ジャパンダイジェスト

第二次世界大戦の傷跡を残すビルケンコップフを登って

標高511メートルのビルケンコップフは、シュトゥットガルト市街地で最も高い山で、そこからシュトゥットガルトの街を一望することができます。街の中心部から見下ろす街は、テレビ塔から眺める街とはまた違った趣があります。お天気で視界の良い日には、シュヴァーベンジュラ山脈やシュヴァルツヴァルト北部までを見渡せることも。「ビルケン」とはシラカバの木のことで、その名のごとく頂上までの道中、いくつかのシラカバの木を見つけることができます。

山頂に積まれている戦争の残骸山頂に積まれている戦争の残骸

シュトゥットガルト西部は街の中心街にもアクセスがよく、若者層や一人暮らしの方に特に人気がある地域。そんなシュトゥットガルト西部の端っこの方に、私もドイツに来てすぐのころに何カ月か住んでいたことがあり、よく散歩がてら山の上を目指して歩いていました。すでに別の場所へ引っ越している今も、好んで訪ねています。シュトゥットガルトの中心部からもアクセスが良く、市営バス92番でビルケンコップフ駅まで乗れば、山を登る入り口付近の駐車場前まで行くことができます。駐車場は、休日の晴れた日は埋まっていることが多いようです。道は舗装されており、駐車場向かいの入り口から約20~30分ほどで山頂へたどり着くことができるため、高齢の方や子ども連れでもそれほど抵抗なく登れると思います。

山頂近くの雨宿り小屋にて山頂近くの雨宿り小屋にて

このビルケンコップフには、「モンテシェルベリーノ」(Monte Scherbelino)という別名が付いています。まるでイタリアにありそうな山の名前ですが、ドイツ語の「Scherbe」(破片、かけら)を文字ってつくられたあだ名です。その名の由来は、山の上部に第二次世界大戦の残骸である瓦礫が40メートルほど積まれていることだそう。

第二次世界大戦の終わりごろ、シュトゥットガルトへの空襲によって、市内には多くの瓦礫が残されました。その瓦礫の一部が1953~1957年の間に、このビルケンコップフに堆積され、現在の高さになったのです。山頂付近ではその時の瓦礫がそのまま残っており、柱やレリーフ、また建物のファサードなどをしっかりと確認することができます。そうと知ってか知らずか、山頂にたどりついた子どもたちは、屈託のない笑顔でこの瓦礫の上を登っていました。

この山頂には1953年以来、記念碑として木製の十字架が設置されていましたが、2003年に巨大な鋼の十字架に置き換えられました。第二次世界大戦後に都市の残骸を積み上げたこの山頂は、犠牲者を弔い、反戦を願うための場所にもなっているのです。

記念碑の十字架記念碑の十字架

そんなビルケンコップフですが、今ではピクニックやサイクリングにも人気なスポット。シュトゥットガルト西部にある日本食レストランHIROの最新メニュー、ライスバーガーが気になっているので、近々またHIROのライスバーガーをビルケンコップフの頂上で食べたいなぁと思っている私でした。

フンドハウゼン エリ
大阪生まれ、東京育ち。在シュトゥットガルト14年。Merz Akademie大学視覚コミュニケーション科卒。語学力を武器に、日本企業のリロケーションをサポートしながら、メディアデザイナーとしても幅広く活躍している。趣味はギターと読書。

 
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