ジャパンダイジェスト

ついに凍ったアルスター

読者の皆様がこの記事を読んでいらっしゃる頃は、すでに春の兆しが見え始めていると思いますが(そう願いたい!)、今年はヨーロッパ中で例年より寒い冬となったようです。ここハンブルクも、緯度的にはかなり北に位置しながら、毎年冬は暖流の影響で雪ならぬ雨が降るのですが、この冬はずっと雪が降り続きました。

寒い時の雨というのがこれまた厄介で、ドイツ人の間では「nass und kalt」(湿っていて寒い)と大変不評です。地上の気温が氷点下の状態で雨が降ると、道路はたちまち凍結し、スケートリンクのようになってしまいます。そのためこの冬、雪が降り始めた当初はドイツ人たちも「雪の方がありがたいわ。きれいだし」と言っていたのですが、降り続くとさすがに「もう充分」(Nase voll)と言い始めました。

そんな中、ハンブルクっ子の関心は「今年はアルスター湖が凍るか!?」という点にありました。街の中心にあるアルスター湖は、寒波が来てマイナス10℃ほどの気温がある程度続かないと人が乗れるほどには凍りません。最後に凍ったのは1997年、13年前のことです。ここ数年は温暖化の影響もあり、「アルスター湖が凍る日はもう来ないかもしれない」などとささやかれるようになっていました。

アルスター湖の上を散歩する人々
アルスター湖の上を散歩する人々

さて今冬、ハンブルクっ子の期待が高まる中、寒いには寒いのですが、気温はマイナス2℃からプラス1℃辺りをうろついていて、湖面の氷はなかなかしっかりと固まりませんでした。しかし待つこと数週間、1月の終わりについに人が乗れるほどにアルスターは凍りました! 「やったー!」と喜びつつ、次の期待は氷の上で「アルスター祭り」(Alster Vergnügen)が行われるか否か。氷の厚さが20cmを超えると氷の上にソーセージなどの飲食屋台が出るのですが、それは残念ながら実現しませんでした。凍った後で雪が降り、雪が地上の寒さを和らげるため、氷がなかなか厚くならないそうです。仕方なく、先月の週末はアルスター湖の岸辺に屋台が出ていました。

この時アルスターに出掛けた日本人によると、湖の上は日本の市営プール並みの賑わいだったとか。そりやスケートだけでなく、自転車で氷の上を渡った人もいたそうです。このアルスター湖熱、不思議なことにハンブルクに長く滞在している人の間で、より高いようです。最近ハンブルクに来た方は、「これがハンブルクの冬か」くらいに思っているかもしれませんが、ドイツ人と長く住んでいる人にとっては、まさに「待ちに待って、ついに凍ったアルスター!」なのでした。

アルスター湖
岸辺で滑って遊ぶ子どもたち

井野さん井野 葉由美(いの はゆみ)
ハンブルグ日本語福音キリスト教会牧師。イエス・キリスト命。ほかに好きなものはオペラ、ダンス、少女漫画。ギャップが激しいかしら?
 
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