ジャパンダイジェスト

ドイツの食卓を支えるベーカリーマイスターへの道

友人のアンちゃんがベーカリーマイスターになることを決意し、ドイツ国内では九つあるアカデミーの中の一つ、ザクセン州のベーカリーアカデミーへ6カ月間修行に行っていました。今回はアンちゃんに、どのようにしてベーカリーマイスターになるのかを聞いてきました。

ドイツにはスペシャリストを養成するためのマイスター制度があり、さまざまな手工業の分野でマイスター養成学校があります。ベーカリーマイスターのコースを受けるには、職業訓練の修了証明か、5年以上パン屋で働いた証明が必要です。

試験中のアンちゃん試験中のアンちゃん

アンちゃんが通っていたベーカリーアカデミーには寮が完備されており、23人のクラスメイトと一緒に半年間寮で過ごしたそうです。テストは実技試験、理論試験、経済法務試験、専門的および職業・教育学的試験の四つの部門に分かれており、全ての試験に合格するとマイスターの称号を得られます。

ここドイツでは、マイスターの資格がないとパン屋を開業できません。マイスターコースではパン作りの技術だけではなく、開業のために必要な税金や法律関係、職業訓練生を受け入れるための教育関係まで多岐に渡り学べるそうです。

アンちゃんが 作った、「日本」をテーマ にしたショーウインドウアンちゃんが 作った、「日本」をテーマ にしたショーウインドウ

先日、アンちゃんの応援のため、ベーカリーアカデミーの実技試験を見学してきました。試験は二つのグループに分かれて、3日間に渡って行われます。初日は3時間の準備、2日目は朝5時から8時間の試験と、その後3時間の準備。最終日の3日目も、8時間という長丁場の試験です。試験では制限時間以内に、20〜30種類のパンやお菓子を焼くことを求められます。試験官は5人のマイスター。各生徒が自分で作ったタイムスケジュールとレシピブックを参考に、レシピ通りの材料を使えているか、生地の温度は適切か、味や見た目など、細かい項目をチェックされます。

「ミニクーパー」をテーマにしたショーウインドウも「ミニクーパー」をテーマにしたショーウインドウも

ショーウインドーのデコレーションの試験もあり、各自テーマを決め、商品の名前や価格表の見せ方、商品の陳列の仕方などを採点されるそうです。アンちゃんはショーウインドーのテーマを「日本」にし、パンで出来た松本城や、招き猫を乗せた柚子味のケーキ、富士山の形をした抹茶ケーキなどを作りました。ほかのクラスメイトたちも、「車」や「夏」、さらには「FCバイエルン・ミュンヘン」などをテーマにしていて、どれも個性的でした。

会場には生徒たちの家族や友人が集まり、試験で実際に作られたパンやケーキを試食しました。おじいちゃんが孫のケーキを食べながら涙している姿も見られ、マイスターへの道のりが家族にとっても誇らしいことであると実感しました。7月には最後の試験が終わり、無事にアンちゃんもマイスターの称号をもらえたそうです。アンちゃんおめでとう、そしてお疲れ様でした!

小見山 郁子(こみやま いくこ)
岡山県出身。コミュニティースペースやまちづくりに興味を持ち、NPOで活動しながら診療放射線技師として8年間病院勤務。ひょんなご縁で2018年に渡独し、ライプツィヒにある「日本の家」で活動を開始。2020年から日本食を中心としたコレクティブとして活動中。
Instagram : @ponpoco.poco
 
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