旧市街の中心に位置するドレスデン州立歌劇場(Semperoper Dresden)は、芸術と音楽の都として盛えてきたドレスデンにとって中心的な存在です。ドレスデンといえばクリスマスマーケットが有名ですが、実はそれと同じくらい人気なのが当歌劇場のクリスマス公演。毎年チケットがすぐに完売するほど、多くのドレスデナーに愛されています。昨年末、ついに念願叶ってその公演を訪れることができました。今回のレポートでは、そんなドレスデン州立歌劇場が織り成す魔法についてお伝えします。
街のアイコンとしても愛されている歌劇場
この特別公演は毎年11〜12月に行われており、昨年はオペラ「ヘンゼルとグレーテル」とバレエ「白鳥の湖」が催されていました。ドレスデンに引っ越してきた当初から当歌劇場を訪れたいとずっと思っていたのですが、幼いころから大好きだったこの童話のタイトルを目にしたとき「このタイミングだ!」と思ってチケットを購入。チケットを取ったのは10月末でしたが、すでに多くの公演日が完売。幸運にも席が確保でき、ほっと胸をなで下ろしました。
クリスマス期間限定のオペラカーテン
せっかくの機会だったため、当日は劇場内ツアーにも参加することに(ドイツ語または英語)。1841年に建築家ゴットフリート・ゼンパーによって建設されるも、その後、火災や戦争などで幾度も改築・修復されてきたこの歌劇場。時代を超えた美しさは外観だけでなく、細かいところまで見どころ満載でした。数々の彫刻、ゴールドや大理石などで装飾された豪華な内装は芸術品そのもの。ステージ上だけでなく、劇場の空間全てでオペラを演出していると言わんばかりです。
私が訪れたのはクリスマス直前の週末だったこともあり、ホール内は夫婦や家族で観劇しに来ている方々で大にぎわい。厳しいドレスコードはないものの、一張羅のジャケットやワンピースに身を包み、おしゃれをしている方も多く見受けられました。なかにはサンタ帽を被った子どももいて、会場内には年末独特のわくわく感が漂っていました。
柱から天井の細部までが芸術品そのものでした
兄妹の絆、冒険、そして家族の愛を描く「ヘンゼルとグレーテル」。これらのテーマがオーケストラの美しい音色と見事に融合して、ホールが温かい雰囲気に包まれます。忙しい毎日のなかで時間をつくり、大切な人たちと歌劇場でゆったりと時間を共にすること自体が、とても豊かに感じられました。終演後は近くのクリスマスマーケットで、ホットチョコレートを片手に余韻を楽しみました。そのとき街の装飾や灯りが一段と輝いて見えたのですが、もしかしたらこれも歌劇場の魔法かもしれません。
歌劇場では、ほかにも多彩な演目が実施されています。公演の日程やチケット情報は、歌劇場のウェブサイトから。今回ご紹介したクリスマス公演のチケットは特に早く売り切れてしまうので、気になる方は秋ごろからチェックすることをおすすめします!
高校・大学時代にカナダと英国へ留学し、日本での就職を経て、2020年10月に渡独。現在はドイツのおにぎり屋さん「Tokyo Gohan」にて広報および経理をサポート。趣味はロードバイクとランニング。ドイツ国内外の旅行兼マラソン大会出場のため、日々トレーニング中!