ジャパンダイジェスト

中世の市 Mittelaltermarkt

美しいお姫様に勇敢な騎士、厳つい職人、怪しげな占い師や大道芸人……。中世を扱った歴史映画に登場しそうな、古めかしいコスチュームに身を包んだ人たちが集まる「中世の市」は、ここ数年、バイエルン地方で人気が高まっています。ミュンヘンでは、毎年5月にオリンピアパーク(Olympiapark)で開催される市が最大ですが、オデオン広場(Odeonsplatz) 近くに立つ中世風のクリスマス市も有名です。また、秋には近郊のあちこちで同様のお祭りが催されます。今回はそのうちの1つ、10月初旬にミュンヘンの東約25キロの町マルクト・シュヴァー ベン(Markt Schwaben)で開かれた中世の市の様子をリポートします。

市の時代設定は15世紀初頭。布や革製のテント、木造の小屋に弓矢や剣、木製玩具、アクセサリーなど、いかにも中世らしい品物が販売されています。出店者も中世の衣装を身にまとい、雰囲気作 りに一役買っています。でも、私が注目したのは一般の入場者。彼らの中にも中世の衣装を着た人たちがいるのです。若い男女から家族連れまで、年齢層はさまざま。可愛らしい衣装姿の子どもたちも、とても楽しそうでした。これらの衣装は、凝りに凝った手作りのものが多いとか。さすがは何でも自分で作るのが好きなドイツ人ですね。それぞれの衣装には、「僧侶風」「町娘風」「貴族風」など、ちゃん とテーマもあったようです。

中世風の衣装姿
お客さんも中世風の衣装姿

手作りとまではいかないけれど、雰囲気を楽しむために着てみたいなと、コスプレ心を刺激された人向けに、既製品やセミオーダー品を販売するお店もたくさん並びます。実は私も好奇心からあれこ れ物色してみたのですが、試着する勇気はありませんでした……。衣装姿で訪れた人は入場料が割引になるという特典もありましたよ。

テント
中世の暮らしを再現したテント

会場には、子ども用のメリーゴーラウンドもありました。なんとこれ、手動式で、3人の男性がハンドルを回すと徐々に高く上っていき、天辺まで上り切ると、あとは自然にぐるぐると回りながら降りてくるという、実にほのぼのとした遊具です。さらに、中世の人々の暮らしを再現した一角には、木漏れ日の射す芝生の上で手仕事に勤しむ女性の姿。当時にタイムスリップしたかのような、不思議な光 景でした。そして、焚き火のはぜる音と良い匂いにつられて行った先で目にしたのは、豚の丸焼き! 直火で炙った肉のサンドイッチが販売されていました。

ノスタルジーをそそる中世の市。しばし現実から離れ、歴史に思いを馳せたひと時でした。

Y. Utsumi
2002年からミュンヘン近郊の小さな町ヴェルトに在住。会社員を経て独立し、現在はフリーランスとして活動中。家族は夫と2匹の猫で、最近の趣味はヨガとゴルフ、フルート。
 
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