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子どもたちの心に灯を!一番初めのアドベントクランツ

もうすぐクリスマス。教会暦では、キリストの誕生日であるクリスマスまでの約4週間を「アドベント」(待降節)と呼びます。ドイツの「アドベントクランツ」(冠の意)と呼ばれるリースは、この時期に欠かせないデコレ-ションの一つ。クリスマスまでの日曜日が第一、第二、第三、第四アドベントで、日曜日が来るごとに1個ずつろうそくを灯していきます。多くの家庭で飾られていて、「4番目のろうそくが灯ったらクリスマスがやってくる!」なんていう歌もあるように、子どもたちは、アドベントクランツのろうそくが灯されるたびにわくわくしながらクリスマスを待つのです。

お店に並ぶアドベントクランツお店に並ぶアドベントクランツ

初めてアドベントクランツを作ったのは、ハンブルグ出身の神学者ヨハン・ヒンリッヒ・ヴィヘルン(1808~1881)。彼は、ハンブルグ市ホルン地区にあるラウエスハウスという福祉団体の創立者でもあります。現在のラウエスハウスは、老人ホーム、障がい者施設、学校、教育専門大学などを擁する大きな団体で、キリスト教精神に基づいた幅広い活動を行っています。ヴィヘルンは、「行いと愛による信仰の実践」をモットーとし、特にハンブルグ貧困地域の子どもたちの救済に取り組みました。

クリスマスマーケットにあったヴィへルンリースクリスマスマーケットにあったヴィへルンリース

1833年、ラウエスハウスは、孤児12人からなる子どもの施設をつくります。学校に行くことのできなかった子どもたちに読み書きを教えるだけでなく、家庭的な共同生活を通して、キリストの愛を伝えようとしました。クリスマスは一番大きな行事でしたから、子どもたちはクリスマスが近づくと、「あと何日でクリスマスなの?」と毎日のようにヴィヘルンに尋ねたのだとか。ヴィヘルンはそんな子どもたちのために、このアドベントクランツを作ることを思いついたのです。彼は、大きな木製の馬車の車両に大きな白いろうそくを4本と、その4本の間に赤い小さなろうそくを19本立てました。そして、アドベントの日曜日には白いろうそくに、それから毎日1本ずつ赤いろうそくに火を灯していきます。子どもたちはこのリ-スを見て、クリスマスまでの日々を数えて待つことができるようになったのでした。

ラウエスハウスのヴィへルンの家ラウエスハウスのヴィへルンの家

この「ヴィヘルンクランツ」と呼ばれるリ-スは、その後、もみの木の枝で作られる現在のアドベントクランツへと形を変えて各地に広まっていきました。しかし現在でも、ハンブルグ市庁舎や聖ミヒャエル教会には、毎年この元祖ヴィヘルンクランツが飾られます。

アドベントの時期は、街中が美しいクリスマスデコレ-ションに彩られ、お店にはプレゼントを買う人がいっぱい。でも、ちょっと立ち止まって、質素だけど愛に溢れたヴィヘルンクランツのことを思い出してみてください。クリスマス本来のメッセ-ジが聞こえてくるかもしれませんよ。

岡本 黄子(おかもと きこ)
ハンブルグ郊外のヴェーデル市在住。ドイツ在住38年。現地幼稚園で保育士として働いている。好きなことは、カリグラフィー、お散歩、ケーキ作り、映画鑑賞。定年に向けて、第二の人生を模索中。

 
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