ジャパンダイジェスト

塩水で体もふわり温泉プールでリラックス

寒い冬は、日本の温泉が恋しくなります。毎年長野に里帰りし、近所の温泉に通っていたのですが、コロナ禍で2年以上帰れないまま。温泉は大好きなので、600キロ離れた南ドイツのバーデン=バーデンまではるばる出かけたこともありましたが、湯がぬるくてかえって震え上がり、がっかりした覚えがあります。

そんな私の期待に応えてくれたのが、ハノーファーから50キロほど南のザルツヘメンドルフ村にあるイト・ゾーレ・テルメ(Ith Sole Therme)という天然温泉施設です。ドイツ式に水着を着て入るため、日本の温泉とは違いますが、塩分を含んだお湯が体を芯から温めてくれます。

イト・ゾーレ・ターメの入り口イト・ゾーレ・ターメの入り口

ウェブサイトを見ると、ドイツで最高の硫黄塩源の温泉だそうです。屋内外に合わせて八つのプールと浴槽があります。屋内の真ん中にある大きなプールは、29度と適温です。塩分が3%なので、じっと横たわると体が浮きます。広々していて、みんな体を動かしたり、おしゃべりしたりと楽しそうにしていました。

外には29度と34度の2種類があり、好みに応じて入れます。古代ギリシアをモチーフにした円柱があり、少しミニサイズですがさまざまな像が立っています。私が出かけた時は、みぞれ混じりの天気だったので34度の湯が人気でした。湯が滝のように落ちてきたり、水中から噴射される設備もあり、全身をほぐすことができます。外の空気に触れ、木々を見ながらお湯に入るのは本当に気持ちがいいです。日本の温泉のように熱くないので、長く入ることができます。

また湯気の立ち込める湯気風呂(Dampfbad)では、むっとした空気に包まれて汗がだらだら出ました。お湯や湯気に体をさらしていると、内側から浄化されるようで、不要物が外に出て行く気がしました。長椅子が置いてある静寂のスペースでは、くつろぎのひとときを過ごすことができます。本を持ち込んで読んでいる人も見られ、リラックスを最優先とした空間です。

冬の屋外プールは最高冬の屋外プールは最高

もちろんサウナもあり、こちらは裸で入ります。男女混合で、大きなタオルで体を巻いている人もいますが、多くの人はあっけらかんと裸で歩き回っていました。65度や80度など数種類あり、小さな庭が付いているので外で座って一休みするのも最高です。

入場料は大人20ユーロで、時間制限はありません。別料金で塩のラウンジやマッサージコースがあるほか、フィットネス場ではプロの指導者による個人レッスンを受けることもできます。

私はオプションはなしで、ひたすら温泉プールと湯気風呂とサウナで6時間を過ごし大満足。終わって外に出ると、冷たい空気がぴゅーと頰をなで、なんともさわやかな心地がしました。こういうのを「リフレッシュする」というのだと実感。たまにはこうして体を甘やかして、頭を空っぽにするのが必要ですね。

イト・ゾーレ・テルメ:https://ther.me/therme

田口理穂(たぐち・りほ)
日本で新聞記者を経て1996年よりハノーファー在住。ジャーナリスト、法廷通訳・翻訳士。著書に『なぜドイツではエネルギーシフトが進むのか』『市民がつくった電力会社: ドイツ・シェーナウの草の根エネルギー革命』、共著に『お手本の国」のウソ』(新潮新書)、『コロナ対策 各国リーダーたちの通信簿』(光文社新書)など。
 
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