国防相が無人偵察機問題で釈明
「プロジェクトには国防相就任当初からリスクがあった」
無人偵察機ユーロホーク・プロジェクト問題に関する連邦議会内調査委員会の公聴会に7月31日、デメジエール国防相(キリスト教民主同盟=CDU)が出席し、同プロジェクトに当初からリスクがあったことなどを認める発言を行った。ヴェルト紙が伝えた。
このプロジェクトは、米国で開発された無人偵察機ユーロホークに多額の国家予算を投じながら、欧州連合(EU)空域での飛行許可が下りなかったためにとん挫した。デメジエール国防相は同問題の調査委員会で、プロジェクトの中止が決定した直後の6月初めに行われた公式発表で、「2012年3月に飛行許可に関する問題があるとの報告を受け、同年5月にプロジェクトの中止を認可した」と述べた事実を肯定。ただしその際、「5月以前は同問題について関知していなかったとも受け取られる不明瞭な表現を用いたことを遺憾に思う」と釈明した。
しかし国防相は、同プロジェクトの意義については肯定的な見解を示し、「勇気ある決断だったがリスクを伴っていた」と指摘した。さらに「自身が国防相に就任した2011年3月の時点で、すでにプロジェクトの雲行きは怪しかった」と発言。「その時にはプロジェクトに掛かる費用の85%がすでに支払われていた」として、今年5月という中止決定のタイミングについて「正しかった」「損失の拡大を食い止めることができた」との見解を示した。
デメジエール国防相の一連の発言に対して、野党側からは批判が噴出し、社会民主党(SPD)の国防問題担当のアーノルド議員は「嘘の上に新たな嘘を重ねた発言」と述べ、「国防相は事態を知りながら、問題を長期にわたって放置してきた」と非難。また、同党のガブリエル党首は「メルケル首相(CDU)が国防相を更迭しないのは、残り少ない任期中にまた1人大臣が辞めることを避けたいとの考えゆえだ」と述べ、国防相に引責辞任を迫った。
左派党からも、「デメジエール氏は自己批判という言葉を知らないようだ」「どうしてこのような人物が大臣を続けることができるのだろうか」との辛辣な批判の声が上がっている。ユーロホーク・プロジェクト問題に関する公聴会は、引き続き8月31日まで開かれる予定。