明けましておめでとうございます。コロナ禍の収束の兆しも見えぬまま、新たな年を迎えました。このような状況に対して、拭えない不安を抱えている方も決して少なくはないと思います。2022年こそは、誰もが平穏な生活を取り戻せることを願っています。さて、昨年は記念すべき日独交流160周年でしたが、今年は札幌市とミュンヘン市が姉妹都市関係を結んでからちょうど50年にあたる記念すべき年です!
札幌とミュンヘンでオリンピックが行われたのは1972年
札幌市とミュンヘン市の姉妹都市としての交流の歴史は、1972年にさかのぼります。この年は、オリンピック・パラリンピックの開催年で、札幌ではアジア初の冬季大会が、そしてミュンヘンでは夏季大会が開催されたことがきっかけで、姉妹都市関係が結ばれました。どちらも有名なビールブランドを誇り、緯度45度前後に位置し、バイエルン州も北海道も畜産が盛んであることなど、実際にさまざまな共通点が挙げられます。1972年2月の札幌大会時にミュンヘン市長が姉妹都市提携を申し込み、1972年8月のミュンヘン大会開催中にミュンヘン市役所にて姉妹都市提携調印式が行われたそうです。
ウエストパークにある日本庭園
ここミュンヘンには、札幌との姉妹都市関係を体現している場所が一つ存在します。それは、ミュンヘン南西にあるウエストパーク内にある日本庭園です。ウエストパークの歴史はまだそれほど長くなく、1983年に開催されたミュンヘン国際園芸博覧会のために造られた約60ヘクタール(東京ドーム約13個分!)の公園で、博覧会終了後から誰もが立ち入りできるようになりました。
当時の面影を特に色濃く残しているのが、「東アジア・アンサブル」と呼ばれる、ネパール、タイ、中国、日本の四つの庭園で構成されたエリアです。ドイツ造園連盟大会賞も受賞したこの日本庭園は、平安時代風の水舞台が中心にある池泉舟遊式をイメージしたもので、札幌市からミュンヘン市への贈り物です。
ミュンヘンオリンピックの会場だったオリンピアパーク
一方、札幌市北区にある百合が原公園には、ウエストパークとほぼ同じ設計の日本庭園が現在も維持されていて、さらに春から秋まで豊かな花が咲き続けるバイエルン調の「ミュンヘナーガルデン」も。札幌にはこのほかにも、大通公園11丁目のマイバウム(5月の木)や姉妹都市提携15周年に当たる1987年に建設されたミュンヘン大橋、2002年から開催されているミュンヘン・クリスマス市など、友好のシンボルやイベントがいくつかあります。ミュンヘンにもまた、札幌ラーメンの麺処匠TAKUMI Münchenやオリンピアパーク付近のSapporobogenというオフィスビルがあるなど、姉妹都市交流の歴史が両都市に感じられますね。50周年を機に、姉妹都市間の交流がさらに活発化することを楽しみにしています。
ミュンヘン生まれ、10歳ごろから京都育ち。大学卒業後、再びミュンヘンに戻る。もともと異文化教育や日独間のコミュニケーションに興味があり、ドイツのPR会社Storymakerに就職。J-BIG編集部として、在独日系企業の情報発信も行っている。 www.j-big.de