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ベビーブームとBaby-Startpaket

東西ドイツ統一後の1990年代に急激な人口減少に見舞われたことにより、「縮小都市」となったことで有名なライプツィヒですが、ここ10年余りは人口が増え続けています。特に過去数年は急速な勢いで人口増を記録しており、2013年の1年間だけで、なんと1万人以上が増え、今年も同程度の数の増加が見込まれています。

増え続けているのは学生を中心とした若い世代だけではありません。ベビーブームも追い風となっており、昨年は市内で5834人の赤ちゃんが生まれました。それだけ住民の数が増えるのは都市が発展する上で喜ばしいことである反面、問題も引き起こします。ライプツィヒには現在約260の幼稚園がありますが、次々に生まれてくる赤ちゃんの数には全く追い付いていません。そこで、3歳以上の幼児が必ず幼稚園に入園できるようにすべく、市内のあちこちで幼稚園の新築・増改築が行われ、建設ラッシュが続いています。今年から来年に掛けて、48の幼稚園が新規に完成する予定で、幼稚園に続いて学校の新築・増改築も進められています。

ライプツィヒ市内で建設中の幼稚園
ライプツィヒ市内で建設中の幼稚園

私事ですが、我が家でもベビーブームに乗って、今年9月末に次女が生まれました。市役所に出生届を提出すると、「Baby-Startpaket」なるものが贈られます。2年前からライプツィヒ市が実施しているというこのボックス、中身は市のハンドブックにはじまり、市内路面電車・バスの1年間無料切符、バスタオル、靴下、市内在住の高齢者による手編みの靴下、コンセントの穴を埋める蓋、コンセントの穴に直接差し込むタイプの夜間用LED照明です。それぞれのアイテムにスポンサーのロゴが大きく載っているとはいえ、赤ちゃんに優しく、親には嬉しいプレゼント。特に、1年間の市内交通機関無料切符はとても助かります。これから薄暗く寒い冬の日々に赤ちゃんを連れて外出する際、公共交通機関を気軽に利用できるというのは、大変ありがたいことです。

市が提供している「Baby-Startpaket」の中身
市が提供している「Baby-Startpaket」の中身

このように、近年のベビーブームのために幼稚園や学校の建設が急ピッチで進められていますが、そこからは新たな疑問が湧いてきます。はたして現在建設中のそれらの施設は、10年、15年後にも必要とされるほどの子どもたちがライプツィヒにいるのでしょうか。空き家ばかりが目立ち、これまで衰退の一途をたどってきたライプツィヒが、ようやく人で溢れ、賑わいを見せるようになってきたと思ったら、再び次の世代に空き家が増えるという事態に陥ってしまわないよう願うばかりです。

ライプツィヒ市のBaby-Startpaket
www.leipzig.de/jugend-familie-und-soziales/familieninfobuero/babybox/

ミンクス 典子
福岡県生まれ。東京理科大学建築学科修士課程修了後、2003年に渡欧。欧州各地の建築設計事務所に所属し、10年に「ミンクス.アーキテクツ」の活動を開始。11年よりライプツィヒ「日本の家」の共同代表。
www.djh-leipzig.de
 
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