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広島からの留学生・住岡さんが講演、ハノーファーとの住宅地を比較

広島市立大学からハノーファー専科大学に留学中の住岡梓さんが1月、ハノーファー市イメツェントルムで広島市の基町をテーマに講演しました。基町と同じく、イメツェントルムは60〜70年代に開発された高層住宅地で、状況が似ていることから多くの人の関心を集めました。どちらも川沿いに位置し、戦後市民に住居を提供しようと建設され、現在さまざまな問題を抱えています。

住岡さんは「23歳ですが、8歳並みのドイツ語でしゃべります」と最初に笑いを誘い、写真やビデオを交えて紹介しました。基町には一時期約1万人が住んでいましたが、高齢化が進んだ現在は約4500人と半数以下に。しかも高齢者率は44%と広島市平均23%の倍近くとなっています。外国人も多く、基町小学校では約半数の子供が外国にルーツを持っているとか。ちなみに同校は原爆ドームと平和公園を結ぶ「平和の軸線」の延長上にあり、平和教育を重視しています。


  基町
基町について発表する住岡さん(筆者撮影)

基町は市営住宅が立ち並ぶエリアで、広島市立大学と市が2014年より地域おこしとして基町プロジェクトを発足しました。住岡さんも当初から、基町カフェの開催やロゴのデザインに携わってきました。2017 年9月にはイメツェントルムでのイベントで、基町を紹介するブースを設けました。「このようなイベントでは、日本では過程や気持ちをきかれるけれど、ドイツでは部屋の広さや空き家率など数字ばかり質問された」と、日本とドイツの違いを実感。

イメツェントルムの住民を訪問して写真を撮るなど積極的に活動しています。

広島出身の住岡さんは2017年2月より交換留学生としてハノーファーに滞在し、2016年「広島平和ポスター学生コンペティション」でグランプリ受賞に輝いた経歴を持っています。木の年輪を描いたポスターで「70+1 since 1945」と題して、戦後71年経ったことを表しました。年輪の濃い線のところが樹皮が原爆に焼かれた年ですが、その後も木が大きく成長しており、希望を感じさせます。住岡さんは昨年8月6日にハノーファー市庁舎で、平和ポスターについて発表しました。ハノーファー市は広島市と姉妹提携しており、8月6日の原爆追悼の催しの一環でした。

 基町
2016年9月のイベントにて(Albert Rein撮影)

日本に戻ったら基町をテーマに修論を執筆する予定で、できればイメツェントルムとの比較もしたいと構想中。「ハノーファーのイメツェントルムは広島の基町、基町はハノーファーのイメツェントルム」と話し、広島でもイメツェントルムを紹介したいと考えています。学生をしながら名刺やお店のロゴのデザインも引き受けており、「ドイツで日本レストランを開きたい人いませんか、ロゴあります」とのこと。今後も、広島とハノーファーの架け橋になりたいと考えています。

住岡さんのウェブサイト: http://azusasumioka.tumblr.com

田口理穂(たぐち・りほ)
日本で新聞記者を経て1996年よりハノーファー在住。社会学修士。ジャーナリスト、裁判所認定ドイツ語通訳・翻訳士。著書に『市民がつくった電力会社: ドイツ・シェーナウの草の根エネルギー革命』(大月書店)、共著に「お手本の国」のウソ(新潮新書) など。
 
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