初夏を迎えたベルリンでは緑が生い茂り、すれ違う人々もうれしそうな笑顔を浮かべています。以前の記事でも、私のベルリンの好きなところは「都市と自然の調和」であるとお伝えしたかと思いますが、今回の記事では、それを象徴するようなスポットを紹介したいと思います。
かつての線路が自然と混ざり合っています
ここ「ズュートゲレンデ自然公園」(Natur-Park Südgelände)は、蒸気機関車が全盛期の頃に、列車の車庫、操車場として使われていた場所。1952年に従来の役目を終えてから、この場所はさまざまな種類の生物が住む森へと変化を遂げました。敷地の大部分は、1999年から景観保護区域と自然保護区域に指定されています。約18ヘクタールの広大な敷地を有しており、公園はチリの地形のように細長い形。名前の通りベルリンの南側に位置しており、都心から少し離れた憩いのスポットです。
この場所の魅力は、栄えていた当時の建築物などが自然と共存している姿を見られるところです。線路の上には木が生い茂っており、人間ではなく別の生物が住む環境が整えられているかのようで、自然の雄大さと人類の無力さを同時に感じることができ、廃墟マニアにも人気があります。春から夏にかけては公園内にある遺構が美しい緑に包まれ、秋から冬にかけては寂しくもノスタルジックな雰囲気が漂うので、四季によって見え方や楽しみ方が変わります。
自然と都市文化が織りなすベルリンらしい風景
2017年からは「Bahnbrechende Natur」と題した屋外展示が展開されており、この公園の歴史だけでなく、公園に生息している多種多様な生物について学ぶことができます。全体を歩いて回るのには約1時間半かかりましたが、園内には遊歩道が張り巡らされているので散歩感覚で楽しめました。森の中の建造物にはグラフィティが描かれており、ベルリンならではの自然と都市文化の調和を感じます。歩き疲れたら、園内にあるカフェで休憩するのもおすすめ。自然の中で飲むビールが、疲れを癒してくれました。
圧巻のSL!
また、当時現役で動いていたであろう蒸気機関車もそのまま展示されており、過去と現在のコントラストが表現されているかのよう。昔と今、自然と人の生活など、普段は分け隔てられているものが出会う特別な場所です。都会の喧騒に嫌気が差したときに、ぜひ訪れてみてください。
Natur-Park Südgelände:www.natur-park-suedgelaende.de