ベルリンの陸の玄関口、ベルリン中央駅が5月26 日、開業から10周年を迎え、27日と28日の週末に記念イベントが行われました。
開業から10周年を迎えたベルリン中央駅
土曜日のお昼、中央駅南側のワシントン広場に行くと、世界のストリートフードの屋台がずらっと並び、家族連れや旅行者でにぎわっていました。おいしそうな匂いにつられて韓国の屋台で買ったカルビ風ハンバーガーを頬張りながら、周りを見渡すと、この10 年でホテルやオフィスビル、連邦政府の省庁が次々と建ち、駅周辺の風景が大きく変わったことを実感します。屋台の周りには砂場やわらを集めた遊び場が設置され、そこに突然ピエロが出てきておどけるなど、子供たちを飽きさせないプログラムも満載でした。
駅の構内には何カ所かにコンサート用の特設ステージが設けられ、トークショーやコンサートが行われたほか、大道芸人たちが道行く旅行者にちょっかいを出すなど、まるで駅が劇場空間に変貌したかのようです。
記念イベントの期間中は駅の構内が劇場空間に
楽しい雰囲気の中で10周年を迎えたベルリン中央駅ですが、その建設は幾多の困難を伴った巨大プロジェクトでした。当初の完成予定は2003年でしたが、やがて2006年に修正。しかしそれでも、同年に開催されるサッカーW杯ドイツ大会までに間に合わせるのが難しい状況になると、ドイツ鉄道のメードルン社長はホームを覆うガラス製の屋根を133メートル縮小することを決定。激怒した設計者のフォン・ゲルカン氏との間で裁判沙汰にまで至ります。2006 年5月の開業日の夜には、1人の男がナイフを無差別に振りかざし、37人が重軽傷を負う事件が発生。翌07年1月には暴風雨によりファサード部分の1.35トンの鋼材が落下する事故が起きましたが、幸いけが人は出ませんでした。
現在1日約30万人が利用する中央駅。近年、長距離・夜行列車が縮小する傾向にあっても、この駅からはモスクワ、コペンハーゲン、ウィーン、ブダペスト、インターラーケン、アムステルダムまでの直通列車が定期的に発着し、時々このような国際列車に出くわすと旅心が誘われます。
昨年夏には北側のヨーロッパ広場までトラムが延びてきました。中央駅の次の大きなプロジェクトは新しいS バーン(都市近郊鉄道)の建設です。北側の環状線から中央駅を通ってポツダム広場方面を結ぶS21の建設が進められていますが、建設費用は当初の予定を大幅に上回ることになり、完成の目処はまだ立っていません。