ジャパンダイジェスト

冬のドイツを花で明るく - フローリスト 岡村奈穂さん

フランクフルトのザクセンハウゼン地区に、日本人フローリスト岡村奈穂さんが勤める花屋「Blütesiegel」があります。ショーウインドーには季節に合わせたディスプレイが飾られ、植物はもちろん花瓶などの内装も店全体がまるで一つの作品のように美しく、来店するだけでパッと華やいだ気持ちになります。昨年11月からこの店で働く岡村さんは、植物学だけでなく、色彩や造形、流通や経営まで、幅広い専門知識を職業訓練校で学び、厳しい認定試験を突破してドイツのフローリスト資格を取得。ミュンヘンにある2010年度ドイツ最優秀賞に選ばれたガーデンセンターや、バート・ノイエンアールの有名フローリストの下で修行を積んだそうです。さらに昨年は、毎年ケルンで開かれる歴史あるフローリストのコンテストで、並み居る強豪を抑えて堂々1位の快挙を成し遂げました。「自分なりの花の見せ方を見い出し、そのセオリーに則って作品を作り上げています」と語る通り、理論に裏打ちされた知識と技術、天性の才能で素晴らしい作品を生み出しています。

アドベンツクランツ
2千羽の折り鶴で作り上げた圧巻のアドベンツクランツ

アドベントと呼ばれるクリスマスまでの4週間は、冬が長く寒さが厳しいドイツに不可欠の大事な時期です。4本のろうそくが付いたリース=アドベンツクランツを用意し、クリスマスの4週間前の日曜から毎週1本ずつろうそくを灯し、25日を心待ちにします。そんな12月のドイツに必須なアドベンツクランツのコンテストで岡村さんは、日本の折り鶴2千羽を使ったクランツを作り上げ、見事準優勝に輝きました。折り鶴の鋭角的なフォルムを利用するため1羽1羽丁寧に調整したという岡村さん。植物に限らずどんな素材でも、テーマに応じて美しさの論理を追求した彼女の職人技は、見る者を圧倒する素晴らしさでした。

フローリスト
日本人フローリスト岡村奈穂さん(中央)と、オーナーのFelixさん(左)、Carolineさん(右)

私も友人への贈り物に花束を注文しましたが、限られた予算にも関わらず想像を遥かに超える素敵な花束で、贈る方も贈られる方も大満足でした。寒く暗い季節でも、美しい花があるだけで気持ちが明るくなります。「せっかくドイツに居るのだから、この時期こそ花と共に楽しく過ごして頂きたい。正月飾りも承りますので、お気軽にお問い合わせください」と語る岡村さん。Blütesiegelでは11月23日からクリスマス展示会を開催中で、店内はドイツ伝統のアドベンツクランツやリースで飾られます。ドイツならではのアドベント飾りを始め、総合的に演出された素敵な店内は一見の価値ありです。

Blütesiegel:bluetesiegel.de

ユゴ さや香
2003年秋より、わずか2週間の準備期間を経てドイツ生活開始。縁もゆかりもなかったこの土地で、持ち前の好奇心と身長150cmの短身を生かし、フットワークも軽くいろんなことに挑戦中。夢は日独仏英ポリグロット。
 
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