ジャパンダイジェスト

モダニズムの開拓者マックス・リーバーマンの特別展

ハンブルク中央駅のすぐ隣にあるイ タリア・ルネサンス様式のドーム型の建物、それがハンブルク市立美術館 (Hamburger Kunsthalle)です。概して、自分の住んでいる街の美術館は「いつでも行ける」と思っているうちに時 が経ってしまい、「結局行く機会を逃した!」ということになりがちですが、ハンブルク市立美術館はドイツでも有数の美術館。多くの人が「あ、この絵、どこかで見たことがある」と気付くような 有名な絵を所蔵しており、作曲家フランツ・リストの紹介によく使われる肖像画 もここにあります。

ハンブルク市立美術館
ハンブルク市立美術館の外観

その市立美術館で昨年9月30日から今年2月19日まで、マックス・リー バーマンの特別展が開催されました。 ハンブルクのエルベ川沿いの風景画など、もともとこの美術館が、彼が描いた数点の作品を所蔵していることからも、リーバーマンはハンブルクっ子にとって馴染み深い画家と言えるでしょう。「モダニズムの開拓者」と銘打たれた今回の特別展は、1847年にベルリンで生まれたこの画家が1935年に亡くなるまで、フランス、オランダと居を移す中で、それぞれの土地の影響を受けながらモダニズムを開拓していった軌跡を追うことができる構成になっていました。私はこ れまで、リーバーマンの作品はちょっとルノワールの作風に似た印象派の絵画というイメージを持っていましたが、今回の展覧会で年代とともに彼の作風が変化して行った様子を追うことにより、 新たな一面を発見できました。

オランダ時代には孤児院や老人ホー ムの人々を描いた絵が多く、弱者への思いやりが感じられました。リーバーマ ンは、当時のプロイセン帝国でヴィルヘルム皇帝の芸術政策に反対する立場を採っていたため、批判を受けることもあったようですが、自分の信念に従って作品を描き続けたそうです。

今回の特別展では、リーバーマンの 作品だけでなく、メンツェル、セザンヌ、 ドガ、ルノワールなど、彼に影響を与えた画家たちの作品も並行して展示され ていました。また、リーバーマンの作画 技法を様々な作品から抽出して紹介す るコーナーもあり、1つの特別展として、非常に良くまとまっている印象を受けま した。

リーバーマン
リーバーマン作画技法の説明

ハンブルク市立美術館の入場料は、特別展の有無にかかわらず、大人12ユー ロ、学生5ユーロ、17歳以下は無料となっています。興味深い特別展のポスターを街中で見かけたら、その機会にぜひ足を 運んでみてください。館内にはカフェも 数店あってくつろぐことができるので、 ゆっくり時間を掛けて鑑賞することをお 勧めします。

www.hamburger-kunsthalle.de

井野さん井野 葉由美(いの はゆみ)
ハンブルグ日本語福音キリスト教会牧師。イエス・キリスト命。ほかに好きなものはオペラ、ダンス、少女漫画。ギャップが激しいかしら?
 
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