連邦憲法裁、NPDの訴えを却下
ガウク大統領の発言をめぐる訴訟で
ガウク連邦大統領が極右政党NPDに対して「頭のおかしいやつら(Spinner)」という表現を用いたことは違憲であると、NPDが連邦憲法裁判所に訴えていた件で10日、憲法裁は「同発言は大統領の中立性を犯すものではない」として訴えを却下した。ヴェルト紙が伝えた。
ガウク大統領は昨年8月、ベルリンで400人の高校生を前に行った講演の中で、NPDを名指しして「私たちには、路上に出て行き、頭のおかしいやつらと一線を画する勇気を持つことが必要」と発言。これには、当時問題となっていたNPDによる難民申請者排斥運動と、それに対抗するデモが拡大していたことが背景にあった。
また、ガウク大統領は旧東ドイツ時代、人権活動家として活躍していた経歴を持つ。大統領の同発言に対してNPDは、同年9月に実施された連邦議会選挙の結果に影響を与えたと主張。大統領として持つべき中立性を逸脱したものであるとして、連邦憲法裁判所に訴えていた。
これに対して憲法裁は、「問題となった表現は否定的で誹謗中傷とも取れるものだが、これは『歴史を理解しない人』に向けられたものであり、大統領の中立性を犯すような発言ではない」と判断。また「大統領は特定の政党の存在を左右してはならない」との規定に反するものでもないとして、大統領の発言の自由を認めた。
ノルウェーを公式訪問中で、判決結果を電話で聞いたガウク大統領は、「憲法裁の明確な判断に感謝する」との声明を発表した。また、ガウク大統領の広報官は「歴史上初めて、大統領の発言と使命についての決定が裁判で下された」と述べた。一方、NPDは同判決を「奇妙でばかげた決定」として、「憲法裁は市民を階級別に分ける発言を大統領に許容した」との見解を発表した。
なお、今回のガウク大統領のノルウェー訪問は、ウクライナ危機を受けて、欧州の今後のエネルギー問題について話し合う重要な意味を持つもの。ノルウェーはドイツにとって、ロシアに次ぐ2番目のエネルギー供給国であり、ガウク大統領は同国訪問に際して「この機会に、ロシアへのエネルギー依存を減らすことを欧州全体で考えなければならない」とコメントした。