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ブンテ・レプブリーク・ノイシュタット

ドイツ国内の様々なお祭りやイベントの中でも、ブンテ・レプブリーク・ノイシュタット(Bunte Republik Neustadt)ほど賑やかで楽しく、そして派手で騒々しいお祭りはないでしょう。落書きや犬の糞が多く、パンクの人々が道端に座っているけれども、破天荒で活気のあるオイセレ・ノイシュタット(Äußere Neustadt)が丸ごとお祭り会場と化してしまうこのイベントが、今年は6月19日から21日まで開催されました。

このお祭りは1990年に初めて開催されました。それはちょうど、東ドイツの通貨が西ドイツの通貨に吸収される通貨統合の1週間前のことでした。ドイツ再統一に伴う資本主義への不安や疑問反対が特に強かったこの地区の住民が独自の共和国を設立し、それを祝ったのが始まりです。独自の政府を発足させ、旗や「ノイシュタット・マルク」という通貨を制定するなど、デンマークのコペンハーゲンにある独立自由都市クリスティアーナのような存在を目指したかに見えましたが、1993年に共和国は消滅してしまいました。しかしその後もこのお祭りは続き、現在ではアートやカルチャー的な色合いの濃い近隣住民の交流の場となっています。

グラフィティを背景に自前のステージで歌う人
グラフィティを背景に自前のステージで歌う人

数年前まで、このお祭りは実行委員会が運営していましたが、現在では参加希望者は事前に近隣の承諾を得た上で役所へ届け出れば、晴れて屋台を出したりパフォーマンスをしたりステージを作ったりできます。すべてが手作りなので、間に合わせだったり、未完成な感じが溢れていたりするのですが、不思議なことにそれがかえって一体感を演出するのに役立っています。屋台が多数を占めますが、子ども用のワゴンにパラソルを立てて移動しながらベーグルを売るおじさん、アクロバットを披露する少女たち、ドラムセットを自宅前に設置して演奏する女性、自前のステージを設置し、ミラーボールを吊り下げてDJをする若者など、何でもありです。

もう1つの特徴は、その大騒ぎぶりです。ドラム演奏のパレード、スピーカーを自宅の窓から外へ向けて音楽を流す人、特大スピーカーを車に積んで走り回る人など、ハチャメチャぶりを競っているようで、思わず笑ってしまいました。サッカーのフーリガンにも負けず劣らずの騒ぎがエスカレートするのは毎回のことで、夕方近くになると完全武装した警察官が巡回します。彼らに無線で指示を出す車両は数年前に襲撃されたことがあるらしく、現在ではそれと分からない普通の車で移動しているようです。

乳幼児からモヒカン頭の若者までが一堂に集うこのお祭りは、毎年6月第3週末に開催されます。

www.brn-dresden.de

煙を上げ大音響のスピーカーを積載した車。まるで紛争地域のよう
煙を上げ大音響のスピーカーを積載した車。まるで紛争地域のよう

福田陽子さん福田陽子
横浜出身。2005年からドレスデン在住。ドイツ人建築家の夫と娘と4人暮らしの建築ジャーナリスト。好奇心が向くままブログ「monster studio」公開中。
http://yoyodiary.blog.shinobi.jp/
 
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