ジャパンダイジェスト

幸せの青い鳥とねじまき鳥に会う ネッカー川でバードウォッチング

今年の冬の寒さは厳しかった……そう感じているのは、私だけではないはず。それでも数年前の豪雪が懐かしく思えるほど、私の住む地域ではほとんど雪が積もりません。年明けから、晴れた極寒の日曜日にネッカー川沿いを散歩することが増えました。「Sonntagsspaziergang」(日曜日の散歩)という言葉があるほど、ドイツ人にとって日曜日の午後を自然の中で過ごすのは習慣の一つ。家族連れ、老夫婦、ジョギングをする人、サイクリングや乗馬を楽しむ人などを見かけます。貨物船がボンボンと低いエンジン音を響かせながらネッカー川を進み、遠くの野鳥のさえずりが聞こえ、穏やかな時間が流れます。今回は、そんなとある日曜日の散歩で出会った鳥たちを紹介します。

バードウォッチャーたちの心を奪う、青いアイドルバードウォッチャーたちの心を奪う、青いアイドル

ふと前方を見ると、ずらっと並んだ人々の姿に気が付きました。迷彩服を着た人もおり、立派な望遠レンズ付きのカメラを構えて小川の向こうを凝視しています。彼らの視線の先にいたのは、小さな青い鳥。カワセミでした。私は列の端に加わり、青い鳥とカメラマンたちを見守りました。かつて、横浜の三渓園で大勢の人がカワセミを撮影していたのを見て、日本ではとても珍しい鳥なのだと思っていましたが、ドイツでも特別な存在のようです。「青い鳥」と聞いて、兄妹が幸せの象徴である青い鳥を求めさまざまな国を旅する、メーテルリンクの童話『青い鳥』を思い浮かべる人も多いでしょう。初めてカワセミを見たとき、青い羽の鳥を見たことがなかった私は「ついに幸せの青い鳥を見た!」と大興奮。しかし調べてみると、実際には物語における「青い鳥」はカワセミではないそうで、その正体に「えっ」と驚いてしまいました。

数年間謎に思っていた音の正体がこの子だったとは!数年間謎に思っていた音の正体がこの子だったとは!

散歩を続けると、どこかで聞いたことのある、長く低く響く声が聞こえました。毎朝の公園散歩でも耳にするこの音。村上春樹の小説『ねじまき鳥クロニクル』に出てくる「ねじまき鳥」が鳴くとしたら、きっとこの音だろうと思っていましたが、一緒に歩いていた鳥好きの夫が「キツツキが木を叩いている音」と教えてくれました。夫の指す方を見ると、木の上のキツツキが懸命に幹を突いていました。1秒間に20〜25回も木を叩くのだそうです。その首の強さにも驚きましたが、何よりも高い木の上で木をつつく鳥を瞬時に見つける夫の観察力に驚きました。青い鳥に出会い、ねじまき鳥の謎も解け、楽しい散歩となりました。

空気が澄んでいるのでクリアに見える近隣の街の景色空気が澄んでいるのでクリアに見える近隣の街の景色

散歩の後は冷え切った体を温めるため、地元のカフェ「Café Winkler」に寄りました。田舎なので、店内はおじいさんやおばあさんばかり。ミルクコーヒーとプルーンのケーキを注文しました。フォークが真上からぶっ刺さった甘くて巨大なケーキ。ドイツに来たばかりの頃はその大きさに圧倒されて注文することができなかったのに、今ではペロリと平らげるようになってしまいました。私のドイツ人化レベルは確実に上がっているようです。

久次( ひさつぎ ) 貴子( たかこ )
おんせん県出身。ドイツ人の夫と二人の子どもと日独いいとこどりの暮らし。 昼間はリロケーションサポートのお仕事。趣味は夜な夜な糀作り。とある村の朝の風景をインスタグラムで発信中。
Instagram:@takako_miyabi_deutschland

 
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