すき焼きやしゃぶしゃぶ、お好み焼きなど、和食を作る際に薄切り肉を使用する料理は数知れず。ドイツにもルーラーデン(Rouladen)という牛肉巻きの煮込み料理がありますが、それでも日本の薄切り肉に比べると、かなり厚みがあります。
しかも、ドイツの牛肉の基本は赤身。日本で売られているような、脂身の付いた肉や霜降り肉というのはほとんど見かけません。そのため、「薄切り肉がほしい」という願いは、ドイツに生活する日本人に共通したものなのではないでしょうか。ただ、頼めば薄くスライスしてくれる肉屋もありますし、中にはスライサーを購入して、家庭で肉のかたまりを薄切りにしている人もいるでしょう。
Ottensen店の外観
そんな中、ハンブルクの老舗肉屋「BEISSER」が、神戸和牛の輸入販売を始めました。インターネットのオンラインショップでは、「BEISSERで輸入する神戸和牛の霜降り肉は、品質レベルA5と、食肉評価では最高レベル。A5の評価が付くのは神戸和牛の中でも15%のみ。肉は芳香に富み、非常に柔らかくジューシー。脂身はバターのようにマイルドで、マジパンやフォアグラのように甘く柔らかい味わい。ぜひお試しください」と紹介されています。
しかし当然のことながら、ステーキ用リブロース肉は100g当たり56.90ユーロという高値。インターネット注文だと、350~450g程のひとかたまりが1個単位で売られていて、それが真空パックで届けられます。店頭で購入する場合でも、事前に注文しておいた方が確実とのこと。また、希望すれば薄切りもしてくれるそうで、それは牛肉に限らず、豚バラ肉でも要望に応じてくれるとのことです。
お肉の販売だけでなく、ビストロでは
ソーセージやハンバーグなどが提供されています
1836年、中央駅近くのシュピターラー通り(Spitaler Str.)で創業したBEISSERは、その後場所を移し、現在はハンブルクに3店舗を展開しています。Eppendorf店とOttensen店は肉の販売だけでなく、ビストロも併設しており、デパートのアルスターハウス4階にあるフードコートでは「ステーキ&グリル」として出店しています。
一方で、それほど食にこだわらないドイツ人が、こんな高級和牛肉をはたして購入するのかしら……? という疑問も心の隅にわいてきます。この記事を読まれて「奮発して、ドイツで神戸和牛ステーキを食べたい!」と思われた方は、万が一ですが、BEISSERが取り扱いをやめてしまわないうちに、試してみてはいかがでしょうか。
BEISSER: www.beisser.de
ハンブルグ日本語福音キリスト教会牧師。イエス・キリスト命。ほかに好きなものはオペラ、ダンス、少女漫画。ギャップが激しいかしら?