ジャパンダイジェスト

トルコ系市民の過半数が職業訓練修了資格持たず
30~35歳層で特に顕著

ドイツに在住するトルコ系市民のうち、30~35歳の年齢層の女性の60%が職業訓練修了資格を持っておらず、同年代の男性においても、約半数が同様の状態にあることが明らかになった。14日付のヴェルト紙が報じた。

同年代のドイツ人と比べ、一般教育を受けていないトルコ系市民の割合は5倍、職業訓練修了資格を持たない人の割合は3倍。さらに、若いトルコ系女性の20%が義務教育課程のみのハウプトシューレの卒業資格すら持たず、これに対しては文化的背景が原因として指摘されている。専門家は、トルコ系市民は幼少期にドイツ語能力で後れを取ることなどから、問題の鍵は早期教育にあるとしている。

 

連邦憲法裁、NPDの訴えを却下
ガウク大統領の発言をめぐる訴訟で

ガウク連邦大統領が極右政党NPDに対して「頭のおかしいやつら(Spinner)」という表現を用いたことは違憲であると、NPDが連邦憲法裁判所に訴えていた件で10日、憲法裁は「同発言は大統領の中立性を犯すものではない」として訴えを却下した。ヴェルト紙が伝えた。

ガウク大統領は昨年8月、ベルリンで400人の高校生を前に行った講演の中で、NPDを名指しして「私たちには、路上に出て行き、頭のおかしいやつらと一線を画する勇気を持つことが必要」と発言。これには、当時問題となっていたNPDによる難民申請者排斥運動と、それに対抗するデモが拡大していたことが背景にあった。

また、ガウク大統領は旧東ドイツ時代、人権活動家として活躍していた経歴を持つ。大統領の同発言に対してNPDは、同年9月に実施された連邦議会選挙の結果に影響を与えたと主張。大統領として持つべき中立性を逸脱したものであるとして、連邦憲法裁判所に訴えていた。

これに対して憲法裁は、「問題となった表現は否定的で誹謗中傷とも取れるものだが、これは『歴史を理解しない人』に向けられたものであり、大統領の中立性を犯すような発言ではない」と判断。また「大統領は特定の政党の存在を左右してはならない」との規定に反するものでもないとして、大統領の発言の自由を認めた。

ノルウェーを公式訪問中で、判決結果を電話で聞いたガウク大統領は、「憲法裁の明確な判断に感謝する」との声明を発表した。また、ガウク大統領の広報官は「歴史上初めて、大統領の発言と使命についての決定が裁判で下された」と述べた。一方、NPDは同判決を「奇妙でばかげた決定」として、「憲法裁は市民を階級別に分ける発言を大統領に許容した」との見解を発表した。

なお、今回のガウク大統領のノルウェー訪問は、ウクライナ危機を受けて、欧州の今後のエネルギー問題について話し合う重要な意味を持つもの。ノルウェーはドイツにとって、ロシアに次ぐ2番目のエネルギー供給国であり、ガウク大統領は同国訪問に際して「この機会に、ロシアへのエネルギー依存を減らすことを欧州全体で考えなければならない」とコメントした。

 

欧州議会選挙でSPDが躍進
反ユーロを掲げるAfDは7議席獲得

欧州議会選挙の投票が5月25日実施され、ドイツ国内の与党・社会民主党(SPD)が前回の得票率20.8%から27.1%と大きく票数を伸ばして躍進した。また、反ユーロを掲げるドイツのための選択肢(AfD)が7%を獲得、欧州議会で7議席を得る見通しとなった。

今回のドイツ国内の投票率は48%で、43.3%だった2009年の前回選挙に比べて有権者の同選挙への関心が高まっていることを示した。SPDが得票率を伸ばした一方、連立与党のキリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)は前回の37.9%から後退して35.5%。中でも5年前は48.1%とバイエルン州で圧倒的勢力を誇ったCSUが、40%と大きく得票率を減らしたことが影響した。

一方、保守派の票を取り込んで得票率7.1%と大躍進を遂げたのが、反ユーロを掲げるAfD。緑の党は10.8%(前回12.1%)、左派党は7.5%(同7.5%)で、連邦議会の議席を失った自由民主党(FDP)は今回の選挙でも大きく敗退し、3.3%(同11%)だった。

今回の選挙結果を踏まえて、欧州委員会の委員長が選出されることになるが、欧州保守会派の欧州人民党(EVP)が候補として挙げているルクセンブルクのユンカー元首相に対し、SPDのマルティン・シュルツ氏も名乗りを上げており、同党のガブリエル党首は、党の勝利を受けてシュルツ氏選出の可能性が高まったとアピールしている。

また、今回初めて欧州議会に議席を持つことになったAfDのルッケ党首は保守会派への参加を希望しているが、CDUのカウダー院内総務はAfD政治家とのテレビ・トークショーでの共演を拒否し、AfDに対する警戒心を示している。しかしその一方で、CDU内からAfDとの協調路線を肯定する声も上がっている。

欧州議会の議席数は合計で751議席。このうちCDU・CSUが35、SPDが27、緑の党が11、左派党が8、AfDが7、FDPが3議席を得る配分になる。また、これまで議席獲得に必要とされていた得票率3%条項が今回から廃止されたことを受け、極右政党NPD、海賊党、自由選挙同盟、動物愛護党、家族のための党、エコロジー党の各党がそれぞれ1議席を得ることになった。

 

女性の多数がパートタイム労働を掛け持ち
男性と比べて時給は低め

労働組合系のハンス・ベックラー財団が5月22日発表した調査で、2つ以上仕事を抱える女性の多くがパートタイム労働を掛け持ちしている上、男性に比べて時給が低いことが明らかになった。ヴェルト紙が伝えた。

同調査によると、2つ以上の仕事を持つ場合、男性ではフルタイム労働に加えてパートタイム労働を掛け持ちしているというケースは85%だった一方、女性では40%。逆に、パートタイム労働を掛け持ちしているというケースは男性で12.6%、女性では55%だった。また、ミニジョブに従事する女性の平均時給は14.47ユーロであるのに対し、男性では18.42ユーロだった。

 

連邦議会が年金改革法案を可決
7月1日から施行

連邦議会は5月23日、大連立政権の年金改革法案を賛成多数で可決し、7月1日から施行される運びとなった。

年金改革法案は、賛成460票、反対63票、棄権60で可決された。この中で、与党キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)からは9人が反対票を投じた。新たな年金制度では、45年間掛け金を納めていた場合、63歳からの年金受給が可能になるほか、1992年以前に生まれた子どもの母親に追加年金が支給される「母親年金」なども盛り込まれている。これに対し、経済界およびCDU・CSUの一部からは、早期年金受給を促進することによる熟練工の労働力不足などを懸念する声が出ていた。

 

12年のドイツへの移民、米国に次ぐ2位
OECDの前回調査から38%増

経済協力開発機構(OECD)が5月20日発表した調査で、2012年にドイツに長期滞在を目的として入国した外国人の数は40万人に上り、米国に次いで2番目に多かったことが明らかになった。ヴェルト紙が伝えた。

同調査では、長期滞在許可を持つ外国人および学生を除くEU加盟国からの入国者で、1年以上滞在している人の数を集計。2009年の調査では、長期滞在目的でのドイツへの入国者の数は20万1000人で、世界全体でのランキングは8位だったが、今回は初めて伝統的な移民国のオーストラリアやカナダを抜いて2位となった。

前回調査から38%の伸び率を示しており、OECDの移民問題専門家トーマス・リービヒ氏は、「移民ブームと呼べる現象」と述べている。移民のうち75%はEU加盟国からの入国者。この中で最も多かったのが、ポーランドからの移民で8万5000人。これに、5万6000人のルーマニアが続き、ハンガリーが3万1000人となっている。また、ユーロ圏からはギリシャが2万1000人、イタリアからが1万9000人、スペインからが1万3000人。

 

女性の多数がパートタイム労働を掛け持ち
男性と比べて時給は低め

労働組合系のハンス・ベックラー財団が5月22日発表した調査で、2つ以上仕事を抱える女性の多くがパートタイム労働を掛け持ちしている上、男性に比べて時給が低いことが明らかになった。ヴェルト紙が伝えた。

同調査によると、2つ以上の仕事を持つ場合、男性ではフルタイム労働に加えてパートタイム労働を掛け持ちしているというケースは85%だった一方、女性では40%。逆に、パートタイム労働を掛け持ちしているというケースは男性で12.6%、女性では55%だった。また、ミニジョブに従事する女性の平均時給は14.47ユーロであるのに対し、男性では18.42ユーロだった。

 

連邦家庭省が人事で女性差別
主要3ポストを男性が独占

ベルリン行政裁判所は8日、連邦家庭省に対し、主要ポストの人事に関して女性の権利を十分考慮しなかったとの判決を下した。ヴェルト紙が伝えた。

これは、連邦家庭省のメーリング男女同権担当官の訴えに対する判決。同氏は、2011~12年に同省の広報官と事務次官、子どもの性的虐待に関する担当官の3ポストを男性が担当し、この人事に男女同権担当官が関与しなかったとして、当時のシュレーダー前家庭相(キリスト教民主同盟=CDU)とシュヴェージヒ現家庭相(社会民主党=SPD)を訴えていた。ベルリン行政裁は、男女同権担当官が同人事に関与していなかったことを違法と判断した。

 

ドイツ人の糖尿病率が深刻
欧州各国比較でも上位

ドイツ人の糖尿病率の高さが深刻で、欧州内でも上位を占めているという。7日付のヴェルト紙が伝えた。

欧州委員会のボルク健康委員によると、ドイツ人男性が健康上の問題なく生きられる年数は平均57.9年、女性の場合は58.7年。欧州平均では男性61.8年、女性62.2年で、ポーランド、ベルギー、フランスの人々の方が、ドイツ人よりも健康に生きている年数が長いという。

なお、国際糖尿病基金の調査によると、20~79歳のドイツ人で糖尿病を患っている比率は8.2%。昨年は6万2000人が糖尿病が原因で死亡した。これは、国際比較でロシアに続いて2位で、3位はトルコが占めている。

 

CDU議員がシュレーダー元首相の誕生会に出席
ロシア大統領と同席し、党内から批判

キリスト教民主同盟(CDU)の若手議員で、同党の外交問題広報官を務めるフィリップ・ミスフェルダー氏(34)が、シュレーダー元首相(社会民主党=SPD)の誕生会に出席し、ロシアのプーチン大統領と同席していたことが党内で問題となっている。6日付のヴェルト紙が伝えた。

シュレーダー元首相が4月末にロシアのザンクトペテルブルクで自身の70歳の誕生会を催した際、現在ウクライナ問題の渦中にあるプーチン大統領も招かれ、両氏が親しげに抱擁を交わす写真が公開されて問題となったが、この誕生会に、CDUのミスフェルダー議員も出席していたことが発覚。これに対し、同党およびキリスト教社会同盟(CSU)内から批判が集中し、ミスフェルダー議員はカウダー院内総務からけん責を受けたが、引き続き外交問題広報官のポストにとどまる予定という。

ミスフェルダー議員は「私はパーティーに参加するために同地に赴いたのではない」と述べ、自身の行動の正当性を主張。誕生会の席でも、プーチン大統領と個別にドイツ人の人質問題などについて話すことができたとしている。

 

メルケル首相が米国を公式訪問
オバマ大統領と会談、NSA問題で合意ならず

メルケル首相(キリスト教民主同盟=CDU)が2日、米国を公式訪問し、首都ワシントンのホワイトハウスで同国のオバマ大統領と会談した。ヴェルト紙が伝えた。

メルケル首相とオバマ大統領は、ウクライナ危機に伴い、ロシアへの制裁を続けていくことで合意。メルケル首相は「制裁措置は排除できない」としつつ、「制裁自体が目的ではない」とも強調。米国と歩調を合わせ、外交的手段での交渉を続けていくとした。

一方でオバマ大統領は、ロシアから欧州へのガスおよび石油などのエネルギー供給は冷戦時代にも行われていたとして、これを止めることは「非現実的」であるとの理解を示した。また、オバマ大統領はメルケル首相を「欧州連合(EU)および主要国首脳会議(G7)においても、かけがえのないパートナー」と表現し、メルケル首相との信頼関係を強調した。会談ではさらに、EUと米国の間で自由貿易協定の必要性についてが話し合われ、話題は米安全保障局(NSA)の盗聴問題にも及んだが、オバマ大統領は「ノー・スパイ協定」の必要性を否定。この問題に関しては、両首脳の合意は得られずに終わった。

メルケル首相の訪米後、連邦議会のNSA調査委員会は、米諜報機関元職員で、現在ロシアに滞在しているエドワード・スノーデン氏の公聴会を行う意向を発表。野党・左派党と緑の党は、スノーデン氏がロシアに滞在する上での条件として、プーチン大統領との間で「NSAについての秘密をこれ以上話さない」ことが取り決められているため、公聴会を行うためには同氏をドイツへ招へいするべきであると主張。しかし、米国政府からのスノーデン氏の引き渡し要求が出されていることから、CDUおよびキリスト教社会同盟(CSU)は全面的に反対している。このため、公聴会はビデオ会議にて、あるいはドイツ側からモスクワに出向いて行われる可能性が濃厚となっている。

これを受け、CDU・CSUは7月3日にビデオでモスクワとつないで公聴会を行うことを提案。左派党のマルティナ・レナー議員はこれに対し、緊急の場合には裁判所で公聴会を実施することもできるとして、あくまでもスノーデン氏をドイツへ招くことを要求している。

 

学校制度の構図に大きな変化
ハウプトシューレが大幅に減少

連邦統計庁が4月24日発表した調査結果で、過去10年間で国内の学校教育制度の構図に大きな変化がみられることが明らかになった。ヴェルト紙が伝えた。

同調査によると、義務教育課程のみを提供するハウプトシューレの数が過去10年で大きく減少し、これに代わってゲザムトシューレと呼ばれる総合学校が増加。その代表的な存在として知られるヴァルドルフシューレに人気が集まっているという。国内にある学校の数は、2013年時点で3万4400校。過去10年で閉鎖となった学校の数は6100校で、15%減少した計算になる。中でも、ハウプトシューレの3校に1校が閉校となっており、レアルシューレ(実科学校)も16%が閉鎖されている。

2012/13年度に新たに小学校に入学した児童の数は68万7800人で、10年前と比較すると11万7000人減少している。特に、旧西ドイツ地域での児童数の減少が顕著で、ザールラント州では減少率が27%、ラインラント=プファルツ州では23%となっている。これに対して旧東ドイツ州では児童数が安定しており、ザクセン州では25%の増加を示している。

大学進学を前提としないハウプトシューレおよびレアルシューレの減少傾向が際立っている一方で、ギムナジウムの生徒数は増加傾向にある。10年前には、ギムナジウム進学者は全生徒数の30.7%だったが、現在は34.4%に上昇。ギムナジウムの学校数自体は、10年間でわずかに減少しているにもかかわらず、ギムナジウムに通う生徒数は、ニーダーザクセン州では14,5%、ザクセン=アンハルト州では13.2%と、高い増加を示している。

また、ブランデンブルク州では、私立学校の割合が増加傾向にあり、同州の私立学校の数はベルリンと比べて約2倍、学校全体の中に占める割合は10年前の4.7%から9.3%へと増加している。

これら一連の変化の大きな要因として挙げられるのは、社会民主党(SPD)と緑の党の前政権による「すべての人に学校教育を」と謳った教育政策で、これにより、ハウプトシューレやレアルシューレに代わってゲザムトシューレの創設が推進されたことにあるとみられている。

 

CDUのロゴに三日月マーク
トルコ系候補者の市議会選キャンペーンで

ノルトライン=ヴェストファーレン州ノイスの市議会選挙に立候補したキリスト教民主同盟(CDU)のトルコ系ドイツ人候補者の、選挙キャンペーン用の党のロゴマークが物議を醸している。4月25日付のヴェルト紙が伝えた。

問題となっているのはトルコ系ドイツ人のヤサル・カリック氏が選挙キャンペーン用に作成したバッグに描かれたCDUのロゴで、「キリスト教」を意味する「C」の中にトルコ国旗を思わせる三日月マークが入っている。同氏は「三日月マークが入ってしまったのは印刷所のミス」と述べた上で、「自分がトルコ系だということを示したかっただけで、キリスト教を否定する気持ちはなかった」としている。

 

CDU経済協議会から年金改革への批判が噴出
4000億ユーロの負担を指摘

与党キリスト教民主同盟(CDU)の経済協議会から、連立政権が導入を決定した年金改革の撤回を求める声が上がっている。4月23日付のヴェルト紙が伝えた。

CDU経済協議会のシュタイガー事務局長はSPD主導の年金改革について、長期的に見ると4430億ユーロの負担増になり、「新生児が1人当たり5000ユーロの借金を背負う計算になる」と批判。「将来の世代に大きな負担を与える」として、大連立政権による63歳からの早期年金制度と母親年金の導入を撤回すべきであると主張している。

一方で連邦財務省は、今年3月の税収が連邦、州、市町村と合わせて昨年同期比7.2%上昇していることなどに触れ、ドイツの財政状態が盤石であることを強調しているが、2015年以降は社会保障財政が赤字に転じることが予想されており、CDU経済協議会からは「借金財政」を責める声が上がっている。

また、CDUの若手議員らもSPD主導による63歳からの早期年金制度への批判を展開しており、今後の国内経済の指針としての「アジェンダ2020」の作成を求めている。

 

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