北から南への送電網設置プロジェクトに暗雲
バイエルン首相が計画の凍結を主張
バイエルン州のゼーホーファー首相(キリスト教社会同盟=CSU)が、北部と南部を結ぶ800キロメートルの送電線を敷設する送電網プロジェクトをいったん凍結すべきと主張し、物議を醸している。6日付のヴェルト紙が伝えた。
同プロジェクトは、原子力発電に代わる再生可能エネルギーとしてシュレスヴィヒ=ホルシュタイン州で生産された風力発電エネルギーについて、ニーダーザクセン州、ノルトライン=ヴェストファーレン州、ヘッセン州を通ってバイエルン州まで送電線を敷設し、2022年から供給を開始するというもの。16年に着工予定で、建設費として数十億ユーロが見込まれている。しかし、これに対して市民から「景観を損なう」などとして根強い反対の声が上がり、このたびバイエルン州首相が計画凍結を訴えた。
バイエルン州では、3月に地方自治体選挙を控えており、ゼーホーファー氏の反対表明も、選挙戦を睨んで行われたものとみられている。これに対し、欧州委員会のエッティンガー・エネルギー担当委員は同州政府を批判。「送電線は早急に必要不可欠のもの」と強調している。