せっかくドイツにいるのだから、本場のオペラを観てみたいと思う方は多いのではないでしょうか。しかしオペラとなると、オーケストラのコンサートより敷居が高く感じられるのも事実。音楽を聴いているだけでも楽しめますが、劇の内容もある程度は知りたいと思うと「予習をしなきゃ!」ということになり、ますます鑑賞の実現は遠のいていきます。しかもオペラは上演時間が長い!オペラ未経験の方は「いきなり長時間のオペラ鑑賞に耐えることができるかしら?」と思うかもしれません。
幕間にくつろぐための空間も、モダンな造り
ハンブルクには、初心者にお勧めのカジュアルなオペラハウス「Opernloft」があります。中心部のオフィス街の一角にあり、入口には立て看板が立っているだけなので、外からはオペラハウスがそこにあるとはとても思えません。Opernloft のコンセプトは、オペラを凝縮してコンサートと同程度の上演時間に収めること、そして現代的な演出です。たとえばビゼーの「カルメン」は、原作ではたばこ工場に勤めるカルメンと近くに駐屯する兵隊のホセの話ですが、Opernloft では舞台がハイスクールになっていて、人気者のカルメンと内気なホセという設定です。
先頃、ここでワーグナーの「ニーベルンゲンの指環」全4話分を一夜で上演するという画期的な試みがなされると聞き、観に行ってきました。ワーグナーの楽劇はそれぞれの話が長いだけでなく、重厚な音楽が途切れることなく流れるので、聴衆にもかなりの集中力が求められ、この4話全部を鑑賞しようと思ったら、それなりの覚悟が必要です。ワーグナーの熱狂的なファンなら、その凝縮した時間に魅力を感じるのでしょうが・・・・・・。
Opernloft では、4人の少女が「ニーベルンゲンの指環」について話しているという設定で、あらすじを台詞で語りつつ、有名なアリアをそれぞれの少女が歌うというものでした。男性のアリアも女性が歌うという斬新なアイデアは、賛否両論のあるところでしょう。オーケストラがなく、ピアノ伴奏のみだったため、ワーグナーの重厚な音楽の魅力が半減してしまっていたのは残念でしたが、全体がコンパクトにまとめられていて、複雑な話の流れがよく分かりました。
「Opernloft」のもう1つの魅力は、前の方の座席には備え付けのテーブルがあり、サロンのようにくつろいで鑑賞できることです。
Opernloftの舞台と会場
ハンブルグ日本語福音キリスト教会牧師。イエス・キリスト命。ほかに好きなものはオペラ、ダンス、少女漫画。ギャップが激しいかしら?