ヴルフ前大統領に無罪判決
ハノーファー地裁、証拠不十分で
ハノーファー地方裁判所は2月27日、ニーダーザクセン州首相時代(2003~10年)の収賄罪に問われていたクリスチャン・ヴルフ前大統領(54)に対し、無罪判決を言い渡した。ヴェルト紙が伝えた。
ヴルフ前大統領はニーダーザクセン州首相を務めていた08年、友人の映画制作者ダヴィット・グレーネヴォルト氏からミュンヘンのオクトーバーフェストに招待され、720ユーロ相当のホテル宿泊費と食事の接待を受けた見返りとして、グレーネヴォルト氏の映画制作に便宜を図ったとされ、このことが起訴理由となっていた。
ハノーファー地裁のローゼナウ裁判長は裁判で、「決定的な証拠が見当たらない」として無罪を言い渡した。検察側はこの判決を受け、「判決内容を検討したい」としている。裁判内容に問題点があったと証明されれば上告となるが、この場合、連邦裁判所がやり直し裁判の是非を判断することになる。今回、接待した容疑に問われていたグレーネヴォルト氏も同件に関して無罪との判決を受けた。
無罪判決を受けてヴルフ氏は、「正義が勝利した」とコメント。「これで新たな将来設計が立てられる」と述べた。同判決により同氏は、家宅捜索および裁判における費用の弁償を求めることができる。ヴルフ氏は3月からハンブルクに新しく弁護士事務所を開業。また、歴代の大統領と同様に連邦議会内に事務所を持つことができるため、週に1回はベルリンに通うとしている。
ヴルフ氏の弁護人は、「判決はヴルフ氏の名誉回復を意味する」とコメント。また、トルコ移民問題に対して積極的に取り組んできたヴルフ氏についてドイツ・トルコ人協会のケナン・コラート会長は、「無罪を信じていた。トルコ人にとって、ヴルフ氏は大統領であり続ける」と、判決を歓迎するコメントを発表した。
ヴルフ氏は2010年に大統領に就任したが、ニーダ―ザクセン州首相時代に自宅を購入した際、友人から50万ユーロの個人融資を受けていたことなど、様々な便宜供与疑惑が浮上。さらに同疑惑を報道したビルト紙に対し、記事の掲載中止を求める圧力を掛けたことなども問題となり、2012年に大統領を辞任した。