ライプツィヒでは「ご自由にどうぞ」のボックスをよく見かけます。そしてそこで拾った物は、とってもクールなものが多いのです。今回はそんなライプツィヒに根付くカルチャーをベースに、もっと使いやすくと考えられたプロジェクトについてご紹介します。
この地域レポートでも何度か登場しているレーネ・フォイクト公園 (Lene-Voigt-Park)。そこには要らなくなった衣服や家具、おもちゃなどを地域の人が置いていく場所がありました。その場所は長い間地域の人々に使われていたのですが、寄付されたものは雨ざらしになっていたり、地面に置かれて汚れてしまったり。使えるものなのか、そうでないのか分からないため、市はこれを定期的にゴミとして全て廃棄処理しなければなりませんでした。以前は小さな木製の棚のようなものが設置されていて、みんながそこに不要なものを置いて行っていましたが、新型コロナウイルスが流行りだしたくらいに、その棚も撤去されることに。私も、衛生上しょうがないのかなぁと思っていました。
掘り出し物を発見!
そんな時に始まったのが、「レーネズ・タウショ」(Lenes Tauscho)というプロジェクトです。雨にも耐えられて、夜には明かりがともり、そして雪や嵐の日には鍵を締めることができる、そんな大きなロッカーのようなものをこの公園に作ろう! という考えから、このプロジェクトは生まれました。市や市民との話し合いを重ねて進められ、市の支援、それからクラウドファンディングによって巨大ロッカーはついに完成。昨年10月にオープンしました。
ロッカーの右側は洋服が掛けられるようになっていて、その下にはストールや靴などを置くスペースがあります。そして左側は食器やおもちゃ、本などを置けるような棚です。設置当初はピカピカのロッカーでしたが、今ではすっかりスプレーや張り紙、ステッカーで埋められて味が出てきました。
このロッカーがオープンしてからもうすぐ4カ月ほど経ちますが、いつもたくさんの人でにぎわっています。以前もこのスペースを多くの人が訪れていましたが、このレーネズ・タウショに替わってからは、さらにいろいろな世代、コミュニティーの人が利用している印象があります。
連日多くの人でにぎわいます
私もここで多くの良いものを見つけました。面白いと思うのは、自分で購入した服よりも拾った服の方を普段からよく着ている気がする、ということ。汚れても良いと思うからでしょうか? 私は個人的に、新しい服をなるべく購入しないという取り組みを3年ほど前からしています。自分の使わないものを捨てずにほかの誰かに使ってもらう、自分も何か必要なものがあればもらう。最近日本でも活発になってきたSDGsにもつながる、素晴らしい取り組みだと感じます。皆さんの住んでいる街にも、そんな取り組みは存在しますか?
レーネズ・タウショのインスタグラム:@lenes_tauscho
東京都出身。日本で陶芸を勉強した後、2019年からライプツィヒ在住。現在はライプツィヒの大学で博物館学を勉強しながら、ウェブマガジン「ヴァルナブルな人たち」を運営している。
https://vvulnerablepeoplee.wixsite.com/website/magazine