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ザクセンのスイスを歩く

「ザクセンのスイス」は、観光ガイドを通してよく知られている風光明媚なエルベ砂岩山地で国立公園のことです。ドレスデン市内からエルベ川を上流に沿って約20キロのチェコとの国境手前付近に位置する、車で走ると約30分で到着できる「近くの自然」であり、本格的な山登りだけでなく軽い山歩きも日帰りで楽しめます。フラウエン教会やツヴィンガー宮殿をはじめ、ドレスデン市内の主要な建築、さらにベルリンのブランデンブルグ門にはこの地域で産出されるエルベ砂岩が使用されています。エルベ砂岩山地は浸食作用により100メートルほどの高低差を生み出しており、独特の奇岩風景が目玉となっています。

ここの中心地は18世紀から保養地として栄え、現在では遊覧船の終点地となっているバート・シャンダウで、ホテルやレストランが多数あります。

折り重なる奇岩の山々
折り重なる奇岩の山々

散策コースの種類は豊富で、体力や時間、好みに合わせて選べ、地図や案内標識も完備されています。例えばパノラマ道は、ゆるやかな起伏が続く野原や森、畑の脇を歩き、小さな村々を通り抜けていくコースです。民家も看板もない野原には、けもの道のような一筋の道が続いており、ひたすら自分の足で合計5~6時間ほど歩き続けると精神が無になるような感覚を覚えます。いつもは車で走り抜けて気にもとめない村々の風景を歩く速度で体験することによって、徒歩や馬車しか移動の手段がなかった時代に思いを馳せることができます。そびえ立つ奇岩の山登りコースもあり、これはかなりハードです。岩と岩の間の細い道を滑らないように気をつけながら歩いて頂上付近にたどり着くと、連なる奇岩の山々が望めます。

ザクセンのスイスは風光明媚というだけではありません。岩肌が垂直であるため、昔からフリークライミングが盛んに行われています。ゴーリッシュという村では、1960年にショスタコーヴィチが弦楽四重奏曲第8番をわずか3日間で作曲しました。また、ドイツ・ロマン派のフリードリヒやリヒターなどの画家がこの地の奇岩の風景を度々描いており、これにちなんで「画家の道」と名づけられたコースは、2007年にドイツで最も美しい散策道に選ばれています。何度訪れてもテーマを変えれば違った顔が見えてくる……この地の魅力は尽きません。

コース案内に沿って歩くと楽しめる奇岩や森や野原の風景
コース案内に沿って歩くと楽しめる奇岩や森や野原の風景

福田陽子さん福田陽子
横浜出身。2005年からドレスデン在住。ドイツ人建築家の夫と娘と4人暮らしの建築ジャーナリスト。好奇心が向くままブログ「monster studio」公開中。
http://yoyodiary.blog.shinobi.jp/
 
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