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難民を描く映画鑑賞会で中国の現代美術家Ai Weiweiに会う

初めて東京の森美術館でAi Weiwei(アイ・ウェイウェイ)の個展を見たのは、2009年のことでした。作品の中には、2008年の四川大地震で犠牲になった児童・生徒の実態を自ら調査し、5385人分の犠牲者の学校、氏名、年齢、学年などを公開するものがありました。中国当局の反対を押し切って取り組んだだけにパワフルで反骨精神あふれる作品だと強い印象を受けたのを覚えています。そして、作品から人権尊重という考え方も色濃くにじみ出ていました。

その後、中国当局に度々監視され、2011年の4月にとうとう連行されてしまいます。これを受け、ドイツとイギリスの外相、フランス外務省、アメリカ国務省は相次いで中国当局に彼を釈放するように求め、世界各地では「Free Ai Weiwei」という運動まで起きました。ここドイツのニュース番組にも取り上げられ、彼の名はあっという間に世界に知れ渡ることになります。そして、再び自由の身となったAi Weiweiは2015年の11月から、客員教授としてベルリン芸術大学で教えることになりました。

Ai Weiwei
ご本人に近づくこともできました

ちょうどその頃から、欧州難民危機が起き、100万人以上の難民・移民がヨーロッパに押し寄せてきました。もちろん、Ai Weiweiはただ黙って見ているわけにはいきません。これまでに難民問題を題材にした写真作品を発表したり、地中海を渡ってきた難民が実際に使っていた救命ボートや無数のライフジャケットのインスタレーションを展示したり、この問題を真正面から取り組む姿勢を貫いてきました。そして、最新作として「Human Flow」というドキュメンタリー映画を公開しました。これは一年間にわたってシリア、アフガニスタン、パレスチナ、トルコ、バングラデシュなど20あまりの国々の40以上の難民キャンプで撮影を行い、今日の世界的な難民危機の状況をグローバルとディテールの両方の視点から描く壮大な物語です。シュトゥトガルトではこの映画の一般公開は2017年の11月に始まりました。11月19日に映画館「Del phi」でプレミアム上映会が行われ、ご本人も来場すると聞き、さっそく向かいました。まずは映画が上映され、それから、Ai Weiwei本人が質疑に答えるというもの。「この問題を解決するのには私達はどうすれば良いですか」という質問に対して、「まず人権が保障されている環境に生きている人間として自分は無力ではなく、助けられるということを信じることです」と答えました。「難民も普通の人間です。私達の助けによって、彼らがいつか自分達の場所に戻れて、自分の望むように生活できるようになって欲しいです」と語りました。その話の最中にも盛大な拍手もありました。

Ai Weiwei
Ai Weiweiが質問に応える

郭 映南
中国生まれの日本国籍。東北芸術工科大学卒業後、シュトゥットガルト造形美術大学でアート写真の知識を深める。その後、台北、北海道、海南島と、渡り鳥のように北と南の島々を転々としながら写真を撮り続ける。
www.kakueinan.wordpress.com
 
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