皆さん、チョコレートは好きですか? チョコレートを食べると幸せな気分になりますよね。ドイツ人もチョコレートが大好き。ドイツは欧州の中でもチョコレート消費量が最も多く、ドイツの消費者は1人当たり年間約11.1キロのチョコレートを食べているのだとか。この数値は、チョコレートの国といわれるスイスより1.4キロも多くなっています。
ドイツでは、1年間に約90億ユーロ相当の多種多様な菓子製品が生産されており、これは食品業界での売上高の約8%占めています。プラリネやドリンク用粉チョコレートなどさまざまなチョコレート製品がありますが、最も多く生産されているチョコレートは、個包装された板チョコとバータイプのチョコレートだそうです。
正方形チョコが綺麗に並ぶショップ
スーパーなどでもお馴染みの正方形のチョコレート、リッタースポーツ(RitterSport )。この本社はシュトゥットガルト郊外のヴァルデンブーフにあります。こちらに拠点を置く前は、シュトゥットガルトのサッカースタジアムがあることで有名なバートカンシュタットに本社がありました。その歴史は長く、1912年にバートカンシュタットでクララとアルフレッド・E・リッターによって設立。その後、製菓工場の拠点をヴァルデンブーフへ移した1930年代初めに、リッタースポーツの正方形チョコレートが誕生しました。サッカーファンのために、ジャケットのポケットに快適に収まり、より割れにくくするためにこの形になったそうです。この誕生由来により、「スポーツ」がネーミングに使われています。
こちらはヴィーガンのチョコレート
この正方形のチョコレートの特許をめぐり、リッタースポーツはここ10年間闘っていました。というのも、薄紫色のパッケージで有名な競争会社であるミルカが、同様の形のチョコレートを作りたかったようです。2020年7月、カールスルーエの連邦裁判所によってついに終止符が打たれ、以来リッタースポーツのみがこの形のチョコレートを販売できることになりました。
そんなリッタースポーツのコロナ禍での昨年の売り上げは、海外部門では中国などへの輸出が滞ったため低迷を見せたものの、昨年から「味覚での旅」をテーマにしたチョコレートの「旅夢想(Fernweh)シリーズ」を展開していたことが功を奏し、コロナ禍で簡単に旅行ができなくなった世の中でヒットしました。それによって、輸出分の損失を一部補うことができたそうです。
リッターのグッズも販売されています
リッタースポーツ本社には、チョコレート展示室やショップ、美術館、カフェなどがあり、たまに限定イベントも開催されています。コロナ禍が去ったら、ぜひ立ち寄ってみてください。ちょっぴりの贅沢で、ひと時の幸せを与えてくれる板チョコさんたちに日々感謝です。
大阪生まれ、東京育ち。在シュトゥットガルト14年。Merz Akademie大学視覚コミュニケーション科卒。語学力を武器に、日本企業のリロケーションをサポートしながら、メディアデザイナーとしても幅広く活躍している。趣味はギターと読書。