ハノーファーのエンターテイメントショー劇場GOPでは、これまでも多くの日本人アーティストが活躍してきました。現在はディアボロアーティストの鳥居ひろみきさんが、70年代をモチーフとした演目「ナイトフィーバー」に出演中。パフォーマンスは、2025年1月5日(日)まで見ることができます。
中国ゴマともいわれるディアボロは、二つのお椀をつなげたような形で、これをひもで操ります。愛知県出身の鳥居さんは現在22歳。7歳のころにテーマパークでディアボロを見て夢中になり、練習を始めました。11歳からディアボロの大会に出場し始め、さまざまな大会で入賞。2019年の台湾でのディアボロアジアカップで優勝してアジアチャンピオンとなり、2023年には同じく台湾での国際大会MOYOSTAGEで三つのディアボロ部門で優勝。ディアボロ王に選ばれました。
スティックを振り回すワンディアボロに注目
鳥居さんは群馬県のサーカス学校に通った後、今年8月にエディンバラのフェスティバルに出場したのを皮切りに海外へ。9月からドイツで初めてGOPのショーに出演し、5月までボンなど各地のGOPで出演する予定です。
日本でさまざまな大会に出場していましたが、今回のように仕事として長期間出演するのは初めてとのこと。「大会では点数が付けられますが、ショーは違う。何時間も練習してやっとできる技ではなく、毎日安定してできる技を披露する必要があります」と、大会との違いを実感しています。一般の人に楽しんでもらうのはもちろん大事ですが、「見た目が派手な技だけでなく、競技としてディアボロをしている人にも楽しんでもらいたい」と、地味に見えるけれど実は高度な技も織り交ぜているとのこと。「ディアボロをやっていない人には伝わらないかと思っていたけど、どうも伝わっているみたい。これからも自分のスタイルを崩さずやっていきたいです」と語る鳥居さん。技の9割はオリジナルです。作曲もしており、今回のショーは違いますが、自作の音楽を取り入れた演目もあります。
三つのディアボロを使ったトリック
現在長期滞在中のハノーファーについては、「大きな公園があちこちにあるので練習ができていい。トラムが走っているのも新鮮」と話し、近所の公園で技を磨いているほか、アクロバットやダンスなど体全体で表現する訓練をしています。
GOPのショーでは最初、ワンディアボロ(ディアボロを一つだけ使う技)が披露されます。スティックを持たずにひもを直接つかむなど、高度な技術が盛りだくさん。「ここ2年ぐらいずっと、体の動きとディアボロの動きをいかに組み合わせて即興でプレーできるか考えてきたけれど、最近やっとできるようになりました」といい、見せ場の一つとなっています。自身の創造性の全てをディアボロに注いでいる鳥居さん。しなやかな動きは、強い信念に裏打ちされています。
鳥居ひろみきさんの公式サイト:www.hiromikitorii.com
日本で新聞記者を経て1996年よりハノーファー在住。ジャーナリスト、法廷通訳士。著書に『なぜドイツではエネルギーシフトが進むのか(学芸出版社)』、共著に『コロナ対策 各国リーダーたちの通信簿(光文社新書)』、『夫婦別姓─家族と多様性の各国事情(筑摩書房)』など。