クリスマスと並んで重要なキリスト教の行事であるイースター。ドイツでは国民の祭日にもなっていますが、日本人にはあまり馴染みがないように思われます。イースターとは、十字架にかけられたイエス・キリストが死に勝利し、3日目によみがえったことを祝う復活祭です。イースター(Ostern)という呼び名は、キリスト教が伝わる前のゲルマン神話に出てくる春の女神の名前からとったそうです。「死で終わるわけではない。永遠のいのちが与えられている」というキリストの喜びの教えと、すべての命が芽吹く春のお祭りがドッキングした行事と言えるでしょうか。
和紙を用いた美しいイースター・エッグ。
招き猫の模様も見えます
ドイツではイースターに卵を飾りますが、これには意味があります。卵の中には命が息づいており、それがキリストの復活を象徴しているのです。カラフルな卵の登場は、敬虔なキリスト者たちの断食に端を発すると言われます。キリストの受難を想い、40日間の受難週に肉食(卵を含む)を断っても、その間雌鳥たちは卵を産み続けます。そこで、いつ生まれた卵なのかを見分けるために、卵に色を付けたのが始まりで、晴れて肉食解禁となった復活祭の朝、色とりどりの卵が食卓に並んだそうです。
アドヴェント(待降節)の時期にクリスマス用品を販売するクリスマスマーケットは、皆さんにとってもお馴染みの行事だと思いますが、ハンブルクでは毎年、これと同じような趣旨のイースターマーケットが民俗博物館で開かれています。今年で28回目を迎えたイースターマーケットは、開催期間が3月29日~4月1日の計4日間と短かったにもかかわらず、例年通り活気に溢れ、初日は人を掻き分けなければ通れないほど多くの人出で賑わいました。
イースターマーケットが行なわれた
ハンブルク民族博物館の入り口
出品者が自分の作品を展示即売するシステムで、様々なイースターのアイテムが各ブースに所狭しと並べられていました。芸術性の高い作品が並ぶ中、私の目を引いたのは和紙で包まれたイースター・エッグ。卵に和紙を貼り付けた後、4回もニスがけが行なわれたという作品は、とても美しいツヤを放ち、輝いていました。
「ニスがけをしなくても良いなら、私にもできるかもしれない!」と思い、家に帰って挑戦してみると、意外と簡単に 作れました。和紙自体が美しい模様を持っているので、労せずして和風イースター・エッグの出来上がり。日本の美とドイツ文化の融合を嬉しく思いました。
ハンブルグ日本語福音キリスト教会牧師。イエ ス・キリスト命。ほかに好きなものはオペラ、ダンス、少女漫画。ギャップが激しいかしら?