Hanacell

一人ひとりの個性を引き出す子どもの絵画教室

先日、ハンブルクの日本人会から、子どもの絵画教室の展覧会があるとのご案内をいただいたので、出かけてみました。主催者は、ハンブルク国立美術大学を卒業し、現在も画家として活躍する宮田和江さん。幼児から小学校6年生までを対象に、宮田絵画教室を20年も続けています。現在の生徒さんは25名ほど。日本にゆかりのあるお子さんたちで、会話は日本語です。絵画教室といっても絵画だけでなく、工作や版画、粘土細工など、子どもたちの興味に合わせて多彩に行っています。

宮田さんが大切にしているのは、形を認識する能力と、子どもたちの自由な発想、そして内から湧き出るエネルギー。「自分は何を表現したいのか。小さな子どもでも、あるいは子どもだからこそ、ちゃんと自分の個性を持っています。知識や技術が先に入ると、個性が見えなくなってしまうので、私からはあまり教えません」と宮田さん。ただ、自分が描きたいものが決まった子には、できるだけ画用紙いっぱいに描くようアドバイスするそうです。

アトリエの壁いっぱいに貼られた子どもたちの絵画アトリエの壁いっぱいに貼られた子どもたちの絵画

また輪郭線は、下書きをせずに墨汁で一気に描く方法を採っています。墨汁ですから、やり直しが利きかない一発勝負。そうすることで子どもたちの中に集中力が生まれ、描く線にも勢いが出るとのこと。鉛筆と消しゴムを使って何度も書き直したのでは、線が生き生きしないそうです。不思議ですね。

確かに子どもたちの絵画作品を見ると、どの絵も堂々としていて、画面から外に飛び出すようなパワーを感じました。また色使いは子どもたちの自由な発想に任せているそうで、大人では考えられないような色とりどりの蝶や魚が元気いっぱいに描かれています。この絵画教室は週1回、2時間半の開催。結構な長丁場ではありますが、その間子どもたちは、絵を描いたり、休憩したり、工作したりと思い思いに過ごしているようです。

子どもたちのアイデアが面白い粘土作品子どもたちのアイデアが面白い粘土作品

宮田さんは毎年のようにドイツと日本で個展を開かれていますが、ご自身の創作活動は孤独な作業だそうです。そのため絵画教室で子どもたちのエネルギーや自由な発想に触れるのが、とても楽しいとのこと。

「日本では他者と足並みをそろえることが美徳とされ、個々が持っている可能性が埋もれてしまっているのが残念。子どもたち一人ひとりの個性を外に出すお手伝いができれば」と宮田さん。彼女の願いが子どもたちに届き、創造活動を通して豊かな人間性が育っていきますように。

井野 葉由美(いの はゆみ)
ハンブルグ日本語福音キリスト教会牧師。イエス・キリスト命。ほかに好きなものはオペラ、ダンス、少女漫画。ギャップが激しいかしら?
www.nd-jcf.de
www.facebook.com/ndjcf

 
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