ジャパンダイジェスト

エボラ対策で医療スタッフを西アフリカに派遣
連邦軍からも兵士ら2000人が志願

連邦政府は9月25日、エボラ出血熱が流行している西アフリカに対する支援を強化する方針を打ち出した。

グレーエ保健相(キリスト教民主同盟=CDU)はドイツ赤十字、ドイツ医師連盟と共同で、現地に赴任できる医療スタッフを募集。西アフリカ地域では現在までに、エボラ出血熱により3000人が死亡しており、赤十字は現地でのエボラ出血熱患者対応の病院増設を計画。シエラレオネに100人収容可能の施設と、リベリアに200人収容可能な移動医療施設を予定しているが、ここに170~180人の医療スタッフが必要とされている。募集対象は医師、看護士のほか、助産婦、理学療法士、専門技師などで、専門能力と経験に加え、英語力が求められている。現地での勤務は4~6週間での交代制を予定。赴任に際してはドイツ赤十字による特別研修を受けることになる。

一方、保健相の呼び掛けに先立ち、フォン・デア・ライエン国防相(CDU)が連邦軍に対して西アフリカ支援の人材を募ったところ、これまでに2000人以上の連邦軍兵士、予備役、文官が応募しているという。

 

大幅な家賃の値上げを規制へ
2015年から施行

マース消費者保護相(社会民主党=SPD)は9月23日、大幅な家賃の値上げから消費者を守る規制を設けることで与党キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)と合意した。規定の施行は来年中頃の予定。ヴェルト紙が伝えた。

同規定では、賃借人が入れ替わって新たな賃貸契約が結ばれる際、現地相場の10%以上の値上げが行われてはならないとしている。マース消費者保護相は、「家賃は普通の就労者が支払うことのできる額でなければならない」「いくつかの工業地帯で30~40%の家賃値上げがなされる事態は回避されるべき」としている。一方、不動産問題の専門家からは「規定が不明瞭」との声も上がっている。

 

近親相姦の罰則を廃止?
倫理評議会が提言

倫理評議会が、兄弟姉妹間の近親相姦に対して設けられている刑罰の廃止を提案している。9月25日付のヴェルト紙が伝えた。実際に血の繋がった兄弟姉妹同士で性的関係を持つことは社会的にタブー視されており、双方が合意していたとしても、現行の法律では最長2年の懲役刑または罰金刑が科せられている(刑法173条)。

様々な分野の専門家から成り、政府に提言を行う倫理評議会は今回の提案の理由について、「刑法には社会のタブーを守る役割はない」と述べている。近年では、ライプツィヒで血の繋がりのある兄妹が4人の子どもをもうけ、男性が複数回にわたって懲役刑を受けていたケースがある。

 

テューリンゲン州議会選でCDUが勝利
ブランデンブルク州ではSPDが第1党の座を保持

14日に旧東独地域のテューリンゲン州およびブランデンブルク州で州議会選挙の投票が実施され、テューリンゲン州ではキリスト教民主同盟(CDU)が、ブランデンブルク州では社会民主党(SPD)がそれぞれ第1党の座を維持して勝利した。両州とも反ユーロを掲げるドイツのための選択肢(AfD)が、それぞれ2桁の得票率で躍進。これに代わって自由民主党(FDP)は、どちらの州でも得票率5%基準をクリアできず、議席を失うことになった。ヴェルト紙が伝えた。

テューリンゲン州では、CDUが34.5%(前回31.2%)、左派党が27.7%(同27.4%)、SPDが12.3%(同18.5%)、AfDが10.2%(前回なし)、緑の党が5.6%(前回6.2%)、FDPが2.4%(同7.6%)という結果だった。

同州では選挙前から、左派党とSPDの連立樹立、左派党からの初の州首相擁立の可能性が注目されていたが、今回の選挙結果でSPDが大きく得票率を減らしたことから、この可能性は希薄となり、CDUとSPDによる現政権の継続が有力視されている。クリスティーネ・リーバークネヒト州首相(CDU)は、現在のCDUとの連立に新たに緑の党を加え、政権をより強固にしたいとの意向を示しているが、テューリンゲン州緑の党は「政権に参加するとすれば、左派党、SPDとの3党連立が唯一の可能性」と言明している。

一方、ブランデンブルク州議会選挙では、SPDが最多の得票率32.5%(前回33.0%)を獲得。CDUが22.1%(同19.8%)、左派党が19.2%(同27.2%)、AfDが12.0%(前回なし)、緑の党が6.4%(同5.7%)、FDPが1.4%(同7.2%)という結果だった。同州では、これまでのSPDと左派党の連立政権の継続、あるいはSPDとCDUの大連立の2パターンの可能性が考えられており、連立交渉の行方が注目される。

また、今回の選挙では、難民および移民政策への批判というタブーテーマを掲げたAfDが大きく躍進。両州で緑の党を上回る得票率を記録し、第4党の座を獲得した。

なお、両州の投票率はテューリンゲン州が54%、ブランデンブルク州が49%で、それぞれ2009年の前回選挙よりも低かった。

 

内務省、国内での「イスラム国」の活動を禁止
イスラム過激主義者らを相次ぎ逮捕

デメジエール内相(キリスト教民主同盟=CDU)は12日、ドイツ国内におけるイスラム過激派組織「イスラム国(IS)」の活動を禁止すると発表した。

内務省の発表によると、今後、公の場所でのISのシンボルマークの使用、集会、書面・音声・映像によるあらゆる種類の広報活動および支援活動を禁止するといい、デメジエール内相は、これまでにISに共鳴する400人の若者らがシリアやイラクに渡っていることに言及。その帰還者が欧州およびドイツの安全にとっての脅威になるとし、「ドイツにはテロリスト集団の居場所はない」と言明した。

連邦検察は8日、フランクフルト空港でイスラム・テロ組織アル・シャバブの支援者とみられる3人のドイツ人イスラム教徒がケニアから帰国したところを逮捕したと発表。バイエルン州では9日、テロ組織とつながりがあるとされるトルコ人とコソボ人の若者がシリアに出国しようとしているところをオーストリア国境で逮捕されており、イスラム・テロ組織支援者の再入国取り締まり強化をめぐって、連立政権内で論議が高まっていた。

 

親よりも高学歴のドイツ人は24%
米国、イスラエルでも同様の傾向

ドイツ人の学歴には家庭環境が大きく影響している一方で、自分の親よりも高い学歴を持つ人の数は少ないことが、経済協力開発機構(OECD)が9日発表した調査「教育リポート2014」で明らかになった。

調査によると、24~64歳の年齢層の中で自分の両親よりも高い学歴、または職業訓練レベルにある人の割合は24%。58%が自分の両親と同等、18%が両親よりも低い学歴、または職業訓練レベルだった。調査対象となった国のほとんどで、高学歴所持者が年配世代より若い世代で圧倒的に多いのに比べ、ドイツのほか米国、イスラエルの3国にのみ同様の傾向がみられた。

 

リッターシュポルトがテスト誌に勝訴
ナッツチョコレートの低評価めぐり

ミュンヘン上級裁判所は9日、大手チョコレートメーカー・リッターシュポルトのチョコレートに対して商品テスト財団がテスト誌上で行った評価をめぐる裁判で、同誌の主張を退ける判決を下した。

裁判は、テスト誌にリッターシュポルトの「丸ごとナッツチョコレート」について、「合成化学香料のヘリオトロピンを使用していることが証明できる」と書かれたことをめぐるもので、ミュンヘン上級裁判所はリッターシュポルト社の訴えを認め、「間違った情報によって、同社のナッツチョコレートの販売を妨げてはならない」とした第1審判決を支持する判決となった。

 

ザクセン州議会選挙でCDUが勝利
AfDが初の州議会入り

ザクセン州議会選挙の投票が8月31日実施され、与党キリスト教民主同盟(CDU)が39.4%の得票率を獲得し、第1党の座を守った。一方、連立パートナーの自由民主党(FDP)は議席を失い、これに代わって反ユーロを掲げるドイツのための選択肢(AfD)が台頭した。

今回の選挙では、現政権政党のCDUが2009年の前回選挙で得た40.2%よりもやや得票率を減らしたものの、第1党の座を維持、同党のティリッヒ現首相が続投する見込みとなった。これに対し、連立パートナーのFDPは得票率3.8%(前回10.0%)と大幅に後退し、議会入りを得票率5%以上と定めた条項を満たすことができず、議席を失って州議会から姿を消すことになった。

一方、大きな注目を集めていたAfDは得票率9.7%と大躍進を遂げ、7.1%を獲得した5月の欧州議会選挙に続く勝利を果たし、州議会レベルで初の議席獲得となった。同州で第2党の座にある左派党は、前回の20.6%をわずかに下回る19%を獲得。社会民主党(SPD)は12%で、前回の10.4%より得票率を伸ばした。緑の党は5.7%(前回6.4%)、極右政党のドイツ国家民主党(NPD)は開票の最終段階で5%にわずかに届かず、4.95%の得票率で議席を失うこととなった。

今後、CDUによる連立パートナー探しが開始されることになるが、SPD、緑の党各党はCDUの連立交渉相手となる準備があることを表明。さらに、緑の党を上回る得票率で同州第4党となったAfDの存在も無視できない状態となっているが、CDUのグローセ=ブレーマー連邦議会事務局長は公共放送ZDFのインタビューに対し、AfDとの連立の可能性を改めて否定した。

なお、ザクセン州議会選挙に続いて、9月14日にはブランデンブルク州、テューリンゲン州の旧東独2州で州議会選挙が予定されており、ブランデンブルク州ではSPDと左派党、テューリンゲン州ではCDUとSPDの大連立政権の行方が注目されている。特にテューリンゲン州では、大連立政権の続投はないとの見方が有力で、SPDと左派党が協調することで、左派党から初の州首相が誕生する可能性もあるとみられている。

 

連邦政府がイラク北部への武器輸出を決定
過激派組織「イスラム国」に対抗

イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」の攻撃にさらされているイラク北部のクルド人自治区に対し、連邦政府はこれまでの方針を一転させて武器輸出による武力支援を行うと発表した。8月21日付のヴェルト紙が伝えた。

イラク北部に対しては、連邦政府はすでに食糧や毛布、医薬品などの救援物資の輸送を開始。一方、ドイツに先立ち、英国、フランス、イタリアの欧州諸国はいち早く武器輸出を決定していた。しかし、ISが米国人ジャーナリストのジェームズ・フォーリー氏を殺害し、その映像を公開したことから衝撃が広がった。メルケル首相(キリスト教民主同盟=CDU)はガブリエル副首相(社会民主党=SPD)、シュタインマイヤー外相(同)、ショイブレ財相(CDU)、フォン・デア・ライエン国防相(同)との会合を招集。イラク北部への武器支援を決定した。国防相は、「ISの過激派の蛮行を止めなければならない」と言明。対戦車ミサイルなどのハイテク武器を提供する予定。一方で、エジプト政府がシナイ半島のテロ対策に用いたいとして要請しているドイツ製戦車の輸出に対して連邦政府は留保している。

 

政府、社会保障濫用阻止法案を閣議決定
新興EU加盟国からの移民急増で

連邦政府は8月27日、急増する欧州連合(EU)加盟国からのいわゆる貧困移民に対して、社会保障制度の濫用などを回避する法案を閣議決定した。ヴェルト紙が伝えた。

新興EU加盟国であるルーマニアおよびブルガリアからの移民の急増は社会問題となっており、今年に入ってから彼らに支払われた緊急支援額は2500万ユーロ、医療費負担が100万ユーロ、語学学習支援額が4000万ユーロとなっている。法案は、今後EU加盟国出身者のドイツでの職探し期間を6カ月に限定し、滞在許可申請に当たり申告内容に偽りがあった場合に最高5年の再入国禁止措置を取るなど、取り締まりを強化する内容を盛り込んでいる。

 

女性の収入は男性の半分
DIWの調査で明らかに

ドイツ経済研究所(DIW、本部ケルン)が行った調査で、女性の収入が男性の半分であることが明らかになった。8月27日付のヴェルト紙が伝えた。

調査では、男性の平均収入と同等の額を得ている女性は全体の49%に過ぎず、年収4万ユーロに達している女性は男性の半分、年収7万5000ユーロを得ている人の80%が男性で、女性はわずか20%だった。DIWの専門家は、「女性は妊娠や出産、育児などを理由に休職を余儀なくされ、男性に比べて条件の悪い仕事に就くケースが多い。これが収入額に大きな影響を与えている」と分析。女性管理職の数が少ないことも指摘している。

 

第1次世界大戦開戦100年、独仏が追悼
両国大統領が式典に参列

ドイツがフランスに宣戦布告し、第1次世界大戦が勃発してから100年目を迎えた3日、ドイツのガウク大統領とフランスのオランド大統領が参列して、独仏両国による追悼記念式典が行われた。ヴェルト紙が伝えた。

追悼記念式典は、フランス東部のアルザス地方にあるハルトマンスヴィラーコプフ山で行われた。ここは1914~18年に掛けて、3万人の兵士が戦死した激戦地。多くの人の血が流された場所であることから、フランス人からは「人食いの山」とも呼ばれているという。式典では、ガウク大統領とオランド仏大統領が32年に建立された慰霊碑に共同で献花し、お互いを抱擁した。

ガウク大統領は演説の中で、「我々の祖父はどちらも第1次世界大戦に従軍し、互いに敵対した。彼らが今日の我々の姿を想像し得ただろうか」と述べた。ガウク大統領は1年前に、ドイツの政治家として初めて、第2次世界大戦末期にナチス武装親衛隊による大規模な虐殺が行われたオラドゥール・シュル・グラヌをオランド仏大統領と共に訪れており、その際も2人は抱擁を交わし、哀悼の意を示したことが多くのフランス人に感銘を与えたと伝えられている。仏有力メディアのル・モンド紙は、公の場で感情を示すことが少ないメルケル首相(キリスト教民主同盟=CDU)と比較して、「ガウク大統領とオランド仏大統領がオラドゥール・シュル・グラヌで抱擁し合う写真は、メルケル首相の数多くの演説よりもはるかに雄弁に、ドイツとフランスの友情を物語っている」と報じた。

オランド仏大統領は、「過去の忌まわしい記憶と現在を繋ぐ橋を架けることが重要だ」「独仏が歩んできた歴史は、運命的な敵対関係を共に乗り越え、克服できるという希望を示している」と述べ、緊迫する現在の中東情勢にも言及。イスラエルとパレスチナにおける早急な停戦を呼び掛け、一般市民の命を守るべきと強調した。

今回、追悼記念式典が行われたハルトマンスヴィラーコプフ山では、2017年にドイツ・フランス・ミュージアムの開館が予定されており、歴史を語り継いでいくことで独仏関係の強化を図るとしている。ミュージアムのオープニング式典には、独仏両国の大統領も参列予定。

 

ドイツ国内で反ユダヤ主義拡大の懸念
パレスチナ情勢への抗議デモ受け

イスラエルのパレスチナ自治区ガザでイスラエルとの戦闘が続いている事態を受け、ドイツ国内各地でこれに抗議する反対デモが繰り広げられ、その際に反イスラエル的なスローガンが多く掲げられていることを問題視する声が強まっている。7月22日付のヴェルト紙などが伝えた。

ベルリン中心部のフンボルト大学付近で行われたデモ「フリー・パレスチナ」では、テロ組織として禁止されている「ヒズブット・タフリル」の旗が翻り、「イスラエルは子どもたちを殺害している」などの過激なスローガンを掲げる人の姿が目立った。ドイツ・ユダヤ中央評議会はこのような事態を重く見ており、ディーター・グラウマン議長は「この国で反ユダヤ主義のスローガンが叫ばれ、ユダヤ人に対する暴力的な憎しみが爆発するのを目の当たりにしてショックを受けている」とコメント。ハダス=ハンデルスマン在独イスラエル大使はベルリナー・ツァイトゥング紙に寄稿し、「ベルリンの路上では、かつてユダヤ人の迫害が行われた。今の事態が進めば、いつか罪なき人の血が流されることになる」と警告した。

ベルリン自由大学教授で言語学者のアナトール・シュテファノヴィッチ氏は、最近6日間の国内の新聞など170の見出しを分析。「ドイツのメディアは現在の紛争の背景に、パレスチナ側が長年イスラエルの民間人に対して攻撃を行っていた事実があることなどをほとんど報じておらず、大半がイスラエルに対して否定的なトーンで報道している」と述べている。また、同様の報道傾向はドイツ以外のベルギーやルクセンブルクにもあると在ベルギー・イスラエル大使は指摘しており、「偏向報道が政治に与える影響は大きい」と批判している。

メルケル首相(キリスト教民主同盟=CDU)は一連の事態に対して厳しい態度を表明。「反ユダヤ主義的なスローガンの掲示は自由と寛容への攻撃であり、我々の自由と民主主義の基本秩序を脅かすもの」とした上で、「今後もユダヤ系市民の安全を守ることに尽力する」と述べた。警察は今後、そのような誹謗中傷行為を厳しく取り締まるとしている。また、ガウク大統領もユダヤ評議会に対し、ドイツに住むユダヤ人との結束を保証すると言明した。

 

鎮痛剤としてのカナビス栽培を許可
例外的措置として

ケルン行政裁判所は7月22日、重病患者に対して、ほかの選択肢がない場合に限り鎮痛剤としてカナビスの栽培を許可する判決を下した。ヴェルト紙が伝えた。

カナビスは本来、国内での栽培が禁止されているが、判決では重病患者にとって痛みを和らげる選択肢がほかにない場合、薬局を経由して入手できるカナビス薬剤が高額であることも考慮し、例外的に自家栽培を許可するとしている。ただし、栽培許可の判断は個々のケースによるとの条件が付けられた。ドイツ患者保護基金は同判決を歓迎。薬局で入手できるカナビス薬剤の価格を引き下げて健康保険の適用を可能にすることなども主張している。

 

<< 最初 < 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 > 最後 >>
  • このエントリーをはてなブックマークに追加


時事通信ニュース

Nippon Express ドイツ・デュッセルドルフのオートジャパン 車のことなら任せて安心 習い事&スクールガイド バナー

デザイン制作
ウェブ制作

ドイツ便利帳サーチ!

詳細検索:
都市
カテゴリ選択