私が住んでいるマールバッハ・アム・ネッカーは、シュトゥットガルトの北約20キロに位置しています。この街にある公園「Schillerhöhe」は、普段はとても静かですが、年に数回だけ大変にぎやかなイベント会場になります。なかでも毎年6月下旬に行われるハンドメイド作家による陶器市(Töpfer Künstler Kunsthandwerker Markt)は、私にとって特別なイベント。広い公園の敷地内に、所狭しとテントが立ち並び、個性溢れるデザインの食器やキッチン用品、ガーデニング用品、インテリア雑貨、楽器やアクセサリー、季節の装飾品などが展示即売されます。今年は6月24(土)~25日(日)に開催されました。
自然豊かな公園での陶器市は最高!
私がこの陶器市の存在を知ったのは、ちょうど1年前のこと。毎朝散歩をするこの公園で、ある日突然、芝生にロープをめぐらせてテントを立てていく大がかりな作業が始まったのです。一体何が始まるんだろうかと、昨年の私は遠目に眺めていました。そしてある日、目にした「Töpf er Markt」(陶器市)の看板に大興奮。私は器を見ることが大好きで、日本にいたころは季節の陶器市によく足を運んでいたものです。まさかうちの近くで開催されるとは思っていませんでしたので、とても驚きました。
大きさや色、形や厚みが統一された既製品はとても美しいと思いますが、私は一つひとつに個性が見える手作りの器にも大きな魅力を感じます。現在私が愛用している二つの大きなカフェオレボウルは、昨年この陶器市で購入したもの。とあるブースの隅に無造作に転がっているカップを見つけて、「すてきな形! これから展示するのかしら」と気になっていると、「これは、焼く工程で少しゆがんでしまって見栄えがよくないから、売り物じゃないんだよ」と作り手の方が話します。「ぜひ見せてください!」と力説する私に、彼は苦笑いして作品を見せてくれました。展示されている整ったカップよりも断然こちらの方が私の好み。すぐに購入を決めました。私の手には大きすぎますが、この味のあるゆがみ具合が大変気に入っています。こうした作り手さんとの会話を楽しめることも、陶器市の醍醐味の一つですね。
昨年の陶器市で買ったお気に入りのカフェオレボウル
今年の陶器市ではほかにも、子どもが楽しめるブースもありました。土粘土を好みの形にして持ち帰り、乾かしてから絵具で絵付けをするのだそう。参加している子どもたちは、みんなとても楽しそうに創造の世界に入っていました。ここで作家の作品を目にしたり、実際に作家の人たちと触れ合いながら作品づくりを体験したことが、将来芸術家を目指すきっかけになるかもしれませんね!
自慢の作品を見せてもらいました!
おんせん県出身。ドイツ人の夫と、二人の子どもと日独いいとこどりの暮らし。趣味は、糀 を醸して発酵調味料を手作りすること。世界各地に住む日本人の醸し人仲間たちと共に、糀の可能性を研究する「伝統食クリエイター」としても活動。台所はいつも実験室のようになっている。