私はドイツに移住する前から続けている着物の着付けが大好きで、ドイツでも普段の習い事や季節の催しには積極的に和装して出かけるようにしています。どこから見ても着物姿は目立つようで、バスを待つ間やお店のレジでは笑顔で声をかけられることも多く、その都度うれしい気持ちになります。そんな私を含めた着物ファンが心待ちにしていたイベント「着物バザール」が、6月上旬にシュトゥットガルト近郊で開催されたので、今回はその様子をご紹介します。
目移りして大変! 美しい帯の数々
「着物バザール」は、ドイツ在住のKuniさんが主催するイベントで、今回はドイツと日本から7店舗が出店しました。まずは会場を一周して、「こんなに多くの品物が並んでいることを、一体誰が想像しただろう!」と大興奮しました。スペースごとに異なる趣向の着物や帯が展示されていて、全ての商品がテーブルに収まりきれず、その都度補充されているブースもあります。並べられた品を見ていると、ここがドイツであることを忘れてしまいそうなほど。開場と同時に、会場は一気に人で溢れました。日本人だけでなくドイツ人やほかの国の人の姿も多く見られ、帯や着物の柄の意味を尋ねたり、着方のアドバイスを求める会話が日本語やドイツ語で飛び交います。それぞれがお気に入りを見つけ、買い物を楽しんでいるようでした。
主催者のKuniさん
以前から日本のファンで、着物初心者というドイツ人女性に話を伺ったところ「帯結びの教室に通い始めてから、ずっと自分の着物が欲しかったのですが、購入できる機会がなく、毎回先生のものを借りていました。今回のバザールでは、自分だけの着物を一式そろえるつもりです。欲しいものがありすぎて、選ぶのがとても大変!」と話してくれました。お話を聞いたときは小さなハンドバッグだけを持っていた彼女でしたが、1時間後には両手に大きくて重そうな紙袋をいくつも提げています。お気に入りが見つかったのだと分かりうれしくなりました。
日本人の体形に合わせて作られた着物が多いので、外国人の方は特に袖や丈の長さ、身幅が合うかどうかを確かめるのがベター。服の上からでも羽織ってみることをおすすめしており、私も身に付けるお手伝いをしました。多くの人たちは姿見に映る自分の姿にうっとりした様子で、記念撮影をする人も。帯や小物などを次々と手に取って、時間の許す限りお買い物を楽しんでいました。
全て羽織ってみたくなりますね
今回の着物バザールを通じて、私自身も着物ファンとの交流がさらに深くなり、国や年齢を超えた同じ興味を持つ新たな仲間たちに出会うことができました。このイベントは今後も行われる予定です。興味をお持ちの方は、ぜひ次回のバザールに足を運んでみてください。出品希望の方や、イベントの詳細についてのお問い合わせはKuniさん( このメールアドレスは、スパムロボットから保護されています。アドレスを確認するにはJavaScriptを有効にしてください )まで。
おんせん県出身。ドイツ人の夫と、二人の子どもと日独いいとこどりの暮らし。趣味は、糀 を醸して発酵調味料を手作りすること。世界各地に住む日本人の醸し人仲間たちと共に、糀の可能性を研究する「伝統食クリエイター」としても活動。台所はいつも実験室のようになっている。