ジャパンダイジェスト

王室のような気分を味わえる アルテ・マイスター絵画館

ドレスデンには多くの博物館や美術館がありますが、そのうち15施設によって構成されるアートコンプレックス「ドレスデン州立美術館」は、ドイツの文化と歴史を知る上で重要な役割を担っています。展示されている芸術作品は、17〜18世紀にザクセンを治めていたアウグスト2世が収集したもの。ザクセン王家の宝飾品ギャラリーや騎士の武器展示室などもあります。

歴史を感じさせる美術館の建物歴史を感じさせる美術館の建物

先日、アートコンプレックスの施設の一つであるツヴィンガー宮殿のアルテ・マイスター絵画館を訪れました。ここにはアウグスト2世が欧州各地で収集した古典絵画作品が多く展示されています。同館には、かの有名なラファエロ・サンティの「システィーナの聖母」やヨハネス・フェルメールの「窓辺で手紙を読む女」を観ることができます。残念ながらフェルメールの作品は現在アムステルダム国立美術館(Rijksmuseum)に貸出中とのことでしたが、ラファエロの絵画をはじめ、17世紀のドレスデンの風景画や柔らかいタッチが特徴のパステル画を多く鑑賞することができ、大満足でした。

数々の名画が飾られています数々の名画が飾られています

この美術館の展示で特に興味深かったのは、絵画の分析や修復作業を紹介するコーナー。修復作業の工程や技術、絵画が傷んだ原因について細かく説明があるほか、実際の作業光景の動画や過去作品のビフォー・アフターを見ることができます。数百年前の作品が現代でも私たちを魅了し続ける裏側には、修復士たちの技術があってこそなのだと改めて実感しました。

さらにこのコーナーによると、現代のテクノロジーを駆使した分析作業によって、絵の印象や意味が生まれ変わることがあるとのこと。上記のフェルメールの「窓辺で手紙を読む女」がその一例です。この絵は、窓辺に手紙を読む女性がたたずみ、その奥にカーテンが描かれているというシンプルで静かな印象の絵でした。しかしX線分析の結果、カーテンの下にはキューピッドが隠れていたことが判明。さらにそのカーテンは作者の死後に、第三者によって描き加えられたと分かりました。

同絵画館は4年の歳月をかけてこの絵を修復。2021年8月に作業完了を発表し、かわいらしいキューピッドが姿を現しました。これによって女性が読んでいた手紙はラブレターである可能性が浮上。同絵画館はこの絵について「真の愛の本質について、根本的なことを述べている」とコメントしており、芸術作品一つひとつに込められた作者と裏方で携わる方々の熱い思いを感じました。

今回はツヴィンガー宮殿の絵画館を紹介しましたが、ドレスデン州立美術館のウェブサイトではほかの施設の展示についても紹介しています。きっと皆さんの興味を引く展示が見つかるはず。ドレスデンにお越しの際は、ぜひチェックしてみてください。

鑑賞後は、美術館から徒歩1分のBäckerei Möbiusで休憩。ケーキがおいしかったです鑑賞後は、美術館から徒歩1分のBäckerei Möbiusで休憩。ケーキがおいしかったです

ドレスデン州立美術館(SKD):www.skd.museum

芳野(よしの) 美歩(みほ)
高校・大学時代にカナダと英国へ留学し、日本での就職を経て、2020年10月に渡独。現在はドイツのおにぎり屋さん「Tokyo Gohan」にて広報および経理をサポート。趣味はロードバイクとランニング。ドイツ国内外の旅行兼マラソン大会出場のため、日々トレーニング中!
 
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