ジャパンダイジェスト

ラインラント=プファルツ州元財相に有罪判決
ニュルブルクリンク開発めぐる背任行為で

コブレンツ地方裁判所は4月16日、2012年に倒産したオートレースのサーキット、ニュルブルクリンクの開発をめぐって背任罪に問われていたラインラント=プファルツ州元財相のインゴルフ・ドイベル被告(社会民主党=SPD)に、懲役3年半の有罪判決を下した。

ニュルブルクリンクの開発をめぐっては、09年に民間からの出資がとん挫したことを受け、3億3000万ユーロの費用をラインラント=プファルツ州が肩代わりし、これによってドイベル氏は州財務相を辞任していた。裁判所はドイベル元財務相に、背任および調査委員会での偽証など14件の罪状を理由に執行猶予なしの有罪を言い渡した。

 

連邦政府、最低賃金法案を閣議決定
施行は15年から

連邦政府は2日、国内すべての業種において最低賃金を時給8.50ユーロと規定した最低賃金法を閣議決定した。同法は2015年1月1日から施行される。

最低賃金の導入は、社会民主党(SPD)が大連立政権を組む主要条件として推進してきたもの。閣議決定に当たってナーレス労相(SPD)は、「これにより、400万人の人々が正当な労働に見合った対価を得られるようになる」と意義を強調。一方、労相が「例外規定は設けない」としていた当初の発言に反し、職業訓練修了資格を持たない18歳以下の若者や長期失業者に対する例外規定を設けたことについて、労働組合および手工業連盟から批判の声が上がっている。労組側はこれを「不当な差別だ」としており、手工業連盟は「修了資格がない場合、例外規定を18歳以下と限定するのは不適切」との見解を表明している。

また、国内の主要経済研究所各所からは、最低賃金の導入は2018年までに35万人分の雇用機会を喪失する元凶となるとの指摘が上がっており、同法の抜本的な見直しを求める意見が出ている。

 

再生可能エネルギー改正法案を閣議決定
製造業への賦課金減免措置を継続へ

連邦政府は8日、再生可能エネルギー法(EEG)の改正案を閣議決定し、数億ユーロに上る製造業への賦課金減免措置の継続を決めた。ヴェルト紙が伝えた。

大量の電力消費を必要とするメーカーに対しては、エネルギー転換に伴う再生可能エネルギー促進のための賦課金の負担を減らすことで国際競争力を保ち、企業のリストラなどを回避することが必須とみられていた。このため、連邦政府は数カ月にわたって協議を重ねたほか、ガブリエル経済相(社会民主党=SPD)は産業界への減免措置に反対していた欧州委員会と交渉を続け、最終的に合意を取り付けた。今回の決定に対して同相は、「連邦政府はエネルギー転換のための新たなスタートを切った。法案改正は急務だった」と述べた。改正法案が施行されれば、電力料金の値上がりに歯止めが掛かる一方で、再生可能エネルギー促進のスピードが抑制されるとみられている。

今回の法案改正に対し、消費者保護機関や野党からは激しい批判の声が上がっている。連邦消費者センター連盟のクラヴィンケル氏は「消費者への裏切りだ」と言明。「連邦政府は消費者より産業界を優先した。産業界が減免措置を受ける分、市民の負担が増す構図になる」と述べた。また、緑の党も「再生可能エネルギー施設の増設における大連立政府の政策は、キリスト教民主・社会同盟(CDU・CSU)と自由民主党(FDP)による前政権の政策を下回るレベルだ」と酷評した。このほかにも、改正法案反対派からは「製造業が減免措置を受けることによって生じる51億ユーロがあれば、3人家族が年間180ユーロの電力料金を節約できる」との指摘も上がっている。

ガブリエル経済相は、「産業界がEEGの賦課金を年間74億ユーロ支払うとすれば、これはほかの工業国と比べて負担額が2倍になることを意味する。そうすれば、国際競争力が激しく損なわれる」と述べ、法改正の目的は企業を保護することではなく、雇用の確保であると強調した。閣議決定を受けて鉄鋼業界の代表を務めるケルクホフ氏は、「鉄鋼業が引き続き競争力を保ち、ドイツで製造することができる」とコメント。ドイツ商工会議所(DIHK)およびドイツ産業連盟(BDI)も歓迎の意向を示している。

 

欧州裁、個人情報の保存に制限
連立与党内から抗議も

欧州裁判所は8日、電話やインターネットにおける通話記録の保存について、問題行動が認められない一般市民に関しては厳しく制約を設ける決定を下した。

現行の欧州連合(EU)規定では、テロや犯罪対策を理由に6~24カ月間の電話およびインターネット上での通話記録の保存を義務付けている。今回の判決では、この規定が基本的人権の侵害に当たり、犯罪性が認められない一般市民の情報収集には「絶対的な必要性が認められない」とされている。判決を受けて連立政権内からは、「専門家と協力した上での最低限のデータ保存は、犯罪対策として必要である」との声が上がっている。

 

児童ポルノの取り締まりを強化へ
「子どもの裸の画像」を禁止

児童ポルノの取り締まりを強化する新たな法案が10日完成し、今後「子どもの裸の画像」の取り引き全般が違法となる見込みとなった。ヴェルト紙が伝えた。

現行法では、局部が強調されているなどのあからさまなポルノ画像のみが懲罰対象とされているが、エダティー元連邦議会議員(社会民主党=SPD)の児童ポルノ画像購入疑惑を受け、連邦政府は対策強化を決定。マース法相(同)は今後、子どもの裸が写っている画像の売買だけでなく、譲渡にも罰則を科す方針を発表した。一方、キリスト教民主同盟(CDU)の一部は、児童ポルノの被写体となっている子どもの保護を含めた包括策を求めている。

 

政府の二重国籍法案にSPD政権州から異論
イスラム協会、労組も反発

連立政府の新たな二重国籍法案に対し、シュレスヴィヒ=ホルシュタイン州の社会民主党(SPD)などから異論を唱える声が上がっている。6日付のヴェルト紙が伝えた。

政府案は、ドイツで生まれ育った子どもたちに二重国籍を認可し、23歳までにどちらか1つの国籍の選択を義務付ける制限を撤廃するというもの。しかし、これに該当するためにはドイツでの出生証明書に加えてドイツで育ったことを証明する住民登録証明、またはドイツの学校の卒業証明書の提出が義務付けられる。

これに対し、シュレスヴィヒ=ホルシュタイン州政権を担う同州SPDが、ドイツで育ったことを条件に入れず、ドイツ生まれの子どもたちに一律に二重国籍を与えるべきと主張。SPDと緑の党が連立政権を担うラインラント=プファルツ州、バーデン=ヴュルテンベルク州なども同意見で、二重国籍法案に関する論議を連邦参議院に持ち込む見通しだ。さらに国内の15のトルコ人団体、イスラム団体、ドイツ労働総同盟(DGB)などが合同で、同様の理由で同案に反対する手紙をメルケル首相に提出している。

 

1人親世帯の5分の2が生活保護受給
90%は母子家庭

ベルテルスマン財団が10日発表した調査で、国内で母子家庭の世帯数が急増しており、現在、1人親世帯で生活する子どもの数は220万人、うち90%が母子家庭であることが明らかになった。ヴェルト紙が伝えた。

1人親世帯の5分の2は長期失業者向け生活保護(ハルツ4)の受給者。多くの場合、別居する父親が定められた養育費を支払っていないことが、貧困の大きな要因になっている。一方、養育費支払い義務のある父親の多くが月1100ユーロ程度の収入で暮らしており、支払い能力がないことも指摘されている。同財団は、国が困窮する1人親世帯に生活費の前貸しを導入することを提唱している。

 

マルクス大司教を司教会議長に選出
ドイツ・カトリック教会の代表に

ドイツ・カトリック教会司教会議の春季総会が12日開催され、次期議長にラインハルト・マルクス・ミュンヘン司教(60)が選出された。ヴェルト紙が伝えた。

今回の総会では、2008年から議長を務めていたフライブルクのロベルト・ツォリッチ大司教(75)の退任に伴って後任が選出された。ヴェストファーレン地域出身で、神父として牧会のほか、大学で教鞭を執っていた経験もある。

今回の選出に当たり、マルクス大司教は「やりがいを感じる」とコメント。今後、国内にいるカトリック教徒2430万人を取りまとめ、対外的にも

 

脱税でバイエルン会長に懲役3年半
自己申告考慮されず、執行猶予なし

ミュンヘン地方裁判所は13日、サッカー・ブンデスリーガの名門クラブ、FCバイエルン・ミュンヘンのウリ・ヘーネス会長(62)の脱税に関する裁判で、被告に懲役3年半の実刑判決を言い渡した。ヴェルト紙が伝えた。

ヘーネス会長は2001~06年に掛けて、スイスの隠し口座の金を使って株式投資を行っていたが、大きな損失を出してからは投資から手を引いていたという。しかしこの隠し口座の発覚を恐れて2013年1月、税務署に脱税を自己申告。同年3月には検察の捜査が自宅に入り、ヘーネス会長自身に逮捕状が出されたが、多額の保釈金を支払って釈放されていた。 

ヘーネス被告の脱税総額は、2850万ユーロと見られており、検察は巨額であることを重くみて懲役5年を求刑していたが、ハインドル裁判長はこれを却下。被告自身が罪状を認め、自白していることが考慮されて厳罰は回避されたが、被告の自己申告による脱税額が実際の額を大きく下回っていたことなどから、自己申告を受けての減刑措置は取られず、懲役3年半で執行猶予なしの実刑判決となった。ヘーネス被告の弁護人は被告の自己申告を踏まえて裁判の中止、または執行猶予処分を求めていたが、今回の判決を受けて上告を見送ることを発表。へーネス被告はバイエルン会長職の辞任を表明した。

ヘーネス被告の判決に、有名人としての特別措置が取られなかったことについて、バイエルン州のゼーホーファー首相(キリスト教社会同盟=CSU)は「衝撃を受けている」とコメント。一方、社会民主党(SPD)のシュテーグナー副党首は「ミュンヘン地裁の判決は正当」と発言。緑の党のホーフライトナー院内総務も「まったく正しい判決」、左派党のヴァーゲンクネヒト副党首は「今日は法治国家にとって非常に良い日となった」と述べた。

過去に多額の脱税で有罪判決を受けた有名人には、02年に懲役2年と罰金50万ユーロの判決を受けた元テニス選手のボリス・ベッカーがいる。このほか、1997年には元テニス選手シュテフィ・グラフさんの父親でマネージャーでもあったペーター・グラフが、懲役3年9カ月の実刑判決を受けている。

 

旧東独地域の資産総数が急増
30代では経済状態に大きな東西格差なし

ドイツ経済研究所(DIW、本部ベルリン)が2月26日発表した調査結果で、近年の不動産ブームの恩恵により、旧東独地域の資産数が増大していることが明らかになった。

調査によると、際立って利益を得ているのが旧東独地域に不動産を所有する人々。それを反映して2002~12年に掛けての資産の増加率は旧西側地域で4.2%であるのに対し、旧東側地域では12.1%となっている。

なお、30代の人たちの経済状態に際立った東西格差は見られなかった一方、30代以上になると、この差が大きく開いてくる。理由としては、高齢者は東独時代に資産を増やすチャンスがなかったことが挙げられている。

 

連邦憲法裁、欧州議会の3%阻止条項を廃止
小党分立の可能性も

連邦憲法裁判所は2月26日、欧州議会選挙でドイツに対して定めている3%の阻止条項を廃止する判断を下した。5月に実施される選挙では、この決定が適用される。

この訴えは、極右政党・国家民主党(NPD)を含む複数の政党と市民らが行ったもので、原告側は2011年に欧州議会選挙における阻止条項が5%から3%に引き下げられたことを引き合いに出し、阻止条項は機会の平等を妨げるものだと主張していた。阻止条項は、得票率が一定の割合を満たしていない場合、議席獲得が認められないとするもので、小党分立を防ぐ役割を果たしている。

ドイツ連邦議会選挙ではこれが5%と定められているが、欧州議会においては国によって異なり、オーストリア、イタリア、スウェーデンなどで4%、フランス、ポーランド、クロアチアなどで5%と定められており、ドイツでは11年以降、3%となっていた。今回の決定により、現在ドイツからは6党のみが議席を占めている欧州議会で多数の党が乱立する可能性が出てきており、欧州議会議員からは同判決に対する反発の声が上がっている。

 

NPD、大統領を憲法裁に告訴
連邦議会選挙前に「侮辱発言」

極右政党・国家民主党(NPD)がガウク大統領を連邦憲法裁判所に告訴した件で2月25日、第1回公判が開かれた。

昨年8月、ガウク大統領は数百人の学校生徒を前に話をした際、厳しい言葉を用いて極右勢力を批判し、「道に出て、頭のおかしい連中をこの国から決然と追い出す市民が我々には必要だ」と述べた。これに対してNPDは、大統領の発言が侮辱的で、選挙に大きく影響したとして訴えた。歴代大統領が憲法裁に訴えられるのは初めて。

憲法裁のミュラー判事はガウク大統領の発言について、大統領がベルリンで起こった難民居住施設をめぐる一連の不穏な動きを指して言ったものと指摘した。

 

ヴルフ前大統領に無罪判決
ハノーファー地裁、証拠不十分で

ハノーファー地方裁判所は2月27日、ニーダーザクセン州首相時代(2003~10年)の収賄罪に問われていたクリスチャン・ヴルフ前大統領(54)に対し、無罪判決を言い渡した。ヴェルト紙が伝えた。

ヴルフ前大統領はニーダーザクセン州首相を務めていた08年、友人の映画制作者ダヴィット・グレーネヴォルト氏からミュンヘンのオクトーバーフェストに招待され、720ユーロ相当のホテル宿泊費と食事の接待を受けた見返りとして、グレーネヴォルト氏の映画制作に便宜を図ったとされ、このことが起訴理由となっていた。

ハノーファー地裁のローゼナウ裁判長は裁判で、「決定的な証拠が見当たらない」として無罪を言い渡した。検察側はこの判決を受け、「判決内容を検討したい」としている。裁判内容に問題点があったと証明されれば上告となるが、この場合、連邦裁判所がやり直し裁判の是非を判断することになる。今回、接待した容疑に問われていたグレーネヴォルト氏も同件に関して無罪との判決を受けた。

無罪判決を受けてヴルフ氏は、「正義が勝利した」とコメント。「これで新たな将来設計が立てられる」と述べた。同判決により同氏は、家宅捜索および裁判における費用の弁償を求めることができる。ヴルフ氏は3月からハンブルクに新しく弁護士事務所を開業。また、歴代の大統領と同様に連邦議会内に事務所を持つことができるため、週に1回はベルリンに通うとしている。

ヴルフ氏の弁護人は、「判決はヴルフ氏の名誉回復を意味する」とコメント。また、トルコ移民問題に対して積極的に取り組んできたヴルフ氏についてドイツ・トルコ人協会のケナン・コラート会長は、「無罪を信じていた。トルコ人にとって、ヴルフ氏は大統領であり続ける」と、判決を歓迎するコメントを発表した。

ヴルフ氏は2010年に大統領に就任したが、ニーダ―ザクセン州首相時代に自宅を購入した際、友人から50万ユーロの個人融資を受けていたことなど、様々な便宜供与疑惑が浮上。さらに同疑惑を報道したビルト紙に対し、記事の掲載中止を求める圧力を掛けたことなども問題となり、2012年に大統領を辞任した。

 

フリードリヒ農相が辞任
SPD元議員の児童ポルノ・スキャンダル受け

児童ポルノのデータを購入していたゼバスティアン・エダティー連邦議会議員(社会民主党=SPD)が捜査対象になっているとの情報を、内相だった当時、SPD幹部にもらしていた事実が発覚したハンス・ペーター=フリードリヒ農相(キリスト教社会同盟=CSU)が14日、辞任を発表した。ヴェルト紙が伝えた。

エダティー議員は2005年10月~10年6月の間に、9回にわたってカナダのオンラインショップで合計31点の児童ポルノの映像と写真データを購入。これらすべてに9~14歳の裸の少年が写っており、同議員は連邦議会のサーバーを使用してデータを入手していたとみられている。

同件に関しては、カナダの警察当局から独連邦刑事局に通報があったが、昨年10月の時点で当時の連邦政府およびSPD上層部に情報が伝わっていたといい、検察は「言葉を失っている」とコメントした。

検察局は、今月6日にランメルト連邦議会議長(キリスト教民主同盟=CDU)宛てにエダティー議員の訴追手続き開始の告知を提出。その2日後の8日に同議員は、健康上の理由から数日前に連邦議会議員の職を退いたことを発表した。ハノーファー検察局はエダティー氏の自宅を家宅捜索した際、容疑を実証する証拠となるものを押収できなかったとしており、事前に同氏に情報が伝わり、証拠隠滅が行われた可能性があるとしている。

フリードリヒ農相は辞任会見で、「私は当時、SPDのガブリエル党首に情報を伝えたが、政治的にも法的にも正しい行動を取ったと確信している」として、「私はまた戻ってくるだろう」と述べた。これに対し、大連立政権内では、SPDのオッペルマン院内総務に対しても同件の責任を問う声が強まっているが、同氏は「当時私が伝え聞いた情報では、データの中身は法律に抵触するものではないとの理解だった」と釈明している。

フリードリヒ農相の辞任を受け、CSUのウール内政担当議員は、「内相はSPDのために責任を取って辞任した。検察の怠惰でエダティー氏が無罪になるようなことがあれば、これほどばかげたことはない」と発言。大連立政権内での不協和音が高まっている。

 

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