ジャパンダイジェスト

財政難の州を統合し、全16州から9州へ?
2019年の連帯協定失効が転機に

財政難にある州を将来的に統合し、現在ある16州を9州にするという議論が持ち上がっている。5日付のヴェルト紙が伝えた。州の統合に関しては様々な案が出されているが、中でも代表的なのが、ハンブルク市(州と同格)とシュレスヴィヒ=ホルシュタイン州、メクレンブルク=フォアポンメルン州を「北部州」とし、ザールラント州とラインラント=プファルツ州を統合、ブレーメン州とニーダーザクセン州を統合、また、ベルリン市(州と同格)とブランデンブルク州、ザクセン=アンハルト州を統合するなどして、全16州を9州に減らすというもの。

基本法には、連帯協定が失効する2019年までに債務問題を解決できなかった州は新たな支援を受けることができないとする条項があり、これによって自治権を失う州が出てくる可能性が考えられる。これに対して、連邦憲法裁判所のパピーア元裁判長が「新たな連邦制の在り方を考える段階に来ている」と発言。ベルリン市議会のヌスバウム議員(無党派)も、「財政問題によって消える州が出ることは考えられ得る」とコメントしている。

 

モラート氏、7年ぶりに精神病院を退院
上級裁が精神鑑定の信ぴょう性を問題視

2006年に裁判所の決定で強制的に精神病院に収監されたグストル・モラート氏が6日、7年ぶりにバイロイトの精神病院を退院した。ヴェルト紙が伝えた。

モラート氏は、元妻に対する暴力や裁判関係者が所有する車のタイヤをパンクさせる行為などが問題視され、精神鑑定の結果、身分証明書類をはく奪されて精神病院に収監された。これに対し、ニュルンベルク上級裁判所は精神鑑定の信ぴょう性に問題があるとして裁判のやり直しを決定した。同件を受け、バイエルン州のゼーホーファー州首相(キリスト教社会同盟=CSU)は「モラート氏だけでなく、バイエルン州の勝利でもある」と歓迎している。

 

文学出版社のズールカンプ社が倒産
株式会社化でdtvなどが出資に関心

文学書籍の出版社として知られるズールカンプ社が支払い不能に陥り、6日にベルリン・シャルロッテンブルク区裁判所に破産申請を行った。ヴェルト紙が伝えた。

同社は1950年にペーター・ズールカンプ氏が創業し、その後ジークフリート・ウンゼルト氏が経営を引き継いだ。ドイツ語圏の文学出版社としては代表的な存在で、ベルトルト・ブレヒトやヘルマン・ヘッセ、クリスタ・ヴォルフなど著名な作家の作品を数多く扱ってきた。

同社は破産により、合資会社から株式会社への転換を図って出資者を募る計画。すでにdtvやC.H.ベック社、カール・ハンザー出版社などが関心を示しているという。

 

緑の党が80年代に小児性愛を肯定、実践
生活共同体内で定期的に

1980年代に緑の党内で小児性愛を肯定し、これを実践する動きがあったことが明らかになり、与党キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)が批判を展開している。7月22日付のヴェルト紙などが伝えた。

この問題は80年代、ノルトライン=ヴェストファーレン(NRW)州の緑の党に所属していたヘルマン・メアー氏が小児性愛嗜好の持ち主で、同州カンプ・リンフォルトの生活共同体で定期的に児童を相手に性行為を行っていたとされるもの。当時「性的虐待を受けた」とする2人がヴェルト紙日曜版に証言したことで明るみに出た。

メアー氏はすでに他界しているが、当時の生活共同体の複数の同居人も同件に関わっていたとされ、当時12歳だった犠牲者の1人は「メアー氏に定期的に性行為を強要された」と訴えている。85年に開かれたNRW州緑の党の党大会では、大人と子どもの間の性行為に対する罰則廃止の要求が採択されたこともある。今回の事態を受け、緑の党のエツデミール党首らは驚きと戸惑いを表明。CDU・CSUは、実態解明と同問題に対する責任を求めている。

 

経済界、労組が全日制導入を支持
託児所園増設の次の課題として

経済界および労働組合が7月18日、学校の全日制化推進を強く支持していることを表明した。教育・家族政策において、託児所増設の次の課題になるとみられている。

ドイツ商工会議所(DIHK)のシュヴァイツァー所長は、「学校の全日制化は家族と企業の双方にとって重要な意味を持つ」と述べ、ドイツ労働組合連盟(DGB)のハナック副会長も、政府の保育園増設推進を受け、同様の政策が学校教育にも適用されるべきと主張している。ドイツの学校教育では半日制が主流だが、学齢期の子どもを持つ親の70%が学校の全日制化を望んでいるとの統計がある。実際に全日制学校に通っている子どもの割合は3人に1人。

 

家賃が低所得層の家計を圧迫
生活保護水準以下の家庭も

ベルテルスマン基金が7月22日発表した調査で、所得が国内平均の60%を下回る貧困家庭で、月収から家賃を差し引いた額が生活保護(ハルツ4)受給額を下回るケースが多いことがわかった。ヴェルト紙が伝えた。

今回調査対象となった国内100都市のうち60都市で、平均所得の60%を下回る4人家族の低所得家庭の場合に、家賃を支払った後に残る額が1169ユーロを下回るという。家賃は収入の30%以下であることが望ましいとされているが、フランクフルト・アム・マイン、イエナ、フライブルク、ミュンヘンでは、低所得家庭の多くが所得の約半分を家賃に拠出していることが明らかになった。

 

連帯税を西側地域にも適用?
廃止論も続く

連帯税の是非をめぐる議論が白熱する中、同税を旧東独州だけでなく旧西独州の支援にも充てる案が複数の州財相から挙がっている。7月24日付のヴェルト紙などが伝えた。

連帯税は、旧東独地域の経済復興支援の名目で東西ドイツ統一後の1991年に導入されたもの。現在では所得税の5.5%が連帯税として徴収されている。同税に関し、2009年に連邦税務裁判所が、財政補てんのために特別に連帯税という制度を設けることは基本法違反であると判決。しかし連邦憲法裁判所は2010年、この決定を無効とする宣告を行った。そしてこのたび、新たにオスナブリュックの会社員が、連帯税の違憲性を問う訴訟を起こしており、これをめぐる憲法裁の対応が注目されている。

一方で、ノルトライン=ヴェストファーレン州のヴァルター=ボリャンス財相(社会民主党=SPD)は「近年、大きな構造改革の波を経験したのは旧東独地域だけではない」として、東西を問わず、負債を抱える州の赤字財政弁済基金としての連帯税活用を提唱。この案に、シュレスヴィヒ=ホルシュタイン州のハイノルド財相(緑の党)、ザールラント州のトスカーニ財相(キリスト教民主同盟=CDU)、バーデン=ヴェルテンベルク州のシュミット財相(SPD)が党派を超えて支持を表明した。また、ニーダ―ザクセン州のヴァイル首相(同)も「連邦全体への開発支援制度を考える必要がある」と述べ、賛意を表明している。連帯税による税収は今年、140億ユーロに達するとみられるが、そのうち実際に旧東独地域のために使われる額は60億ユーロであると見積もられており、残りは連邦政府の財源に流用される。

自由民主党(FDP)からは連帯税廃止を唱える意見が根強く、「2019年までに連帯税を段階的に廃止していくべき」との声が挙がっているが、これが連立パートナーであるCDUとの不協和音を生んでおり、ショイブレ財相(CDU)およびメルケル首相(同)は、「連帯税に関するFDP案には賛同できない」と主張している。

なお、連帯税の導入を決断したコール元首相(同)自身が「連帯税は1999年までに完全に廃止されるべき」として、1996年時点での連帯税廃止を構想していたとされるが実現には至らず、現在に至るまで引き継がれている。

 

独政府、米の情報収集を暴露したスノーデン氏の亡命申請を却下
前提条件を満たしていないとして

米国家安全保障局(NSA)による情報収集の手口を暴露した同局元職員のエドワード・スノーデン氏が、ドイツに亡命を申請したものの、これが却下されたことが明らかになった。3日付のヴェルト紙が伝えた。

スノーデン氏はドイツを含む20カ国以上に亡命を申請。同氏の亡命申請に対し、連邦外務省および内務省は「亡命受け入れのための前提条件を満たしていない」ことを理由にこれを却下した。ドイツへの亡命申請はドイツ国内で行われなければならないとの規定があるが、スノーデン氏は米国政府発行の旅券が失効したためにモスクワ空港で足止めされている状態が続いている。米政府はスノーデン氏に対して国家反逆罪で捜査を行っており、同氏はポーランド政府に宛てた亡命申請の中で、「米国に戻れば終身刑、または死刑判決を受ける可能性がある」として、人道上の理由での亡命受け入れを求めていた。

亡命申請却下後、スノーデン氏はシュピーゲル誌のメールインタビューに答え、「NSAはドイツと一蓮托生の関係で、ドイツ側は一部始終を知っていた」とコメントしている。

 

治安妨害容疑の牧師に対する裁判が中断
ドレスデンの反ネオナチ・デモで扇動?

2011年2月、ドレスデン空爆の日に恒例となっている反ネオナチ・デモで若者を扇動し、治安妨害を行ったとして起訴されたイエナのローター・ケーニヒ牧師(59)に対るす裁判の中断が決まった。11日付のヴェルト紙が伝えた。

ケーニヒ牧師はイエナで青少年担当の牧師として、長年極右問題の対処にも当たっていた。検察は当該のデモで同牧師が拡声器を使って若者を扇動し、警察官への投石を命じたなどとして治安妨害容疑で訴えていたが、検察側が証拠と主張するビデオ映像に映っているケーニヒ牧師の発言内容が改ざんされていたことなどが発覚。裁判長は裁判の中断を決定し、証拠の見直しを命じた。

 

保育園増設で3万人分の受け入れが可能に
効果について与野党間で見解の相違

シュレーダー家庭相(キリスト教民主同盟=CDU)は11日、保育園の増設により、新年度が始まる8月以降、これまでより3万人多い81万3100人分の受け入れが可能になったと発表した。ヴェルト紙が報じた。

8月以降、満1歳以上の子どもには保育園または託児施設に入る法的権利があるとされており、3歳以下の子どもを対象にした保育園が増設された。ただ、すべての需要に応えるためには受け入れ人数にして16万人分の保育園が不足しているという。また、社会民主党(SPD)のナーレス幹事長は、半数以上の保育園が午後4時半前に閉園することや圧倒的な保育士不足などの問題を指摘している。

 

ホームセンター大手プラクティカーが倒産
従業員1万2000人が失業の恐れ

国内ホームセンター大手プラクティカーが支払い不能に陥り、11日にハンブルクの区裁判所に子会社8社の破産申請を行った。昨年のドラッグストアチェーン大手シュレッカーに次ぐ大規模な破たんで、従業員1万2000人の失業が懸念されている。ヴェルト紙が伝えた。

今回、破産申請手続きが行われたのは、ホームセンターのプラクティカーとエクストラ・バウ+ホビーの経営を担うプラクティカーの子会社8社で、同社傘下にあるマックス・バールと外国の支店は対象外となる。

プラクティカーは9カ国で合計430店舗のホームセンターを展開しており、そのうち300店舗はドイツ国内にある。プラクティカーは「全商品20%引き」などの大胆な値引き商法をすることで知られていたが、これが災いして数年前から赤字が続いていた。統一サービス産業労組Ver.diによると、3年前の時点で従業員が5%の給与削減に同意していたが、実際にこの給与削減が実施されたのは昨年10月だったという。現時点で同社が即時の支払いを必要とされている債務合計額は、3000万~3500万ユーロと見積もられている。

プラクティカーは、オビ、バウハウスに次ぐホームセンターの国内最大手の1つだった。今回の同社の破産申請に対し、オビの親会社に当たる食料品小売大手テンゲルマンのハウプ社長は、倒産対象となる店舗救済の可能性を否定。プラクティカー買収に関する打診はこれまですでに何度も行なわれてきたが、「価格はどんどん安くなっていったものの、買収に必要な条件は揃わなかった」と述べている。9月の連邦議会選挙を控えたタイミングでの大規模倒産に政治家も敏感に反応しており、1万2000人の従業員が失業した場合の救済措置などが問われている。

ドイツ国内には現在、2400軒のホームセンターがあり、昨年の年間売上は計190億ユーロと、欧州内でも類を見ない大規模市場となっている。そのため、価格競争や広告合戦などが激化しており、近年、老舗店舗や小規模店舗の存続が難しくなっている。また、ホームセンターについては店舗スペースの25%が無駄に使われていることや、4軒に1軒の店舗が供給過剰であることが指摘されている。

 

テロ計画容疑でイスラム過激派への家宅捜索相次ぐ
国内3地域とベルギーで90人の警察官投入

カールスルーエ検察局は6月25日、イスラム過激派によるテロが計画されていたとして、国内3地域とベルギーでの家宅捜索を行った。ヴェルト紙が伝えた。

同件の首謀者とみられているのはチュニジア出身のイスラム教徒2人で、遠隔操作可能な模型飛行機を用いたテロが計画されていたという。当局は少なくとも昨年末から、当時はシュトゥットガルト大学に在籍していたこの2人を監視。今回、シュトゥットガルトとミュンヘン、ザクセン州、ベルギーの関連施設で90人の警察官による家宅捜索が行われた。連邦議会内務委員会のボスバッハ委員長(キリスト教民主同盟=CDU)は同件を受け、「テロリストに対して油断してはならない」とコメント。今回の措置は必要に迫られた対応だったことを説明した。

また、これに先立つ6月20日には北部のハンブルク、ピンネベルク、リューベックなどで15カ所の住居とモスクに対して警察80人による家宅捜索が行われた。昨年、活動を禁止されたミラトゥ・イブラヒム率いるサラフィスト集団の後継組織設立の動きがあったとみられている。

 

オバマ米大統領が、ベルリン訪問
ブランデンブルク門前で演説

オバマ米大統領が6月19日、ドイツの首都ベルリンを訪問し、ブランデンブルク門前で「核なき世界」の実現に向けた「核兵器削減案」を表明する演説を行った。また、オバマ氏はメルケル首相と会談を行い、アフガニスタン、シリア問題および先頃発覚した米国家安全保障局(NSA)による諜報活動「プリズム」計画などについて話し合った。ヴェルト紙が伝えた。

今回、オバマ氏は6月18日に北アイルランドで開催された主要国首脳会議(G8)会合の帰途でベルリンに立ち寄り、米大統領専用機エアフォース・ワンでミシェル夫人、長女のマリアさん、次女のサーシャさんを伴ってベルリン・テーゲル空港に降り立った。オバマ氏がベルリンを訪れたのは、大統領選挙キャンペーンの真っ最中だった2008年以来、5年ぶり。また、今年6月26日は折りしもジョン・F・ケネディ元米大統領が「ベルリンの壁」を前に、「私は1人のベルリン市民だ」のフレーズで知られる名演説を行ってから50年目という時期に当たっていた。

オバマ氏は、ブランデンブルク門前の旧東ベルリン側に当たるパリ広場で演説を行い、その中で核なき世界の実現に向けた具体的な「核兵器削減案」を表明。米国の戦略核弾頭の配備数を従来の合意からさらに3分の1減らすことなどについて触れ、同様の措置をロシア側にも呼び掛けた。また、ベルリンの壁とドイツ統一の歴史を振り返り、「人権に対する闘いは続く」として「ドイツに神のご加護があるように」と述べた。オバマ氏は、大統領就任から間もない2009年に「核なき世界」をビジョンに掲げる演説を行い、これによって同年のノーベル平和賞を受賞している。

この日のベルリンは気温30度を超える夏日で、同氏は演説の際に上着を脱いでワイシャツ姿となり、「友人同士の間で堅苦しくする必要はない。どうか皆さんもそうしてください」と語った。

一方で、オバマ米大統領の今回の訪問に際し、NSAの「プリズム」計画についての解明を求める声や、アフガニスタンやイラクで拘束したテロ容疑者を収容するグアンタナモ米軍基地の収容所の存在を批判する人々が、ブランデンブルク門周辺でデモを行う光景も見られた。

 

介護保険改革に20億ユーロが必要
認知症患者の介護を視野に

介護保険改革審議会が6月27日発表した報告書「具体的な要介護者の把握と対応」で、最低20億ユーロの追加財源が必要であることが明らかになった。

同審議委員会はバール保健相(自由民主党=FDP)によって設置されたもので、特に認知症患者の介護を視野に入れ、専門家らが15カ月を掛けて報告書を作成した。現在、介護保険による支援が適用されている対象者は国内で250万人。認知症患者の数は150万人と報告されており、2050年までに倍増すると見られている。 

今年初め、軽度の介護認定を受けている認知症患者50万人に対して補助金が増額されている。

 

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