食に関しては少し保守的なイメージがあるドイツですが、伝統的な料理を好み大事にする一方、ここ数年来、インターナショナルかつエキゾチックな食材や調理法への関心も非常に高まっているように思います。例えば、ミュンヘンでも日本食やアジア各国のレストランや、持ち帰り用インビスを以前より多く見かけるようになりました。そのような流れに一役買っているのが、一連の「クッキングショー」系のテレビ番組です。各局が提供している、趣向を凝らしたエンターテインメント性の高い楽しい料理ショーを、新しいレシピの参考にされている方も多いと思います。
人気番組の一つに、「The Taste」という、料理人が一つのスプーン(おしゃれなレンゲのようなサイズ)に、一口サイズの料理を載せて審査員に提供し優劣を競う、というショーがあります。ここで準優勝に輝いた料理人が、その腕前を披露するフードフェスティバルがあると聞き、1月初旬に行ってきました。
趣向を凝らしたフードトラック。人目を引きます。
「第1回ニーダーバイエルン フードフェスティバル(1. Lower Bavarian Food Festival)」の会場は、ミュンヘンの北東へ1時間ほどの位置にあるランツフート(Landshut)郊外です。テーマは「ストリートフード・グルメ」ということで、ハンバーガー、ホットドッグ、飲茶、メキシカンなフィンガーフードなど、気軽な立食タイプの料理が提供されています。フードトラックと呼ばれる、固定店舗を持たず移動販売をメインとする提供者が多く、車両そのもののデザインを見るのも、なかなか楽しいものでした。おいしそうな香りが漂い、その場で調理された出来たてのバーガーなどを見ていると、食欲が刺激されます。会場には多くの人が詰めかけ、どのフードトラックにも長い行列ができていました。
完成した料理を観客全員に提供。おいしかったです!
クッキングショーの会場は大型家具店のキッチンコーナーです。厨房に立つのは、テレビ番組「The Taste」に出演していたトビアス・ステグマンさん。今日の料理は「エビのクスクスサラダ添え」とのこと。クスクスときゅうり、ザクロの実をオレンジ果汁などで和えて、ヨーグルトを添え、エビは塩とこしょうをしフライパンでさっと炒めます。エビは大きなサイズのものを使い、しっぽの部分を残して縦半分に切ることで火の通りを早くするのがポイント。クスクスサラダは作り置きできますし、簡単で華やかな、ホームパーティーにオススメの一品だそうです。料理手順をステグマンさん自身が詳しく説明し、観客からの質問やコメントにもにこやかに答えながら、和気あいあいとした雰囲気でショーは進み、最後は観客全員に料理が振る舞われました。ステグマンさんは2017年にランツフートに自身のレストランをオープンする予定とのことで、今から楽しみです。
日独の自動車部品会社での営業・マーケティング部門勤務を経て、現在はフリーランスで通訳・市場調査を行う。サイエンスマーケティング修士。夫と猫3匹と暮らし、ヨガを楽しむ。2002年からミュンヘン近郊の小さな町ヴェルトに在住。