ハンブルク港の近辺は、港町特有の異国情緒が漂う魅力的な所。その一角にある「ポルトガル人地区」に、スウェーデン教会、フィンランド教会、ノルウェー教会、そしてデンマーク教会が並ぶ通りがあります。この四つの教会を総称して、「スカンジナビア船員教会」と呼ばれています。昔からハンブルク港には、北欧からの船が行き来していて、船員やその家族たちがハンブルクに住み始めました。北欧と北ドイツは人種も気候も似ているし、距離的に近いですが、やはり故郷をしのぶ気持ちはそれに関係なく、どこの外国人でも同じなのでしょう。自国の人々と交わり、自国の言葉で賛美歌を歌い、祈りをささげたいという思いが募り、信仰と生活のよりどころである教会が次々とこの港の周辺地区に建てられたのです。現在この船員教会は、船員だけではなく、ハンブルクやその近郊在住のスカンジナビアの人たちの拠点となっています。
かわいい手編みの小物で気分もほっこり
スウェーデン教会は4教会の中で最も古く、1883年に教会の活動が開始されました。1907年には立派な教会堂が建てられ、当時のスウェーデン王の名前を取って「グスタフ=アドルフ教会」と命名。現在、この建物は文化財として保護されています。その隣にあるのがフィンランド教会です。珍しいのは教会の中に一般の人も利用できるサウナがあること!また食料品などのフィンランドショップやカフェもあります。その隣はノルウェー教会とデンマーク教会。毎週日曜日の礼拝以外にも、婦人会や子どもたちの補習校的活動も活発に行っています。また演奏会やクリスマスマーケットなど、年間通して行われるさまざまな催し物はドイツ人にも人気で、いつも多くの訪問者でにぎわいます。スカンジナビア船員教会はすっかりハンブルクに溶け込んで、その北欧の文化を伝えているのです。
船の柄のステンドグラスが美しいノルウェー教会!
さて、私は毎年楽しみにしているスカンジナビア船員教会の春祭りに行ってみました。自国の人々はもちろん、北欧ファンのドイツ人訪問者などでにぎわっていました。私のお目当てはフィンランド名物「Ohrfeige」(ビンタ)と呼ばれるお菓子!ちょっと小さめのシナモンロールで、くるくるっと巻いてある感じが耳(Ohr)に似ているからでしょうか? 愉快な名前ですよね。ハンブルク名物「フランツブロ-トヒェン」に似ています。
重要文化財でもあるスウェーデン教会
まずこの「ビンタ」を食べて、バザーへ。バザーには、手編みのかわいい小物がたくさん。そういえば、今は亡きフィンランド人の友人が靴下や子どものセ-タ-などをよく編んでいたのを思い出しました。大好きなムーミンのソックスを購入し、スウェーデン教会でサーモンのサンドイッチを食べ、すっかり北欧に行った気分になりました。
ハンブルグ郊外のヴェーデル市在住。ドイツ在住38年。現地幼稚園で保育士として働いている。好きなことは、カリグラフィー、お散歩、ケーキ作り、映画鑑賞。定年に向けて、第二の人生を模索中。