私たちが運営するライプツィヒ「日本の家」は、今年ザクセン州内の4拠点(ライプツィヒ、チッタウ、ライスニッヒ、ビュルツェン)を繋ぐ展示プロジェクト「ザクセンへの架け橋 - Brücken für Sachsen」を行っています。
ライスニッヒでの展示
ザクセン州では、ライプツィヒ、ドレスデンそしてケムニッツの3都市は人口が毎年増えて成長していますが、それ以外の中小都市、近郊の村は衰退の一途を辿っています。高齢化が進み、若い人たちは大都市へ引っ越してしまい、空き屋や空き地があちこちに増えています。一方で、ドイツが受け入れた難民たちはこれから移民として新しい土地で生活を築いていかなければなりません。大きな都市では、それこそ移民への支援活動やさまざまなプログラムが用意されていますが、小さな村では移民はドイツ社会との接点も限られて孤立するばかりです。
そこで私たちは、増え続ける空き屋や空き地を移民たちが積極的にドイツ社会に関わりを持つための可能性を持つ場として焦点を当て、現地の移民からアイデアを引き出し、展示として公開することを考えました。4カ所での展示の後には、11月10日にライプツィヒ「日本の家」に各拠点の協力者たちを招いて、今後の展開について議論するイベントを予定しています。それぞれ人口も大きさも異なる4拠点では、抱えている問題点も可能性も異なります。それを踏まえて、移民たちのアイデアをどう実現に結びつけることができるかを話し合おうと考えています。
それぞれの展覧会のオープニングには、現地の農家から仕入れた野菜で作るお寿司(魚なし!)のワークショップや、その土地への願いをつづる書道の体験プログラムも用意しています。6月23日にまず第1カ所目のライスニッヒで封切りとなりました。アフガニスタンから3年前にライスニッヒ近郊に1人で渡ってきて、18歳以下の移民の青年が集まる共同住宅に暮らしている16歳のホチャが、空き地を豊かな農園にするアイデアを語り、現在のドイツでの暮らしについてもしっかりとしたドイツ語で話してくれました。
オープニングでホチャが語る様子
ライスニッヒの展示は7月29日まで続き、7月7日にはチッタウで展示のオープニングとして夏祭りを開催しました。
ライプツィヒ「日本の家」: www.djh-leipzig.de
ドイツ建築家協会認定建築家。福岡県出身。東京理科大学建築学科修士課程修了後、2003年に渡欧。欧州各地の設計事務所に所属し、10年から「ミンクス・アーキテクツ」主宰。11年より日独文化交流拠点ライプツィヒ「日本の家」の共同代表。
www.djh-leipzig.de