G20の折にはホスト国からの歓迎の意味を込め、各国首脳を招いてエルプフィルハーモニーでコンサートが催されました。この様子をテレビでご覧になった方も多いのではないでしょうか。この日はメルケル首相たっての希望で、指揮者として、ケント・ナガノ氏が抜擢され、ベートーベンの第九が演奏されました。
今回1月のオープンから常に、何かと話題を集めている同ホール。コンサートのチケットを入手するのは大変難しいと聞いておりましたので、数年経って落ち着いてから聴きに行こうと思っていたのですが、縁あって、NDR エルプフィルハーモニー管弦楽団の総リハーサルを聴く機会に恵まれました。
2150席を擁するホールは、舞台後方にも客席があるヴィンヤード型。座席がいくつものブロックに分かれていて、自分の席を探すのが、なかなか大変そうでした。まだオープンして間もないので、すべてが真新しく、少し硬い印象も受けましたが、室内は明るい壁の色と相まって、柔らかい光にあふれていました。
団員のカラフルな私服姿が新鮮
この日、予定の指揮者が病気でキャンセルとなったため、急遽フィンランド人のハンヌ・リントゥ氏が指揮をすることになり、プログラムは、ブルックナーの交響曲4番から、シベリウスの交響詩「タピオラ」と、デンマークの作曲家ニールセンの交響曲4番「滅ぼし得ざるもの(不滅)」に変更されました。
この2曲の間に、もともと予定されていたアルバン・ベルクのヴァイオリン協奏曲「ある天使の思い出に」が加わります。すべてが20世紀の作品で、聴くのに結構な集中力を要するプログラムでした。
通常のコンサートなら超満員のところですが、総リハーサルだったことから聴衆者はごく限られており、どの席でも好きなところを選ぶことができたため、自分では絶対買えないような真ん中の一番良い席を陣取って聴くことができました。
一つ一つの楽器の音がそれぞれ独立してクリアに聞こえ、かつばらばらに散ることなく空間に溶けこんでいて、これがこのホールの特徴なのかなと思いました。ヴァイオリンのソリストの音もとても柔らかく、のびやかに響いていました。
休憩後のニールセンの楽曲は、一段上のブロックに移動して聴いていたのですが、また響き方が違って、興味深かったです。この交響曲は雄大で迫力のある演奏でしたが、それでも、本番のために力を抑えていたという話なので、本番は一体どんなに素晴らしい演奏だったでしょうか。この曲は同オーケストラにとっても演奏するのが初めてだったそうですが、それを2日間のリハーサルだけで本番に臨むのですから、さすがプロだと思いました。
ロビーからバルコニーに出ると、目の前にはエルベ川が広がる
ハンブルグ日本語福音キリスト教会牧師。イエス・キリスト命。ほかに好きなものはオペラ、ダンス、少女漫画。ギャップが激しいかしら?