ジャパンダイジェスト

美しく多様な花の世界へ 展覧会「Flowers Forever」

私はお花が大好きで、子どものときから花柄の小物や服に惹かれてきました。それはこの歳になっても変わっていません(笑)! 日常的に部屋に花を飾ったり、誕生日やお祝いごとで花束をプレゼントしたり、花はいつの時代でも、私たちの身近に在る欠かせない存在ではないでしょうか。花は、その形、色、そして香りで、私たちの感覚と情緒に語りかけてきます。そんな花の世界をテ-マにした展覧会「Flowers Forever - Blumen in Kunst und Kultur」が、ハンブルク市庁舎広場にあるブセリウス・クンストフォ-ラムにて開かれています。

花に込められた強いメッセージを感じます花に込められた強いメッセージを感じます

この展覧会では、花が芸術と文化に影響を与えてきた歴史を掘り下げています。花の神秘の世界は、植物学者だけでなく、芸術家にもインスピレーションを与えてきました。単に美しい花を描いた作品を展示しているわけではありません。文化、神話、宗教、政治、経済、生態学における花、芸術と自然科学の密接な関係、シンボルとしての花の役割などをテーマに、絵画、写真、彫刻、デザイン、オブジェなど、民族、時代、ジャンルを超えた作品が展示されています。2023年にミュンヘンの美術館でも同展が開催され、非常に盛況だったそう。今回のハンブルクでの展示も、多くの訪問者でにぎわっていました。テーマが「花」なので、アートがちょっと苦手な人にも親しみやすいのかもしれません。

植物画家ノースが発見した異国の花植物画家ノースが発見した異国の花

南国のエキゾチックな植物画が目に留まりました。19世紀の英国人植物画家、マリアンヌ・ノースの作品です。花に魅せられた彼女は、ロンドンの王立植物園「キューガーデン」の常連でした。資産家の父の死後、多くの資産を手にした彼女は、世界中を旅して800以上もの花の絵を描きました。今でもキューガーデンには彼女の植物画を収めたギャラリーがあります。

また、日本とも関係が深いドイツ人医師、博物学者シーボルトの日本植物誌『フローラ・ヤポニカ』から、アジサイの植物画も展示されていました。アジサイをはじめ、ドイツでも初夏に咲くシャクヤクなども、シーボルトによって欧州にもたらされた花々なのです。

さまざまなジャンルと時代の花の作品がありましたさまざまなジャンルと時代の花の作品がありました

政治的な役割を持つ花の作品も印象的でした。二人のアフリカ原住民の少女の写真ですが、顔の部分が、陶磁器で作られた大きな花で覆われています。女性の人権がテーマの作品で、花が少女たちの失われた名誉のシンボルとして、観る人々に訴えています。ほかにも、キリスト教の白百合、仏教の睡蓮など、宗教の中の花についての作品もありました。

展覧会は2025年1月19日(日)まで。皆さんもぜひ、花の持つ多様な世界に浸ってみてはいかがでしょうか。展覧会のアプリを利用すると、解説を聞きながら鑑賞できるのでおすすめです。

Flowers Forever展:www.buceriuskunstforum.de/flowers-forever

岡本 黄子(おかもと きこ)
ハンブルグ郊外のヴェーデル市在住。ドイツ在住38年。現地幼稚園で保育士として働いている。好きなことは、カリグラフィー、お散歩、ケーキ作り、映画鑑賞。定年に向けて、第二の人生を模索中。

 
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