ジャパンダイジェスト

誰もに優しいお店で 喜びのサイクルに加わろう

今回は、2022年の夏に私が住む村Marbach駅構内にできた「Gleis7」(ドイツ語で「7番線」)という小さなお店をご紹介します。扱っている商品やお店を訪れる人、そしてコンセプトが一般的なお店とは少々異なるこのお店。興味津々で入ってみた明るい店内には、衣類、アクセサリー、食器、インテリア用品を中心に、あらゆる年齢層に向けた品物が美しく並べられています。新品だけでなく、中には極めて状態の良いセカンドハンドらしき品物もあるようです。

明るい日差しの差し込む店内明るい日差しの差し込む店内

気になるものを手に取ってみてまず驚いたのは、そのお値段でした。セカンドハンドショップにしても、驚くほど安価な商品ばかり。どうしてなのかとても興味があったので、お店の方に尋ねてみることにしました。

「Gleis7では、誰もが『買い物をする』という社会的活動に参加できる機会を提供することを運営目的の一つとしています。商品は全て寄付された品物です。どんな暮らしをしている人でも、このお店ではみんなが大切なお客様。たくさんの品物の中から、どれを買おうか、買い物をする楽しみを感じてもらいたい。そんな気持ちでお店を運営しています」と、責任者の方が話してくれました。販売をしているスタッフは全員ボランティアで、「時間と労働力」を寄付しているのだそうです。

私が話を聞いている間にも、大きな袋や段ボール箱を抱えた人がやってきます。「これどうぞ」、「うちでは使わないから」……と、家で眠っていた品物を新たな活躍の場へ送り出しに来るのです。持ち寄られた箱の中身は、プレゼントでもらったけれど未使用のままの食器類や、すぐにサイズアウトしてしまった子どもたちの服や靴、大切に使っていたけれど出番がなくなってしまった装飾品など、捨てるにはもったいないものばかり。

美しく状態の良い品物ばかりが並びます美しく状態の良い品物ばかりが並びます

お店に寄付できる品物は、状態の良好な衣料品、キッチン用品、インテリア用品などで、電化製品や大型家具、本などは受け入れていないとのことでした。特に人気が高いのは、インテリア用品と女性用の衣料品や装飾品。私もインテリアコーナーを見るのが大好きで、ついつい季節のものを買ってしまいます。空いたスペースにはすぐに別のものが補充され、お店は常に新しいものが並んでいる状態。次に来るときはどんなものが並んでいるのかしらと、お客さんたちは笑顔でお店を後にするのでした。

お店の入り口は、駅の大きな時計が目印ですお店の入り口は、駅の大きな時計が目印です

「できる人が、できるときに、できる形で」参加する社会活動。自分の取った一つの行動で別の誰かが笑顔になってくれるのだとしたら、これほどうれしいことはないですよね。皆さんがお住まいの地域にも、こういった店舗があるかもしれません。自分が使わないものが誰かの手に渡り、また別の人の喜びになる。誰にとってもうれしい気持ちの循環に、皆さんもできる形で加わってみませんか。

グリュッツマン 貴子(たかこ)
おんせん県出身。ドイツ人の夫と、二人の子どもと日独いいとこどりの暮らし。趣味は、(こうじ)を醸して発酵調味料を手作りすること。世界各地に住む日本人の醸し人仲間たちと共に、糀の可能性を研究する「伝統食クリエイター」としても活動。台所はいつも実験室のようになっている。

 
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