ジャパンダイジェスト

ドイツの夏はオープンエアで決まり!

天候不順が続いた初夏とは打って変わり、8月に入ってようやく連日30度以上の本格的な夏が訪れました。ドイツ人いわく、「夏の夜と言えばオープンエア」。野外演劇に野外映画祭、野外コンサートと、各地でオープンエア・イベントが目白押しです。シュトゥットガルト近郊の町エスリンゲン(Esslingen)の城塞では、7月末~8月初旬にかけて毎年恒例の野外映画祭が開かれ、私も鑑賞してきました。

エスリンゲンの城塞は、ぶどう畑を抜けて少し山を登ったところにあります。城門をくぐると、緑溢れる庭園内に大型スクリーンが設置され、上映2時間前だというのに観覧席となる芝生の上は、すでに大勢の人々で賑わっていました。すべて自由席であるため、前もって場所取りをする必要があります。観客は各自、シートやクッション、毛布を持参しており、中には寝袋を用意している人もいました。周囲には飲食物の販売屋台がたくさん立ち、人々はビールやワインを飲んだり、ソーセージを食べたりと、ピクニック気分で楽しんでいるようでした。

シュトゥットガルト
映画上映前の様子

友人とおしゃべりしながら待っていると、上映前の2時間はあっという間に過ぎ、日が沈んだ頃にようやく映画が始まりました。この日、上映されたのは『Im Weltraum gibt es keine Gefühle』(2011年公開)というスウェーデンのコメディー映画。面白くて、ビジュアル的にも綺麗な作品でした。この映画祭で上映される作品は、エスリンゲンの映画館Kommunales Kinoが過去1年間で人気の高かった映画の中から選んだそうです。

興味深かったのは、周りの観客たちが鑑賞の際、完全に横になって観ていたことです。寝袋に入って観ている人もいて、皆自分の家にいるかのようにくつろぎ、さながら巨大な屋外のリビングルームのようでした。少し標高のある城塞では、夏とは言え日没後には気温が下がり、かなり冷え込むので、寝袋があれば防寒になります。さらに、クッションなど少し頭を高く支えるものがあれば、結構快適に鑑賞できるというわけです。なるほど、実に賢いやり方だなと感心しました。

城塞のほかに、エスリンゲンの街中にあるマイレ公園ではシェイクスピアの名作『空騒ぎ』の演劇が夏の間1カ月以上にわたって上演され、メルセデス博物館とルートヴィヒスブルク宮殿の庭園でも野外映画祭が開催されました。

まだドイツの野外イベントを訪れたことがないという皆さん、ぜひ来年は参加して、日本とは一味違う夏を体験してみてはいかがですか?

シュトゥットガルト
横になってくつろぎながら映画を鑑賞する人々

郭さん郭 映南(かく えいなん)
中国生まれの日本国籍。東北芸術工科大学卒業後、シュトゥットガルト造形美術大学でアート写真の知識を深める。その後、台北、北海道、海南島と、渡り鳥のように北と南の島々を転々としながら写真を撮り続ける。
HP: http://kakueinan.wordpress.com/
 
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