映画「天使にラブソングを」のヒット以来、ゴスペルは日本でも大人気。リード・ボーカルとコーラス隊によるパンチの効いた音楽に、心躍る人も多いことでしょう。もともとゴスペルは「God Spell」や「Good Spell」が詰まって発音されるようになったものともいわれ、「神のグッドニュース」を意味するキリスト教音楽。かつてアフリカから奴隷としてアメリカに連れて来られた人々が、厳しく苦しい生活の中で、救いを与えるキリストを見い出し、彼らのルーツであるアフリカのリズムなどを用いて、独自の賛美を神にささげるようになったのが始まりです。そこから現代のゴスペル・ミュージックが発展してきました。
会場となった教会の牧師と滝元さんご夫妻
日本にも、本場アメリカと同じスタイルで、英語で歌うゴスペル・グループが多々ありますが、日本人が日本語で作詞した和製ゴスペルも生まれています。Zawameki(ざわめき)は、日本でゴスペルが広く知られるようになる前から、日本発のゴスペル・グループとして活動してきました。これまでに21枚のCDをリリースし、日本全国だけでなく、アメリカやアジア諸国、イスラエル、スペインなどでコンサート・ツアーを行っています。昨年12月、彼らの初となるドイツ・ツアーが、ベルリン、ハンブルク、フランクフルトで行われました。
今回はフルバンドではなく、ギター1本、主宰者の滝元開さん、典子さんご夫妻のみの来独でしたが、パワフルな演奏と力強い歌声が会場に響きました。彼らの曲はすべて日本語のオリジナルなのですが、ドイツ人のお客さんも一緒に歌えるように、歌詞の一部はドイツ語に翻訳されていました。Zawamekiというグループ名ですが、1989年、突然滝元さんの頭の中に、歌が天から降ってくるように次々とメロディーがあふれてくるという状態を体験し、「神の声が、水のざわめきのように歌となってあふれ出る」という意味で、付けられたそうです。
ハンブルクでのゴスペル・コンサートの様子
彼らは被災地やアジアのストリートチルドレンの前でも演奏し、最初は暗かった聴衆の雰囲気が、コンサートが進むにつれ、明るく笑顔に変わっていくのを何度も経験したといいます。「ゴスペルを歌う時、そこに神の力が働き、人の心が癒され、解放され、力付けられる。だから私たちは、いろいろなところに出て行って、皆さんと一緒にゴスペルを歌いたいのです」と滝元さん。時にしっとりと、時にパワフルに演奏されたハンブルクでのコンサートでも、人々の心に解放感と勇気を与えてくれました。
Zawameki: http://zawameki.comハンブルグ日本語福音キリスト教会牧師。イエス・キリスト命。ほかに好きなものはオペラ、ダンス、少女漫画。ギャップが激しいかしら?