接触制限令により、自由に出かけられない日々が続いていますね。そのため今回は、少しでも気分が晴れるよう、以前見かけた木組みの家の教会を紹介したいと思います。
北ドイツに見られる教会の建築様式の多くは、レンガゴシック様式です。ハンブルクのシンボルといわれる聖ミヒャエリス教会は優美な北ドイツ・バロック様式ですが、それはむしろ例外的といえるでしょう。また、ハンブルク南部を流れるエルベ川よりも南側に位置するアルテスラント地方からニーダーザクセン州にかけても、教会はレンガゴシック様式で建てられていることが多いですが、この辺りには一般的な家屋として、中世からの伝統的な「木組みの家(Fachwerkhaus)」が見られます。
教会内部。前方にあるオルガンは、白と水色でかわいい雰囲気でした
木組みの家は、木の柱や梁を骨格として、間にレンガや石材をはめ込む建築様式。アルテスラントには、藁ぶき屋根の大きな木組みの農家が点在しています。ある時、アルテスラント近郊のハールブルクという街に、現役の教会として使われている木組みの家があることを知りました。
このブーゲンハーゲン教会は、もともとは1800年に住宅管理事務所として建てられたそう。そのため外観としては一般的な木組みの家にしか見えませんが、1976年にハンブルクの建築家フリートヘルム・グルンドマン氏の発案によって、外観を残したまま教会として生まれ変わったのです。ちなみに同氏は、ほかにも北ドイツの多くの教会建築に携わっています。
礼拝を終えて帰途につく人々
教会の中に入ってみると、重厚な梁がむき出しになっていて、白く塗られた壁とコントラストをなしています。さまざまな部分でほかのルター派の教会とは違う特徴が見られ、大変興味深かったです。例えば、会堂が縦長ではなく横長なところ。また、大きな教会では説教壇が会衆より一段高い所に設置されているのですが、この教会の説教壇は会衆と同じフロアにあります。さらに、一般的に教会後方にあることが多いオルガンが前方にあり、会衆席は固定ベンチではなく椅子が一脚ずつ並べられている、といった具合です。
礼拝にも参加してみたのですが、多くの方が参加しており、人と人の距離が近いアットホームな雰囲気。この地域の人々にとって、この場所は心の拠り所なのだということが感じられました。私が子どもの頃に観た「大草原の小さな家」というテレビドラマで、主人公一家が毎週日曜日に教会に行っていた様子を思い出しました。
ブーゲンハーゲン教会の外観
現在は教会で人が集まることはできないため、ブーゲンハーゲン教会でも牧師だけがその中で祈りを捧げていることでしょう。人々がウイルスから守られ、再び顔を合わせて触れ合える日が1日も早く訪れますように、私も祈っています。
ハンブルグ日本語福音キリスト教会牧師。イエス・キリスト命。ほかに好きなものはオペラ、ダンス、少女漫画。ギャップが激しいかしら?
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