地球にやさしい環境作りは人類の大きな課題。ほぼ毎日ニュースでも取り上げられるテーマです。ここドイツでも、民間の環境保護団体や市の自治体が、大人だけでなく子どもたちにも大切さを伝えようと、さまざまなプロジェクトに取り組んでいます。
私が勤務している幼稚園でも、そういったプロジェクトに参加しています。例えば農場を見学して、日常で口にする食べ物のルーツをたどったり、地元で採れる野菜だけを使って料理したり、畑を耕して野菜を作ったり。子どもたちは、体験を通して環境保護について学ぶことができるのです。
店内でピアノを弾くDoritさん
先日、そのプロジェクトの一環として、ハンブルク市リッセンにある「Loses Mundwerk unverpacktLaden」というお店を見学しました。包装一切なしのお店で、ゴミを減らすためにどんな工夫がされているのか、子どもたちと一緒に学びます。
フローリングの明るい店内に入ると、すぐ目に入るのはたくさんのガラス容器に入った食料品。さまざまな種類の麦や豆、ナッツ、シリアル、お米、油、酢、お茶やコーヒー、キャンディーやチョコなどのお菓子が全てガラス瓶にきっちりと入って並んでいます。袋などに包まれている商品はなく、ちょっと昔懐かしい駄菓子屋さんみたいです。お客さんは自分で入れ物を持参するか、お店にある容器を借りて自分で品物を入れ、置いてある計量器に載せて計り、レジで入れ物の重さを引いた額を支払います。
健康的な食料品たち!
食料品以外にも、食器用、洗濯用洗剤、自然素材でできたたわしなどの掃除用品もそろっていました。トイレットぺーパーもばら売りです。化粧品コーナーにあるボデイソープやシャンプー、リンスなどは全て固形。ガラス瓶に収められた色とりどりのせっけんは、ちょっとお菓子みたいでかわいらしいです。固形タイプは、液体の物に比べて製造の際に水の量が少なくて済み、エコなのだそう。私も試しに、薄いピンク色のバラの香りのする洗顔せっけんを購入。実際使ってみたら、とてもしっとりしていい感じでした! 保湿クリ-ムは大きな陶器のつぼに入っていて、持参した容器にへらで入れます。
かわいい固形せっけんコーナー
店内を案内してくださったのは、オーナーのDoritさん。環境保護に関するワークショップに参加したのがきっかけで、エコなお店を開きたいと思い立ちったそうです。その夢は5年後の2021年にようやく実現しました。彼女のセンスの良さと、環境への優しい思いからでしょうか、「エコだから!」という堅苦しさがなく、気負わずに楽しめるお店です。ゼロ· ウェイストを目指すというのは大変難しい課題ですが、自分にできることは何か、考えさせられるきっかけになりました。
ハンブルグ郊外のヴェーデル市在住。ドイツ在住38年。現地幼稚園で保育士として働いている。好きなことは、カリグラフィー、お散歩、ケーキ作り、映画鑑賞。定年に向けて、第二の人生を模索中。