瓶内発酵の伝統的な白ビール
ERDINGER Weissbier( エルディンガー・ヴァイスビア)は、ミュンヘン郊外で伝統的な製法で造られている小麦のビール。濁りのある黄金色の液体と、きめが細かくクリーミーな泡が特徴で、苦みが少なく、青りんごのようなフルーティーで爽やかな味わいだ。創業は1886年で、現在も個人経営の醸造所として稼働。生産量は小麦を使ったビールとしては世界最大級で、ドイツ国内のみならず世界90カ国に輸出されている。
ドイツの小麦ビールには、「ヴァイス(Weiß / Weiss)」と「ヴァイツェン(Weizen)」の2通りの呼び方がある。ヴァイスはドイツ語で白色を意味し、白濁した外観からそう呼ばれる。一方のヴァイツェンは小麦の意味。この二つの違いは、「醸造された地域」だ。伝統的に、南ドイツとオーストリアの一部で造られたものをヴァイス、それ以外の地域で造られたものはヴァイツェンと呼ぶ。
エルディンガーでは伝統に従い、瓶詰前のビールに未発酵の麦汁と酵母を加え、瓶内で二次発酵させている。シャンパンなどでも行われている方法だが、手間と時間がかかるため、この製法で造る醸造所は少なくなりつつある。同社とマイゼルス醸造所、シュナイダー醸造所の3社では、伝統的手法を守る運動も行っているという。
さらに奥深い小麦ビールの世界を知りたいなら、醸造所見学はいかがだろうか。同醸造所はミュンヘン市街地から北東に30キロほどのエルディングという街にある。7月から、健康チェックやマスク着用などの感染対策を行った上で、少人数での見学ツアーを再開中(10月12日現在。最新情報はHPで)。伝統を守りつつ、世界各国に輸出されるビールを造る巨大でシステマチックな設備は圧巻だ。見学の終わりには出来立てのビールと共に、伝統料理であるプレッツェルと白ソーセージが味わえる。南ドイツの食文化を知る良い機会になるだろう。
https://erdinger.de