリと変わり、巨大な植え込みにまんべんなく電球が設置されていて、周りを囲む回廊は黄色の蛍光灯で眩しいほど照らされ、ゴージャスな印象です。散策ルートに沿って、園内の半分を通り、今度はだんだんと山の方面へ移動。確か、普段は中南米のヤギたちがいる所の奥辺りでしょうか。一番上の方には大木の森がありました。そして、根元からとてもカラフルにライトアップ。これは本当にすごい! しばらく見とれてしまうほど幻想的です。また、園内ではイルミネーションのさまざまなテーマに合わせ、BGMも流れていました。アメリカのジャズ風のクリスマスソングだったり、庭園はクラシックバレエの曲でした。この森では迫力のあるシンフォニーの曲に。夜の誰もいない森は、光と音楽で見事な舞台に変身していました。
カラフルな大木
ダマスクスホールと池
黄金色の庭園
最後に森をぐるっと一周して山を下り、庭園の残り半分を回ってフラミンゴの群れの横を通り過ぎ、出口に向かいました。全長1.5㎞の散策ルートだそうです。来年もぜひ開催してほしいなと思っています。
ヴィルヘルマ動植物園クリスマスガーデン: https://christmas-garden.de/stuttgart
中国生まれの日本国籍。東北芸術工科大学卒業後、シュトゥットガルト造形美術大学でアート写真の知識を深める。その後、台北、北海道、海南島と、渡り鳥のように北と南の島々を転々としながら写真を撮り続ける。
www.kakueinan.wordpress.com