ジャパンダイジェスト

2階建てバスで市内観光

観光客が比較的少ないハノーファーですが、実は隠れた魅力がいっぱい。今年の春に導入されたばかりのピカピカの市内観光バスで街を一周してみました。

バスは2階建てで、定員は70人。ハノーファー中央駅の向かいにある観光案内所前から出発します。駅から動物園、リスト地区の繁華街を通り、ヘレンハウゼン王宮庭園、マッシュ湖、市庁舎などを100分掛けて巡ります。2階はオープンデッキになっており、シートベルトを着用します。1階には車椅子用のスペースも完備。毎週土曜の10:30、12:30からの2回は観光ガイドによるドイツ語での案内が聴けますが、その他の回はドイツ語のテープ案内になります。英語のオーディオガイドもありますが、日本語はありません。

ピカピカの2階建てバス
ピカピカの2階建てバスに乗って、市内観光へ出発!

このバスに乗ってみたら、新しい発見がたくさんありました。1954年に造成されたサッカー場は、もともと第2次世界大戦の瓦礫が積み上げられた場所だったそうです。また、ニーダーザクセン州立図書館であるライプニッツ図書館に収められているゴットフリード・ヴィルヘルム・ライプニッツ(1646~1716)の往復書簡は、なんと約1万5000点にも上るとか。さらに、レコードの蓄音機はハノーファー生まれのエミール・ベルリーナー(1851~1929)が発明したこと、マッシュ湖の長さは2.5kmで、毎年夏に催されるマッシュ湖祭りの会場は、ドイツで一番長いパーティー街だということ、20世紀の重要な芸術を所蔵するシュプレンゲル美術館は、チョコレート工場のオーナーのコレクションが基礎となっていることなど、初めて知ることばかり! また、ハノーファーの土地の半分は森や湖といった自然が占めることは知っていましたが、市北東部のアイレンリーデの森の広さは6000㎡で、米ニューヨークのセントラルパークよりも広いと聞いて、改めて自然豊かな街という事実に納得しました。

ガイドからは、観光以外にもハノーファーの経済や文化、歴史について様々な説明があり、市の事情がよく分かります。それにしても、背の高い2階建てバスに乗って走るのは気持ちが良いもの。建造物の立派さや街路樹の美しさにも魅せられ、街を再発見できました。

荘厳な市庁舎の建物を外から見学
荘厳な市庁舎の建物を外から見学

料金は、大人1周13ユーロ。途中で乗り降りできる1日券は15ユーロ(割引8ユーロ)。ハイシーズンの5月1日~9月30日は、10:30から16:30まで1時間おきに、4月19~30日と10月1~31日の間は1日4回、10:30から16:30まで2時間おきに出発しています。詳細は、街のツーリスト・インフォメーションまたは www.hannover.de にて。

田口理穂(たぐち・りほ)
日本で新聞記者を経て1996年よりハノーファー在住。社会学修士。ジャーナリスト、ドイツ語通訳。著書に『市民がつくった電力会社: ドイツ・シェーナウの草の根エネルギー革命』(大月書店)、共著に「お手本の国」のウソ(新潮新書) など。
 
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