市内を走るSバーンは、ドイチェ・バーン(DB)とハンブルク市交通局(HVV)のどちらのチケットでも利用できるありがたい市民の足。このSバーンが昨年、ハンブルクの郊外まで延びて、シュターデ(Stade)まで行けるようになりました。ハンブルクからは、1時間ほどで到着します。水郷に囲まれた美しい旧市街は、2時間ほどで散策できるので、日帰り旅行にはもってこいのスポットです。
シュターデの歴史は古く、その起源は11世紀に遡ります。この街は、13~16世紀にはハンブルクをしのぐ港湾都市でしたが、30年戦争により衰退、1645~1717年はスウェーデンの支配下に置かれました。そのため、街の至る所でスウェーデンの影響が見られ、1667年建設の市庁舎にもスウェーデンの紋章が付いています。現在、旧市街に残っているのは17~18世紀の街並みで、レンガ造りの木組みの家が丁寧に美しく修復、保存されています。傾いた家の梁には「神の御心により1689年建築」などと、そして薬局の梁には「病を癒すのは薬草だけでなく神の御手」と書かれていて、当時の人々の信仰深さが伺えました。
木組みの家の街並み
古い港の近辺はフィッシュ・マルクトと呼ばれていて、魚売りの銅像が立ち、当時、積み荷の上げ下ろしに使用されていたとされるクレーンが残っています。この界隈で一際目を引くのが、ルネサンス様式の美しいヒンツェ市長の館。ルネサンス様式は、シュターデの街全体の様式と異なるので、この建物を残すか否か、住民の間で随分揉めた末、結局残すことになったそうです。こういったところにも、ドイツ人のこだわりが現われていますね。
もう1つ特筆すべきは、バロック時代のオルガン制作者の巨匠アルプ・シュニットガーが制作したパイプオルガンです。聖コスメ教会や聖ヴィルハーディ教会のオルガンは素晴らしく、はるばる日本からもオルガン奏者が弾きにやって来るのだとか。
聖コスメ教会のオルガン
さらに水郷の中州には、ニーダーザクセン州との州境地域アルテスラントの果物農家の建物を集めた野外博物館もあります。無料で見学できますので、ぜひこちらにも寄ってみてください。素敵な1日になりますように。
野外博物館の農家
ハンブルグ日本語福音キリスト教会牧師。イエス・キリスト命。ほかに好きなものはオペラ、ダンス、少女漫画。ギャップが激しいかしら?