多額出費のリンブルク司教に批判
教会と司教館の建築に約3100万ユーロ
ヘッセン州リンブルクのカトリック教会司教が、教会と司教館の建築に当初の予算の5倍以上に当たる約3100万ユーロを投じていたことが発覚し、論議を呼んでいる。15日付のヴェルト紙が報じた。
リンブルクでは、2012年6月に教会と司教の住居となる司教館、さらに修道館を新築。当初の建築予算は550万ユーロだったが、実際に掛かった費用は約3100万ユーロと過剰出費に。さらに、この事実が教会の財政評議会にも事前に通知されていなかったことなどから、リンブルクのフランツ=ペーター・テバルツ=ファン=エルスト司教に、引責辞任を求める声が高まっている。同司教は問題の発覚後、公式のコメントを発表しておらず、今月8日には、ヴィースバーデンで予定されていた「ローマ教皇選出」に関する講演会も急きょキャンセルしている。
カトリック教会の中でも同司教に批判的な立場を取る「ホフハイム・グループ」のヴェルナー・オットー司祭は、「このような多額の出費は道徳的に正当化できるものではない」と発言。カトリック教会指導部のツォリッチ司教評議会議長はテバルツ=ファン=エルスト司教に反省を促す声明を発表、ティールゼ連邦議会副議長(社会民主党=SPD)も、司教に同問題に対する責任を求めた。さらにハンブルク検察局は、テバルツ=ファン=エルスト司教が飛行機のファーストクラスでインドへ旅行した際の宣誓に代わる保険の提出書類に偽りがあったとして、略式命令を下すことを発表している。
同件を受けてメルケル首相(キリスト教民主同盟=CDU)は広報官を通じ、「カトリック教会の信者と教会に対して大きな負担となる事態を招いたことは否めない」「人々の教会への信頼が回復する措置が取られることを望む」とのコメントを発表している。なお、テバルツ=ファン=エルスト司教は同件についてローマ教皇と謁見を行うため、14日にローマ入りしている。
今回のスキャンダルの影響で、カトリック教会を母体とする援助・福祉組織カリタスに対する寄付が大きく減少しており、これまでの寄付者からリンブルク司教の件を理由に寄付を行わないとする旨の手紙が多数届いているという。